創業以来100年以上の歴史を持ちながら、常に変革を行ってきた横河電機株式会社。現在、国際情勢や事業環境の大きなうねりのなかで、社員の生産性向上や顧客向けの付加価値向上を目的とした社内外のDXを軸にした根本的な事業体制の変革に取り組んでいます。
このDX推進、さらにはコロナ禍によって進んだテレワーク環境に対応できるPC調達・運用のスキームとして、同社では Device Management as a Service の検討を進めてきました。
その結果、横河レンタ・リースの「Cotoka for PC」を導入。社内の標準的なPC運用のフレームワークとして、グローバルでの利用も視野に入れた展開を推進しています。
評価ポイント
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PCを「サービス」として
利用できる -
場所を選ばず
PCをデリバリーできる -
PCを常に
最新の状態に維持できる
お話を聞いた方
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横河電機株式会社
常務執行役員(CIO)
デジタル戦略本部長 兼 デジタルソリューション本部
DX-Platform センター長
舩生 幸宏 氏 -
横河電機株式会社
デジタル戦略本部
グローバルインフラ・セキュリティセンター長
黒﨑 裕之 氏 -
横河電機株式会社
グローバルインフラ・セキュリティセンター
セキュリティ推進部長
金田 賢伊知 氏
DXを軸にした事業変革を推進
1915年に計測器事業を行う企業として創業し、現在ではさまざまな産業を支える制御事業を主力とする横河電機株式会社。
同社の事業領域でも産業分野向けのモノのインターネット(Industrial Internet of Things:IIoT)技術をはじめとするIT化が進む中、グローバルを含めた全社で大規模な改革を進めてきました。
同社常務執行役員(CIO)の舩生幸宏氏は「地球温暖化、そしてSDGsを踏まえた脱炭素社会を指向するエネルギー転換の動きの中で、当社の主力事業であったオイル・ガス領域のプラント建設が減少傾向にあることを受け、従来の製品・機能別組織から「エネルギー&サステナビリティ」「マテリアル」「ライフ」というインダストリー軸の組織に再編を進めています。この組織改革と合わせて進めているのが従来のライセンス売り切りビジネスから、いわゆるサブスクリプションモデルに代表されるリカーリングビジネスへのシフトです。
この「モノ」から「コト」への事業体のシフトにはDigital Transformation(DX)が欠かせません。そこで、当社では社員の生産性向上を主目的とし、それらに焦点を当てたInternal DXと、そこで得られた知見を生かし、顧客向けに付加価値のあるデジタルサービスを開発および提供するExternal DXを両輪で進めてきました」と語ります。
ワークスタイル変革、コロナ禍をふまえオフィス外で働くことを前提にしたPC環境を
全社的なInternal DXとして、同社ではゼロトラストセキュリティ環境を意識したワークスタイル変革を推進してきました。
同社デジタル戦略本部グローバルインフラ・セキュリティセンター長の黒﨑裕之氏は「これまでオフィスで働くことが前提だった社員が、テレワークを始めとして社外で働くことが当然となる中、課題となったのがセキュリティでした。特に当社の売上の7割を占める海外では、マルウェアを始めとしたさまざまなサイバーリスクに直面しており、より脆弱となりやすいテレワーク環境におけるセキュリティ強化は必須でした。そこで、グローバルで Microsoft 365 を軸とした業務環境を構築し、情報インフラとしては境界型セキュリティからゼロトラストセキュリティ環境へのシフトが進みつつありました」と語ります。
その一方で課題となったのがエンドポイント、つまり社員が使用するPC環境の運用でした。
デジタル戦略本部グローバルインフラ・セキュリティセンターセキュリティ推進部長の金田賢伊知氏は「PCのセキュリティ対策として基本となるのが、OSやアプリケーションを常に最新の状態に保つことです。社内であればPC管理者の目が行き届き管理がしっかり行えますが、テレワーク環境となるとそれが困難になります。そこで、当社では横河レンタ・リースの Unifier Cast、AppSelf を導入し、テレワーク環境でもクラウド上からOSやアプリケーションのアップデートを確実に行い、エンドポイントセキュリティを強化する仕組みを整えてきました。
その一方で、PCのライフサイクルマネジメントを考えると、適切な時期がきたらPCの更新を行う必要があります。これまでは社員が出社することが前提だったため、PCの更新の際は社内でPCの受渡しが行われてきた。しかし、現在のようなテレワークが中心の働き方にシフトすると、社員の自宅への配送まではされず、結果的に社員に出社してもらうなどの負担を強いることになっていました」といいます。
横河電機が進める Device Management as a Service と「Cotoka for PC」の導入
この「テレワーク下のPC運用」の課題を解決したのが横河レンタ・リースの「Cotoka for PC」(以下、Cotoka)でした。
金田氏は「ライフサイクルを意識した PC運用では、“サービスとしてPC” を使う、 Device Management as a Service が理想だと考えていました。当社ではPCのライフサイクルを4~5年と考えていますが、この間、最初に導入した環境のままではなく、継続的に適切なアップデートを行い、システム的にはライフサイクルの最後まで最新の状態を維持して次のPCに移行していくということです。まさに Cotoka を活用して実現出来るようになりました」と語ります。
2022年4月の Cotoka サービス開始に先駆け、同社ではサービスインの約半年前から導入の準備を進めてきました。
「グローバルでのIT運用の効率化のために、先にも触れた通りソフトウエア/システムは Microsoft 365 を基盤としたものに移行し、合わせてPCはベンダーを一社に絞って調達を行うことを決定していました。そのため、横河レンタ・リースにはPCベンダーとの間に入ってもらい、多方面で調整してもらいました。特に検証の際は、市場のPC需給が厳しいにも関わらず、ベンダーに交渉して調達することができ、横河レンタ・リースの実力を感じました。Cotoka 導入にあたっても社内のワークフローとの連携にも尽力してもらい、ご苦労をかけた部分も大きかったと思いますが、しっかりご対応いただき、大変助かりました」(金田氏)
まずは国内の1万2000台を Cotoka に 将来はグローバルでの利用も
2022年4月のサービス開始時は、社内で最も使われている一般業務用のビジネスラップトップモデル1機種のラインアップですが、今後はラインアップを増やしていく予定だといいます。
「開発者が利用するエンジニアリング向けのPCには機械学習の業務にも利用可能な高性能GPUを搭載した機種が欠かせません。一般業務用PCと比較すると必要な台数は少ないですが、運用効率を考えると Cotoka にラインアップしていく必要があります。さらに今後は既存のPCも Cotoka 上に登録し、すべてのPCのライフサイクルマネジメントを Cotoka で行えるようにすることで、管理効率を上げて行く予定です」(黒﨑氏)。
舩生氏は「最終的にはグローバルで使われている、約2万5000台のPCをすべて Cotoka 上で管理できる状態が理想です。今のところ横河レンタ・リースでは国内だけのサービスと考えられているようですが、我々も協力しながら、ぜひグローバル展開してもらえればと考えています」と語ります。
さらなるサービスの展開を期待
Cotoka サービスについて黒崎氏は「当社は「横河電機」という漢字の名前で、創業して100年以上たつ製造業ですが、DXを強力に推進していくためには、IT業界を志向するような人材に活躍してもらう必要があります。それに対して、在宅でも業務用PCが届き、自動でセットアップされ、安全に使うことができる環境があるということは、IT業界と遜色ない多様な働き方ができるとアピールできるポテンシャルがあると考えています。
また、エンドポイントセキュリティの観点からも、“ゼロトラストセキュリティの1つのコンポーネント”として扱えるようになるという点も高く評価しています」と語ります。
舩生氏は「Cotoka はその名前の通り、“モノ”から“コト”へのシフトを表していると思いますが、これは当社の事業戦略ともマッチしています。
今は「for PC」の名前がついていますが、今後は「for IIoT」「for OT Devices」など、さまざまなデバイス対するサービスも念頭にあると聞いています。グローバルへの展開、さまざまなデバイスへの展開をぜひ当社の事業とともに進めて行くことを期待しています」と語ってくださいました。
会社情報
名称 | 横河電機株式会社 |
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所在地 | 東京都武蔵野市中町2-9-32 |
資本金 | 434億105万円(2022年3月末現在) |
社員数 | 17,258人(連結) |
URL | https://www.yokogawa.co.jp/ |
※本事例は2022年7月に作成したものです。本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞などは初掲載当時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
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