愛知県名古屋市に本社を置き、東海・首都圏で医療機器や介護用品・福祉用具などの販売、メンテナンス、レンタルなどを中心とした事業を手掛ける株式会社八神製作所。取引先に医療機関、介護・福祉施設が多いことから、取り扱う情報は機微・機密度が高いものがほとんどです。
　2018年より、営業担当者の業務効率化のためにモバイルPCの導入を検討し始めましたが、導入に当たり課題があったと言います。同社情報システム部ＩＴサービス推進Gの木戸香里氏は「モバイルPCの導入に当たり、データ漏えいリスクを最小限に抑えるために、モバイルPCには必要最小限のデータのみを入れるようにし、商談後はデータをすぐにPCから削除する形で運用を考えていました。当初は、PCのシャットダウン時にデータを削除するソフトをインストールすることで、確実に削除できるようにすることを計画していました。ところが、検証してみるとそのソフトウエアは不具合が多く、Windows のブルースクリーン表示が多発する状況で、そのままの導入は難しいと考えていました」と語ります。
　その後、本格的にモバイルPC導入の話が進展したことから、日頃からPCの調達などで取引のある富士フイルムビジネスイノベーションに相談します。

　相談を受けた富士フイルムビジネスイノベーションは、データレスPC™環境を提供する Flex Work Place Passage (以下、Passage) が最適ではないかと考え、提案します。「訪問先の病院などでは院内で通信制限があるところも多く、オンラインで接続されている必要があるシステムは使えません。その点、Passage はオンライン状態でファイルをダウンロードしておけば、シャットダウンしない限りデータがPC内にありますし、逆にシャットダウンしてしまえば、当初の目的の通りPC内からのデータ削除ができるので、当社の使い方にあっていると考えました」(木戸氏)。
　そこで、営業担当者用モバイルPCへの Passage 導入が決まりました。まずは150台、最終的に620台のPCに Passage が導入されています。

　Passage 導入時は細かな点で調整が必要なところがあり、富士フイルムビジネスイノベーションと連携して横河レンタ・リースで対応を行うことがありましたが、運用開始後は特に大きな問題もなくスムーズに運用されていると言います。
　木戸氏は「管理側から見れば、設定が楽ですし、導入から3年ほどたちますが大きなトラブルもなく運用できていますので、非常に手離れがいいシステムだと感じています」と語ります。

　同社では、Passage とともに同じ Flex Work Place のアップデート管理ソリューション、Flex Work Place Unifier Cast (以下、Unifier Cast) も導入しています。
　同社でITインフラ全般を統括する情報システム部インフラ統括G グループ長 夏目幹郎氏は「これまで WSUS (Windows Server Update Services) を使って、社内1,600台のPCに Windows Update を配信していましたが、ネットワークへの負荷が大きいことが課題になっていました。それに加えて社内のオフィスアプリケーションを Microsoft 365 に移行することとなり、インストーラーをどのように配布すればいいかということが新たな課題として持ち上がってきていました。そこで富士フイルムビジネスイノベーションに相談したところ、進められたのが Unifier Cast でした」と語ります。
　同インフラ統括G 山本佳奈氏は「現在、エージェントの展開が完全には終わっていないので、導入が完了したとは言えないのですが、展開が終わったところへは Microsoft 365 のインストーラーや Windows Update の配信を始めており、順調に配信ができていますので、非常に良いと感じています」と言います。

　木戸氏によると、同社では2024年春から調達PCのOSを Windows 11 へ移行することを計画していると言います。
　夏目氏は「毎回、PCのリプレース時の課題として、PCのキッティング作業の負荷の大きさが挙げられます。基本的にPCには基幹システムにアクセスするためのアプリ、そして Microsoft 365 や Unifier Cast もインストールする必要があります。社内では Active Directory (AD) を導入しているので、ADと連携してこのあたりのセットアップが自動化できればと考えています。横河レンタ・リースには、富士フイルムビジネスイノベーションと連携して、このあたりの課題を解決できる提案をいただければありがたい」と語ってくださいました。