総合金融サービスを提供する大垣共立銀行のグループ会社として、中京圏を中心に情報関連機器、産業工作機械、土木建設機械、輸送用機器、商業用設備、医療用機器などの各種機械設備等のリースや割賦販売事業を手掛ける共友リースでは、業務用のPC環境として高いセキュリティーが確保できるVDI＋シンクライアント環境を使ってきました。同社事務管理部システム課の石田正明氏は「当社は新しいITシステムをグループ内でも先行して導入することも多く、VDIもその一貫で導入していました。そのVDI基盤のリプレース時期が近づいてきたため、当初は次期VDIシステムの導入を検討していました。ところが、従来環境で使用していた Windows 7 から、 Windows 10 へ移行するとなると、サーバーを含めたハードウエアの増強に、当初のVDI基盤導入時の約1.5倍のコストが掛かることが判明し、再検討を余儀なくされました」と語ります。
　さらに同社ではVDI運用にも課題を抱えていました。同システム課　兼　事務管理課の佐藤泰成氏はこう語ります。「検討開始時期はすでにコロナ禍で、モバイルワーク、テレワークの導入が検討されていました。しかし検証の結果、VDI環境ではWeb会議システムの負荷が大きく、満足にWeb会議が行えないことや、リモート使用によるPCレスポンスの低下で、実用的ではないことがわかり、VDIのリプレースはコストが掛かるものの、得られるものが少ないという判断をせざるを得ない状況でした。」

そのような折に、同社のシステム導入を支援しているグループのシステム会社から紹介されたのが Flex Work Place Passage （以下、Passage ）によるデータレスPC™環境でした。佐藤氏は「営業社員が社外でPCを使うにあたり、必須だったのがPC内のデータ漏えい対策でした。VDIではネットワークが切断されればシンクライアント内にデータは残りません。データレスPCであれば同様の環境がファットPCで実現できることがわかり、当社が求めるセキュリティーレベルを確保できると考えました」と話します。
しかし、VDI更新にあたり、事務管理部は役員会での説明を求められます。「そこで、横河レンタ・リースにも協力してもらい、Passage の導入実績を集めました。調べてみると、金融機関や公共機関での導入実績もあり、また、同じ愛知県内の導入企業を紹介してもらい、実際にヒアリングを行い、その内容を役員会で説明、経営層の理解を得て導入に至りました」（石田氏）。

　同社では Passage 導入と同時に社内PCも刷新しました。
石田氏は「当初検討していたVDI更新のコストより少ない額で、社内の全PCをLTE内蔵のノートPCにリプレースすることができました。VDIと比較し、いわゆるファットPCではPCの性能が最大限生かせるため、パフォーマンスが大幅に向上し、懸念となっていたWeb会議システムも問題なく使えるようになりました。また、シンクライアントではほぼ選択肢のなかったLTE内蔵モデルが導入でき、営業社員のモバイルワークにおける使い勝手も向上しました」と語ります。
　Passage の導入は運用面でも大きなメリットがあったといいます。佐藤氏は「VDIはまめにメンテナンスをする必要がありましたが、Passage 導入後はクライアントPCのメンテナンスもほぼ手間がかからず、ユーザー対応も非常に楽になりました。ユーザーも普通のPC感覚で使える上に、これまでの仮想PCとは比較にならないパフォーマンスでPCが使えるようになり、生産性も上がっているようです」と語ります。

　Windows 10 PC導入とあわせて、同社では Windows Update の運用を効率化する Flex Work Place Unifier Cast（以下、Unifier Cast）も導入しています。「 Windows 7 の頃は Microsoft の WSUS を使っていましたが、お世辞にも使いやすいものとは言えませんでした。Passage 導入を検討していた際に Unifier Cast も紹介してもらい、Windows Updateが増える Windows 10 にはもってこいだと考えて導入しました。導入から間もないため Future Update はまだ実施していませんが、月例の Quality Update 配信では、各クライアントへ確実にアップデータが配信され、アップデートの状況も確認できるようになったので、Windows Update の運用は楽になりながらも、確実に行えるようになりました」（佐藤氏）。

　今回の Passage 導入により、同社では働き方改革の土台ができたといいます。石田氏は「今回、全社でLTE内蔵ノートPCを導入したのは、全社員がテレワークに対応できるための布石です。そもそもは営業社員のPC利用の効率化を図る目的で、モバイルルータがなくてもインターネットアクセスが容易なLTEモデルを選んだのですが、コロナ禍、さらには新しい働き方を推進する経営方針に基づいて全社員に同様のPCを配布、そしてSIMカードの配布も始めました。LTE内蔵であれば携帯電話の電波が入る場所であれば場所を問わず働くことができます。さらにはデータレスPCによってデータも守られていますから、安心してテレワークやリモートワークも可能になりました。もちろんWeb会議も問題ありません。従来のVDI環境では考えられなかったことです。
　まだまだ印鑑文化が残る業界ではありますが、このように場所を問わず安全に働く環境が整えられたので、社員の働き方も大きく変わってくると思います。その土台作りに Passage は大きな役割を果たしたのではないかと考えています」と語ってくださいました。