計測器の実践技術トレーニング ~OJT教育中心の人材育成のこれから~

企業は即戦力を求めている?でも、貴重な人材を大切に育てたい!!

企業にとってOJT教育は、今でも人材育成・能力開発において重要な位置づけにあります。しかし、近年では、人材育成・能力開発に対して質と量ともに変化が見られるようになってきました。厚生労働省が発表するデータを引用しながら、OJTに対する実態と、今後求められる人材育成・能力開発の一端について触れていきます。

OJTとOFF-JTのうち重視する教育訓練

厚生労働省のデータを参照しますと、ここ数年、約74%の企業がOJTを重視した教育訓練を行っていることが分かります。企業は、人材育成・能力開発においてOJTの有効性を認めていることが確認できます。
この理由には、「コスト」・「自社独自技術」・「各部門の個別指導」などが挙げられ、業務を通じた育成方法が理にかなっているとの判断が働いているものと考えられます。

人材育成・能力開発として重視されているOJTですが、一方で、以下のような問題が顕在化してきました。
・教育に時間が取られ、業務停滞をさけるため結果的に長時間労働になってしまう
・OJTスケジュールや目標設定がすべて指導者任せ
・叱咤(しった)激励の方法に神経質になり、なかなか進まない
・業務過多の影響で体調を崩すことも
トレーナー側は、本来の業務がより高度化していく中で人材育成の指導負荷が増している傾向が推察されます。業務の停滞もしくは育成指導のバランスをうまくとることができず、さまざまな問題が生じる結果となっているようです。

今後の人材育成はOJT+外部委託+自己啓発サポートのミックスへ

教育訓練の実施方針

国際競争や技術進歩、そして雇用期間の長期化を考えますと、企業内で人材育成・能力開発を考え実行することが難しくなってきています。

これからの人材育成・能力開発の課題解決のためには、三つの「確保」が重要となってくるのではないでしょうか。
・指導する人材の「確保」
・人材育成に用いる時間の「確保」
・人材育成・能力開発に使える予算の「確保」

それを示唆するものに、厚生労働省が発表したデータがあります(左図)。ここ数年で、教育訓練について「外部委託・アウトソース」を重視する企業が増え、より効果的に人材育成・能力開発を図ろうとしていることが読み取れます。

日本経済団体連合会による今後、充実させてほしいカリキュラムの調査結果

企業側が提供するOJTだけでなく、自らのキャリアプラン形成の重要性を唱え、自ら学び直しを始めとする自己啓発を推奨する企業も出てきています。

左図は、日本経済団体連合会による「社会人の学び直しに関する産業界の取り組みや期待」の調査結果です。
これによると、産業界が大学等に求めるものとして、専門性が高く、かつ実践的な教育カリキュラムが上位を占めています。企業内のOJTなどでカバーできない部分を大学等の教育カリキュラムで効率よく育成したいという期待の表れではないでしょうか。

労働人口が減少するなか人材確保が難しく、そして貴重になる中、人材育成で企業戦略が大きく変わることもあるでしょう。そのような状況の中、現場力・即戦力を身に着けるための「OJT」、スキルの見える化・効率よい育成を行う「外部委託・アウトソース」、そして得意分野を伸ばし社外人脈構築と対応能力を身に着ける「自己啓発サポート」の組み合わせが、今後重要になることが想定されます。

外部委託により実践的な教育カリキュラムが技術者育成には不可欠と考える企業が多い~加速的に技術革新が進む中で、OJT中心の技術継承だけでは対応が難しくなってきました。~

技術継承

当社では、約 20 年にわたり「計測器の実践技術トレーニング」を提供してきました。実際に、技術教育に関して開発責任者や技術教育担当者の方からは、以下のような意見を多数お聞きします。
・ベテラン技術者の大勢が定年を迎えはじめていること
・技術革新やビジネス環境の変化が速い
・設計開発リードタイム(もしくは製品ライフサイクル)が短くなってきた
技術継承の場やスキルアップの時間を確保することが難しくなってきたことが推察されます。

計測器

ここで、当社の「計測器の実践技術トレーニング」の受講者動向をご紹介します。
当社の教育カリキュラムの受講者数変化(当社実績 2015年比)
・オシロスコープ入門:3倍
・スペクトラムアナライザ基礎+実習:2倍
・ネットワークアナライザ基礎+実習:5倍
※受講者数は非公開

このように、ここ数年、技術者の理論と実践教育の場として採用される例が増え、スペクトラムアナライザとネットワークアナライザの講座を中心に、受講者が2~5倍に増加しています。5G、IoTそしてWi-Fi6などの通信技術の採用やEMC規制の強化などによって、幅広い業種で高周波技術やノイズ対策に関するスキルアップが必要とされるようになってきたのが背景にあると考えられます。

技術教育計画は、技術者の要望に応えて都度、行うだけではなく、所属部署で保有する計測器を把握し、実務での利用機会の有無に応じて、計画的に技術教育を企画しておくことが効果的です。また、カリキュラムの内容は、講義だけでなく実習をどのくらい多く取り入れたものか、という視点も重要です。今後の計測器の技術教育計画、その参考になれば幸いです。

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