北海道電力株式会社さま 導入事例

北海道の生活・産業を支える火力発電所の運転業務、
若手社員の教育に HoloLens を導入調達にレンタルを活用し、
HoloLens 運用の負荷軽減・稼働率向上を実現

北海道エリアの電力供給を担う北海道電力株式会社では、その多くの電力を賄う火力発電所の安定運転に日々、尽力しています。

同社ではさまざまな現場課題を解決するためにDX (デジタル・トランスフォーメーション) を推進。
その一環として、現場で働く発電所運転員の世代交代に伴う技能継承やトラブル発生時の迅速かつ確実な対応のため、Microsoft HoloLens 2 (以下、HoloLens) を使ったMR (複合現実) による現場業務支援を始めました。
HoloLens の調達に当たり、グループ会社のほくでん情報テクノロジー株式会社を経由して、横河レンタ・リースの HoloLens レンタルサービスを活用。
HoloLens の運用管理における負荷軽減や稼働率の向上を実現しています。

評価ポイント

電力の安定供給に欠かせない火力発電所の巡視点検業務

北海道電力株式会社
火力部 火力情報技術グループ
リーダー 宮崎 浩一 氏

北海道電力では、北海道内の産業や人々の生活を支える重要インフラとして、電力の安定供給の確保を最重要課題として取り組んでいます。

その中でも、火力発電所は東日本大震災に伴う泊原子力発電所の運転停止以降、同社の7割以上の電力を担う重要な発電所として、計画外の停止などを未然に防ぎ、高い稼働率を維持するために、日々設備の巡視を強化し、トラブルにつながる予兆を見逃さないよう努めています。

北海道電力 火力部 火力情報技術グループ リーダーの宮崎浩一氏は「元々火力発電所は設備が複雑で多いため、巡視点検が大変でした。さらに近年は太陽光発電の発電量が増加してきたため、出力調整がしやすい火力発電は日中最小限まで出力を絞り、夜間は出力を上げるといった負荷変動の大きい運転を行うようになってきたため、設備にかかるストレスが増え、さらに慎重な巡視点検が必要となっています」と語ります。

複雑な火力発電の運転技術を継承するために HoloLens を活用

日々の発電所の運転業務を行う社員の業務負荷の軽減や生産性向上を目指して、火力部ではDX (デジタル・トランスフォーメーション) を推進しています。

そのテーマの一つが巡視点検業務の技能継承です。
宮崎氏は「AIなどを活用したトラブルの予兆検知などの活用も進めていますが、依然として定期的な巡視による点検は重要です。特に、複雑な設備を持つ火力発電所の巡視点検業務はかなりの経験が必要なため、ベテラン社員の退職が進む今、若手社員を早期に育成しないと、技能継承ができなくなるおそれがあります。この課題を解決するために HoloLens を活用した巡視点検の教育支援システムの開発を始めました」と語ります。

火力発電所の巡視点検で活用されている
Trimble XR10 with HoloLens 2

巡視点検は1回数時間、1日に3回行われるといいます。
実際に HoloLens を使ったシステムの導入推進を担当している 同社火力部 火力情報技術グループ 主任の梅本天流 (たかはる) 氏は「これまで、新入社員に対しては座学とともに、約1年間かけてOJTを行っていました。つまり、先輩社員が巡視点検の際に新入社員に点検ルートやポイントを教えていたのですが、点検を行いながらの指導なので、先輩社員の負担は大きいものでした。さらに、数千にもおよぶ機器からトラブルにつながる小さな予兆を見つけるためには、過去の不具合に関する知見など、経験に依存する部分が大きいということが課題でした」と指摘します。

そこで、梅本氏が所属する火力情報技術グループでは、HoloLens で使える巡視点検アプリを開発。
先輩社員が現場に同行しなくても、実際の現場でルートや点検手順、ポイントを HoloLens 上に表示することで、学べるシステムを開発しました。
「これにより、先輩社員の負荷軽減や、人による技能や教え方の差異を緩和し標準化することができ、新人教育を効率的かつ短期間で実施できるようになると期待しています」(梅本氏)

トラブル発生時の対応にも HoloLens を活用

HoloLens の導入は、発電所内のトラブル発生時の対応力強化も実現できたといいます。
梅本氏は「トラブル発生時も現場には若手社員が向かって対応することが多いのですが、経験が少ない若手社員では判断することができず、上司のいる中央操作室とやり取りをしながら対応を行います。従来は電話の音声やメールで、現場と中央操作室、中央操作室と管理事務所、場合によっては本社とのやり取りを伝言ゲームのように行っており、対応がスムーズにいかないこともありました。
しかし、HoloLens の導入により、現場の映像をリアルタイムで Microsoft Dynamics 365 Remote Assist を使って本社まで共有でき、本社から現場に対して確認箇所を指し示すことができたりと双方向のコミュニケーションが格段に良くなり、迅速な対応を行うことが可能になりました」と語ります。

難しかった HoloLens の調達にレンタルを活用

巡視点検業務の教育効率化に大きな成果を上げつつあるこの取り組みですが、プロジェクトを短期間で進行するにあたり、HoloLens の調達には苦心したといいます。

北海道電力株式会社
火力部 火力情報技術グループ
火力エンジニアリンググループ兼務
主任 梅本 天流 氏

「DX推進に当たりスピード感を意識して取り組みを進めていたため、検証から導入までを1年間で達成する計画を立てていました。最終的に5発電所に計17台の HoloLens を導入したのですが、導入決定から実際に導入するまでの期間は短く、HoloLens の迅速な調達が最初の障壁でした。さらに、HoloLens の運用管理をどう行うかも課題でした。DX推進プロジェクトは同時並行で複数走っており、このプロジェクトに割ける工数も限られています。発電所はそれぞれ離れていますし、HoloLens の運用管理は可能な限り効率化したいと考えていました。しかし、当初考えていたリースではトラブル発生時の対応は私たちが行う必要があり、頭を悩ませていました」(梅本氏)

そこで梅本氏は社内でITを統括する情報通信部に相談します。
「その際、グループ会社のほくでん情報テクノロジー株式会社のLCMサービスの話を聞きました」。
LCMサービスとは、調達から運用までの機器のライフサイクル全般をほくでん情報テクノロジーが行うサービスで、社員の業務用PCにおいてはレンタルパートナーとして横河レンタ・リースが支援を行っています。

「同じスキームで HoloLens も調達が可能と聞き、先行でリースにて調達した3台を除き、LCMサービスを活用して横河レンタ・リースからヘルメット一体型の Trimble XR10 with HoloLens 2 を14台レンタルで調達しました。プロジェクトの進捗もあり、短期間で台数をそろえる必要があったのですが、HoloLens をまとまった数で短期間にそろえることができたのは、在庫を持つ横河レンタ・リースだからこそだったと思います」(梅本氏)。

また、HoloLens は精密機器のため、特に高温の現場もある火力発電所のような環境では故障の発生確率が高まるリスクがあります。
その点でもレンタルのメリットを感じていると梅本氏は言います。
「 HoloLens が故障しても、レンタルの場合は代替機の提供などのカスタマーサポート対応が行われます。これによって、管理側の負荷がかからない上に、速やかな故障対応で稼働率も落ちることなく済んでいます。特に現場業務では機器が長期にわたって使えないようなことがあると困るので、大変助かります」。

HoloLens 活用推進のため社内コンテストの開催も
将来的には他社への展開も視野に

現場業務の効率化として、すでに社内でも水力部、情報通信部などと情報共有をしながら HoloLens の活用展開を進めている同社。
HoloLens の特性を生かした現場での新たな活用方法の発掘やその共有を促進するため、社内で HoloLens 活用コンテストを実施しています。
「例えば、HoloLens のアプリ内で表示する3Dモデルを自作するなど、われわれでは思いつかなかった使い方を発表した発電所もありました。現場発信のさまざまなノウハウの共有で、他の発電所も刺激を受け、利用促進にもつながると考えています」(梅本氏)。

さらに蓄積されたノウハウをもとに地域経済にも貢献できないか検討しているといいます。
「北海道内でも当社と同様に現場業務の生産性向上や技術継承、人員不足が課題になっている企業はたくさんあります。ベンダーとは異なり、私たちはユーザーとしてのノウハウがあるので、課題に対してどのように HoloLens を運用・活用していけばよいかという具体的なアドバイスやサポートが提供できると考えています。そこで、社内関係部署と連携しつつ、サービス展開の調査を進めているところです」(宮崎氏)。

梅本氏は「いろいろヒアリングしてみると、各社のMR (複合現実) への関心度は高いことがわかっているので、事業としては可能性があると考えています。社外のお客さまへの展開にあたっては、HoloLens の調達・運用の部分でぜひ横河レンタ・リースの支援を期待しています」と語ってくださいました。

HoloLens を装着すると、視界の上に実際の設備と合成して点検内容や手順が表示される (画像内左下)。
口頭の指導がなくとも効率的に技術習得が可能。

会社情報

会社名 北海道電力株式会社
所在地 北海道札幌市中央区大通東1丁目2番地
資本金 1,142億9,100万円
社員数 2,506名 (2023年3月31日現在)
URL https://www.hepco.co.jp/

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・記載事項は変更になる場合があります。
・内容および所属・役職名などは取材当時のものです。

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