PCレンタルビジネスを築いた営業が中堅営業パーソンに贈るBtoB営業ワンランクアップ術

作成日:2020/05/01

お役立ちコラム

PCレンタルビジネスを築いた営業が中堅営業パーソンに贈る
BtoB営業ワンランクアップ術

今回から5回で当社常務執行役員の石戸が今までの営業経験を赤裸々に、これから営業として成長してほしい中堅営業に向けてお話します。同じように悩む営業のかたに少しでも参考になれば幸いです。

1.<基本編>営業の基本をおさらいする

こんにちは。
横河レンタ・リースで常務執行役員の石戸和夫と申します。
私はPCレンタルの黎明(れいめい)期だった35年前にPCレンタルの事業を立ち上げ、営業してまいりました。
当時は、レンタルという仕組み自体が世の中にまだ知られておらず、五里霧中の状況下で、たくさんの失敗と経験をしながら、PCレンタルの営業を確立してきました。

この経験を、後進に引き継いでいくため、これから営業活動の中核を担う3~4年目の営業担当者を対象に、私の経験から得たBtoB営業の極意を伝えてきました。
今回は、そのエッセンスをまとめたものを全部で5回に分けて皆さまへお届けします。
ぜひ、皆さまの日々の営業活動にお役立ていただければ幸いです。

できる営業は空中戦と地上戦をうまく掛け合わせる

今日の営業活動では、よく空中戦と地上戦という言葉を耳にします。
空中戦はネットをはじめとした媒体を使ったいわゆるマーケティング活動。
そして地上戦は実際にお客さまを訪問する営業活動のことです。

当然ですが、私がPCレンタルの営業を始めた35年前は地上戦しかありませんでした。
いわゆる「根性の飛び込み営業」というやつで、ともかく突撃あるのみでした。
しかし、企業のセキュリティーが高くなった現代では、地上戦だけではお客さまの前にすら行くことができません。
そこで、事前の活動として、入り口を切り開く空中戦が重要になってきます。
つまり、今日の営業活動においては、空中戦と地上戦を組み合わせて、どう効率よく活動するかに営業の成否がかかっているといっても過言ではありません。

空中戦も大きく分けて、組織で行う空中戦と、個人で行う空中戦があります。
組織でおこなう空中戦とは、プロモーション活動や、各営業担当者からもたらされる情報を集約し、CRMなどで各営業担当者に展開していく活動がそれにあたります。
この点に関しては、各企業の努力が必要な点ですので、自社でこのあたりのサポートが足りないと感じる方は上長に相談して全社での取り組みを検討してください。

他方、各個人の活動でも空中戦で戦う方法があります。
それがメールなどを活用した見込み客と既存顧客への情報提供、そしてWebを活用した顧客の情報収集です。
「与える」という行為による継続的な情報提供により、顧客に自分の存在感、有用性を感じてもらいつつ、地上戦に備えます。

プライオリティづけで効率のいい営業活動を実現する

営業活動は効率が重要です。
営業の結果は確率論ですから、顧客とのコンタクト回数、つまり訪問回数という母数を増やせば増やすほど、その結果もついてきます。
月に10社回っているだけではだめで、その数を20~30社まで増やさなければ成果は出てきません。

そのためにも、効率よく仕事を進めていく必要があります。
その基本となるのが「プライオリティー」、つまり業務の順位付けをしっかり行うことです。

案件やさまざまな業務には、その状況によって今終わらせなくてはいけないものや、明日でいいものなど、緊急度・重要度が異なるものが雑多にあります。
これを雑多のままに処理してしまいますと、本当に緊急度・重要度が高いものが後回しになってしまうことが多々あります。

したがって、常に仕事の順位付けを行い、その順番にこなしていく、ということがとても重要になってきます。

では、そのプライオリティー付けはどうやればいいのでしょうか。
それには王道というものはありません。
なぜなら、人それぞれ能力の差や、得意不得意、そして考え方の違いがあるからです。
また、自分の担当するのがエリアなのか、大企業中心なのかという客先のタイプによってもそのアプローチは異なります。

したがって、「こうやりなさい」という型を作っても万人に当てはまるものではありません。
上司もそこまで助け船は出せません。
なぜなら、あなたの個々の業務、活動を細かく把握しているわけではないからです。
あくまで、自分自身に合ったやり方を自分自身で考えて作り上げていくしかないのです。
まさにセルフコントロールが大切です。

効率よく仕事を進めるためのヒント

と、突き放してしまっても冷たすぎるので(笑)、効率よく仕事を進めるためのヒントを一つお伝えします。

次回詳しくお話しますが、私は、営業において事前準備しだいで、営業活動の成否の70~80%が決まると考えています。
その事前準備で一番重要になるのは顧客情報です。
お客さまの情報は多いに越したことはありません。
情報量が増えれば増えるほど、提案もしやすくなり、その結果としての成約にもつながりやすくなります。

先ほど、空中戦において顧客情報を集めるといいましたが、何より価値があるのは地上戦でお客さまと相対して生で得られる情報、つまり商談・面談で得られた情報です。
質の面でも量の面でも直接聞いた情報が一番価値あるものです。

したがって、商談の場では可能な限り情報を得ることが大切なのですが、人間は忘れてしまう生き物でもあります。
そこで、情報を聞き漏らさないように私が考えて作ったのが「聞くことリスト」、すなわち情報チェックリストです。
今でも、これを手帳に挟み込んで、商談の際にちらちら見ながらチェックしています。
ポイントは決して相手に悟られないこと。
リストに従って質問していることがわかってしまいますと、相手にとっては尋問されているように感じるからです。

もう一つ作ったのが、訪問管理表です。
訪問先と商談の状況を一覧表にすることで、各顧客先の訪問状況、商談状況が一目でわかるようになり、顧客対応の抜け漏れをなくし、次への対策を考える起点として使えるようになりました。
これは20年前に作り、今では当社の営業担当者向けのツールとして社内にも展開しています。

これは私の考えた手法、ツールですが、皆さんもこれまでの経験を生かして、ぜひ自分の営業に役立つツールややり方などを考えて実行してみてください。

「鉄は熱いうちに打て」

タイミングを逃さない。
営業にとってとても重要なことです。
お客さまが欲するタイミングでほしいものを提供すれば、お客さまは買ってくれます。
契約してくれます。
しかし、必要ないタイミングで提案・営業してもお客さまは触手を伸ばさないでしょう。

当社が取り扱うレンタルというサービスは、2~3カ月使ったら終了という比較的短期契約が多いサービスです。
つまり、2~3カ月間、何もアクションしなければ、お客さまのニーズもなくなり、忘れ去られてしまうでしょう。

したがって、お客さまの意識が高まっている導入時から導入直後には情報収集をして、お客さまがサービスを利用している間に、お客さまのニーズをくんだ提案がその後できるかどうかが、勝負と言えます。

「Why?」という意識を忘れない

常に「Why?」「なぜ?」という意識を持つことも大切です。
例えば、とあるお客さまから「〇〇社のパソコンを10台、1カ月間レンタルしたい」という注文が入ったとします。もちろん、お客さまの注文通りに〇〇社のパソコンを10台用意して、1カ月間レンタルすれば売り上げは立つでしょう。
しかしそれでいいのでしょうか?

ここでの「Why?」はメーカー指定だった、ということです。
単に短期レンタルでPCを使うのであれば、スペックと金額が合えばメーカーは問わないはずだからです。
そこには何らかの理由があるはずです。
その何らかの理由を放置せずに、お客さまに聞いてださい。
何らかの理由があり、そこには、新たなビジネスのチャンスやこれまでの顧客情報の精度をアップさせる何かがあるはずです。

このように、常に疑問を持つ、ということも、とても大切なことです。

「売れる」を考える

「売る」というのは、売り手の理屈です。
お客さまにとってみたら、押し売りみたいなものでしょう。
では、どうすればお客さまは買ってくれるのでしょうか。
どうしたら他ではなく自社を取引先として付き合ってくれるようになるのでしょうか。

その答えは「必要と思ってもらえること」でしょう。
必要なもの、必要なサービスを必要なタイミングで提案してくれる営業担当者なら、お客さまが求めてくれるはずです。
常にお客さまの求めるものを考え、それを提供していく。
それが「売れる」営業の本質だと思います。

次回は、とても重要な「事前準備」についてお話していきます。

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