キーワードで知る業界の変化
リース・レンタルの今
リース・レンタルの今
リースは、膨大な資金力で「モノ」を貸す、いわゆる「物融」としての役割を担ってきました。特に取引の50%以上を占める中小企業に対しては、メザニン金融という役割で支えてきました。しかし、2008年のリース会計基準見直しにより、リース取引の中で最も多い「ファイナンス・リース」は大幅に減少しました。さらに、2019年にはIFRS第16号が一部企業に適用されはじめ、その動向が注目されています。今後は「物融」だけでなく、サービス、ソリューションをいかに提供できるかが重要となってくるでしょう。
BtoB取引におけるレンタルは、各レンタル会社が専門分野を極め、サービスやソリューションを合わせ提供しています。シェアリング・エコノミーやサブスクリプションといったビジネスモデルも市場に認知され、拡大しつつあります。各レンタル会社が特定分野ごとのフィールドで活動しているため他社による参入を防ぎ守る必要があります。今後は、参入障壁をより高めるために、独自のサービスやソリューションの開発による差別化が必要となってくるでしょう。
SDGs
SDGs
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことを指します。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
レンタル(シェアリング・エコノミー含む)は、1つの「モノ」を複数の企業、個人が繰り返し利用するビジネスモデルのため、無駄な生産を抑え、限りある資源を有効活用できます。レンタルが市場で認知され、サービスモデルが拡大傾向にあり、一方で「モノ」が溢れていることが素晴らしい時代は終わりを迎えつつあります。
5年以内に…
5年以内に…
「5年以内に私たちは何も買わなくなり、
すべてをサブスクリプションという形で利用するだろう。」
Zuora Inc CEO ティエン・ツォ氏
ティエン・ツォ氏は2016年に、サブスクリプション・サービスの拡大により「モノ」を所有しない世界になることを予想していました。ティエン・ツォ氏の他にも多くの著名人が同様に「モノ」を所有しない世界へと向かうことを予想しています。現時点では「モノ」の全てを所有しない生活までとはいきませんが、企業や個人に「モノ」は所有しないという考えが広まりつつあります。全てを所有せず、サービスとして利用する時代は、近い将来訪れるかもしれません。
「モノ」を持たない暮らしに憧れる…
「モノ」を持たない暮らしに憧れる…
シェアリング・エコノミーとは場所・乗り物・モノ・人・お金などの資産を企業や個人間で貸借や売買、交換することでシェアする社会的な仕組みのことを言います。例えば、個人等が所有する車を活用したタクシービジネスもその一つです。
現在、シェアリング・エコノミーというビジネスモデルは消費者にも認知され、拡大傾向にあります。シェアリング・エコノミーの拡大に伴い、「所有」に対する個人の価値観は変わりつつあります。PwCコンサルティング合同会社※1の調査では、すでに10代の約80%が利用に前向きと回答しており、また、消費者庁※2の調査では「できるだけモノを持たない暮らしに憧れる」と回答した人が50%を超えています。今後、一層この傾向は強まっていくことが予想されます。
- ※1出典:
PwCコンサルティング合同会社
「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2020」
- ※2出典:
消費者庁 「平成 28 年度消費生活に関する意識調査 報告報告書」
IT人材不足
IT人材不足
日本は、若年層の人口減少に伴って、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、IT人材は減少に向かうと予想されています。また、IT人材の平均年齢は2030年まで上昇の一途をたどり、高齢化が進展することも予想されています。その一方で、経済産業省※4によると、IT需要予測から推計されるIT人材需要との需給ギャップから2030年までのIT人材の不足数を推計すると、労働集約業態となっている日本のIT人材の低生産性を前提とすれば、将来的に40~80万人の規模で不足が生じる懸念があることも試算されています。
ソフトウエアやクラウドといった技術があらゆる業界業種で必要とされており、シェアリング・エコノミーもその内の一つです。今後のビジネスを支えるIT人材不足は大きな問題となりつつあります。
- 出典:
経済産業省 「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
サブスク
サブスク
サブスクリプション・サービスとは、月額料金などの定額を支払うことにより、契約期間中、商品やサービスの利用が可能となるサービスのことをいいます。今では、動画、音楽をはじめ、車や服など多くのサブスクリプション・サービスがあります。矢野経済研究所※3によると、2019年度にすでに6,000億円を超える市場規模ですが、2024年度には1兆2,000億円に達すると予測されています。
一方で、「モノ」のサブスクリプション・サービスは運用が難しく撤退する企業も多くいるのが実態です。サブスクリプション・サービスは、今後どのように進化し成長していくか、その鍵となるのは、クラウドサービスの活用だといえます。
- ※出所: (株)矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査(2020年)」2020年4月22日発表