銀行をはじめとする金融業は、数ある業種の中でもセキュリティーポリシーが厳しいことで知られています。
取り扱う顧客情報が与信に直結しており、情報漏えいが発生すれば、自社の信用を揺るがして経営にも影響を与えかねないわけですから、当然といえば当然とも言えるでしょう。
したがって、PCの持ち出しを禁止している企業も少なくなく、仮に持ち出せたとしても機密情報の取り扱いは厳しく制限されています。
その一方で、コロナ禍や、それ以前の働き方改革推進の流れから、テレワークの必要性を考えていた金融業の企業も少なくありません。
このような企業では、VDI+VPN を使ってテレワーク対応するところが一般的でした。
特に銀行などでは社内でもVDI環境を使っているところも多いので、その延長上で対応しやすい、ということはあったと思います。
VDI+VPN であれば、データを外部に持ち出すことなく、仮想PCにアクセスするためのセキュリティーも確保できるため、金融業の厳しいセキュリティーポリシー基準をある程度満たすことができるからです。 (もちろん、極めて重要な機密情報はテレワークでのアクセスが制限されるものもありますが)
しかし、この組み合わせ、コロナ禍によるテレワークの急増で大きな課題があることがわかりました。
それが、VDI と Web会議システム との相性の悪さです。
VDI の特性上、Web会議システムのようなビデオ映像は負荷が大きいため、回線に負担がかかってしまうのです。
もちろん、VPN 回線の増強を行えば改善も可能ですが、コストが見合うものかどうかは判断が難しいところでしょう。
快適なテレワーク・リモートワーク環境とは ~セキュリティーとコストのバランスが取れたテレワーク環境を考える~
さらに VDI そのもののコストが高いのも課題です。
VDIを稼働させる仮想化基盤のサーバーは構築にも、運用にも多大なコストがかかります。
もちろんそのコストをかけてでも守らなければならない機密情報を取り扱う業務もありますが、そこまで厳密にしなくてもよい業務に対しても同じコストをかけるのが適切なのか、という観点もあります。
実際、このトレードオフに対して、VDI とほぼ同等の漏えい対策が取れるということから、VDIから別の比較的安価なソリューションに切り替えた、という金融業の企業もあります。
中京地区を中心に営業する大垣共立銀行グループのリース会社、共友リース株式会社では、グループ内で標準的に使われていたVDIの運用コストが負担となっており、VDIのリプレースを検討するなかで、横河レンタ・リースのデータレスPCソリューション、「 Flex Work Place Passage 」を導入しました。
社内の評価で、データをPC内に残さないデータレスPC™ であればVDIと同等レベルの漏えい対策ができると判断し、全面的に導入。
同時にLTE内蔵のノートPCを導入して、全社員がテレワークできる環境を実現しています。
データレスPC はネット銀行でも導入されています。
日本初のネット専業銀行、PayPay銀行株式会社(旧ジャパンネット銀行)では、社内のフリーアドレス化などの業務改革プログラムを推進するにあたり、ノートPCとともに「 Flex Work Place Passage 」を導入して、社内PCを データレスPC 化。
「社外」とみなされる別フロアへのPC移動禁止という制限をなくし、会議資料のペーパレス化や、社員の社内流動性を高めることで、ワークスタイル変革に成功しています。
このように、VDIと同等レベルの情報漏えい対策が可能で、VDIに対して最大1/10のコストで導入できるのが、「 Flex Work Place Passage 」「 Flex Work Place Passage Drive 」にて提供する データレスPC 環境です。
データレスPC は、PC内にデータを保存しません。
データは、「 Flex Work Place Passage 」ではVPN経由で社内やデータセンターに設置したサーバーに、「 Flex Work Place Passage Drive 」では OneDrive for Business にそれぞれ保存。
ユーザーはデータの場所を意識することなく、普通にアプリからデータを使うことができます。
アプリから開いたデータは、PCをシャットダウンしない限りPC内に保持されていますので、VDIとは異なり、仮にネットワーク接続が切れても使い続けることができます。
逆にシャットダウンしたり、アプリを終了してしまえば、データはPC内には残りません。
また、PCの性能を最大限生かせますので、アプリもスムーズに動き、Web会議システムも問題なく使うことができます。
このように、高いセキュリティーを保ちながら、利便性も高いデータレスPC™ソリューション、「 Flex Work Place Passage 」「 Flex Work Place Passage Drive 」。
ご紹介した2社と同様の金融業である当横河レンタ・リースでも全社で「 Flex Work Place Passage Drive 」を導入し、テレワークを実現しています。
金融業だからテレワークは難しい、とお考えの前に、一度「 Flex Work Place Passage 」「 Flex Work Place Passage Drive 」を評価されてみてはいかがでしょうか。
五十嵐 猛雄 (横河レンタ・リース株式会社 ソフトウェア&サービス事業部 FWP課長)
長年に渡り、ITインフラ、ソフトウエアの提案活動を行う。
現在は Flex Work Place シリーズのプロダクトチームのマネージャーとして
製品の企画・開発・プリセールス活動などに従事している。