電子計測器の基本 校正について

計測器

校正について

電子計測器は精密な電子機器であるため、経年劣化や計測器内部の振動や温度変化の影響によって、仕様に定められた精度が得られなくなることがあります。
このため、定期的(通常は半年~1年ごと)に「校正」を行い、精度が保障された基準器を使って測定値のズレが発生していないかを確認します。
当たり前のことですが、校正を実施するには校正を行える基準器となる設備や環境がないと実施できません。
ISO 9001 に基づく一般校正や、校正を行う検査項目や測定回数を増やした一般校正よりもさらに品質の高い ISO/IEC 17025 校正などの種類があります。

では、校正自体はどのように実施することが一般的なのでしょうか。
校正をする場合、いくつかの選択肢がある中で共通事項となる点においては、ISO認定の校正実施を証明する「校正証明書」や標準機での試験を行った結果を記載する「試験成績書」、それらの証明記録をたどるための「トレーサビリティ体系図」の証明書が必要になります。
また、計測器を保有する企業が校正を実施する場合、大きくは3つのケースがあります。それぞれの特徴は以下です。

自社で校正を行う

校正できる環境、電源設備があり、大量の測定器を保有している一部の大手製造業で実施されています。
自社で運用することでスピーディーな対応が取れる反面、校正ノウハウのある熟練エンジニアを専属で配備し続けることや、環境設備の運用・維持管理コストがかかるため、一般企業が自社で設備を持つ自社校正は非常にハードルが高いと言えるでしょう。

メーカーへ校正を依頼する

保有している計測器メーカーに品質の高い校正を委託し実施するケースが該当します。
製造メーカーであるため品質面での安心感がある反面、複数の計測器を利用している場合、各メーカーへ依頼や管理面でやや煩雑になります。
海外に校正場所がある場合は、納期が長くかかるケースがあります。

外部の校正会社へ依頼する

ISO認定の校正事業者であれば、メーカー規格やJIS規格と同じ品質で校正を実施することができます。
ISO認定の校正証明書が発行されるため、品質面においても心配はありません。
マルチベンダーで展開している事業者であれば、複数のメーカーへ依頼する手間も省けるでしょう。

いずれのケースにおいても、校正証明書や試験成績書がきちんと発行されていれば、品質面においては問題なく、費用面や取り扱い機種の幅などで使い勝手が変わってくることになります。
必ずしもメーカー校正だけでなく、外部校正会社も積極的に活用することでコストや管理工数は削減できるかもしれません。

各種校正証明書例

各種校正証明書例

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