追従クルーズに世界初となるトレース位置の調整機能を持たせたDSコネクテッドパイロットや最新クリーンディーゼルの燃費に迫る

作成日:2019/04/03

お役立ちコラム

追従クルーズに世界初となるトレース位置の調整機能を持たせたDSコネクテッドパイロットや最新クリーンディーゼルの燃費に迫る

2009年にシトロエンの高級ブランドラインからスタートし、日本では2015年に正式に独立したブランドとして立ち上がったDSオートモビルズ社。
今回はDSオートモビルズ車のフラッグシップ車種である「DS7 クロスバック」を約1000kmに渡ってテストする機会を得た。

DS7クロスバック So Chic BlueHDi

今回のテスト車両はエントリーグレードのSo Chic BlueHDiで2日間で約1,000km埼玉県-岩手県を一般道と高速道(東北自動車道)をほぼ半々の割合で走行した。
車両個体はODO2,000km以下のほぼ新車という状況のため、いわゆるフランス車の“あたり”がつくと今回の印象よりもさらに滑らかな乗り味になるのかもしれない。

今回の試乗で私が楽しみにしていた機能が2つある。
その一つは「DSアクティブスキャンサスペンション」と呼ばれる、カメラで前方の路面凹凸状況を検知してショックアブソーバーの減衰力を可変させるというもの。
ドライブモードを「コンフォート」を選択した場合に作動する仕様となっており、前方の5~25mの路面状況をモニタリングし、時速13km~130kmの間で動作する。
※天候が悪い場合には作動しないこともある。

次世代の“ハイドロニューマッチック“はいかに?

シトロエンと言えば油圧と窒素ガスにより、フラットな乗り味を生み出す「ハイドロニューマチック」が代名詞だ。
DS アクティブスキャンサスペンションはその後継にあたるシステムで、このクラスの車両に同様の仕組みを採用したのはDS7 クロスバックが初である。

アクティブスキャンサス作動イメージ

アクティブスキャンサス作動イメージ

正直なところ一般道では元々の足回りの完成度が高いため、そこまで「快適な乗り心地になった」と感じることはなかった。
しかし高速道に入ると印象は一変、比較的凹凸や起伏の多い東北自動車道で常に車体をフラットにキープする制御はさすがフランス車といったところ。
あまりにも快適な乗り心地で片道約500kmを1回のトイレ休憩のみで走り切ってしまった。

装着されていたタイヤはミシュランのラティチュードツアーHPで燃費性能とコンフォート方向に振られたタイヤと相まって、車内の騒音や振動は快適そのものだった。

キラキラの眼が夜道を照らす

もう一つの気になっていたのが「DSアクティブLEDビジョン」でヘッドライドに内蔵された3つの眼がそれぞれ6パターンの走行モードによって可変するというもの。

「DSアクティブLEDビジョン」イメージ

「DSアクティブLEDビジョン」イメージ

配光モードは以下の6パターン。

  1. 停車モード
  2. 市街地モード
  3. 郊外モード
  4. 高速道路
  5. 悪天候モード(ワーパー作動時)
  6. インテリジェントハイビームモード
DSアクティブLEDビジョン YouTubeリンク画像

実際に乗って動作の効果を感じたのは市街地モードとインテリジェントハイビームモードで、歩道までを完全に照らす照射範囲の広さと、光量を最大限に前方へ集中できるいいとこ取りでドライバーの負担を大幅に減らしてくれると感じた。

せっかくなら上級グレードのインテリアが欲しい

インテリアも非常にお洒落にまとめられており、搭載のマルチディスプレイはApple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。
大変贅沢ではあるが、一度上級グレードのインテリアの質感を見てしまうと、このクルマをどうせ買うならこっちの方が欲しいなー、、、と思ってしまう。
センタークラスターに時計があるクルマに男のロマンを感じてしまうのは私だけだろうか。。。

DS7 クロスバック So Chic インテリア

ステアリングの前にはフル液晶のメーターパネルがあり、車両状態を分かり易く表示する

DS7 クロスバック Grand Chic インテリア

PSAグループで最も進んだ安全装備

今回のデモカーには搭載されていなかったが、オプション設定でDSナイトビジョンを選択することが可能となっており、夜間走行時に赤外線カメラで捉えた人物などをマーカーしドライバーへ警告する。

DSナイトビジョン

DS7 クロスバック メーターディスプレイ

車線維持をサポートする「DSコネクティッドパイロット」作動時にはメーター内に緑色のステアリングマークが現れる。
100km/h走行時のエンジン回転数はわずか1300回転弱で、アイシン製8EATの底力を見せつけられた。
走行中の表示では100km/hであれば燃費は20km/Lを切ることはなさそうだ。
シフトレバーも電子式のデザイン性に優れたもので、最近ではこのお決まりの位置にシフトレバーが無いクルマも多くなってきているがこのデザイン性ならばあえてここに配置されていてもセンスが良い感じを受ける。

やっぱり欧州車とディーゼルの組み合わせは最高

DS7 クロスバック EAT8

搭載される2,000ccのクリーンディーゼルエンジンBLUEHDiは177ps/3750rpm 400Nm/2000rpmを発揮する。ガソリン車でいう4,000ccクラスのトルクで速いというよりも力強いパワー特性で高速などで長距離のクルーズは快適そのもので、高速なら満タンで1000km以上走行できるのではないだろうか。

排ガス浄化にはアドブルーを使用するが、私の経験上では高速メインで乗っている場合15,000kmに1回補充をすれば済む手間のイメージである。
最近ではトラックが多く利用する郊外のスタンドにもアドブルー補充ができることもあり、必ずしもディーラーでなければできない作業ではない。
場所にもよるがアドブルー1回の補充はだいたい2,000~3,000円のところがほとんどではないだろうか。
※乗り方や私用環境によって補充スパンは大幅に変動する可能性あり。

PSA DPS BLUE HDi

水色の管からアドブルーを触媒・フィルターへ噴射することでNOx(窒素酸化物)を90%除去し欧州排出ガス規制EURO6、日本のポスト新長期規制をクリアしています。
DSオートモビルズが所属するPSAグループでは世界で初めて量産車にDPF(微粒子フィルター)を標準装備するなど、長年のディーゼルエンジン開発の技術を結集し多くの特許も取得しているとのこと。

BLUE HDi 2000CC

自動運転技術でありそうでなかった物

全車に標準装備されている「DSコネクテッドパイロット」は、世界初の機能トレース位置の左右位置を調整することができる。
どういうことかというと、通常レーントレーシング機能は車線真ん中または全車のちょうど後ろを追従するのが普通だ。
このDSコネクテッドパイロットが優秀なのは、車線のどの位置をキープするかを選択できるところにある。

DS コネクテッドパイロットイメージ図

例えば高速道路で片側車線の工事をしていた場合、若干反対側に寄りたい時がある。
私は日々、高速道路で渋滞中にすり抜けていくバイクとミラーがぶつからないかドキドキしているがこの機能があればバイクの通るスペースを空けて追従クルーズが可能だ。

また、走行距離のうち約200kmは豪雨のため80km規制であったが、DSコネクテッドパイロットはしっかりと車線をトレースしてくれた。

今回は冒頭で述べたとおり、約1000kmを走行して18.1km/Lと車両重量約1700kgのSUVとしては異例の燃費を示してくれた。

せっかくのドライブだからこそ、100円コーヒーも快適に飲みたい、、、、

唯一使いづらいと感じたのはカップホルダーで、コンビニの100円コーヒーを置くと、取り出しづらい印象を受けた。

DS7 クロスバック カップホルダー

DS7 クロスバック カップホルダー

またこの位置のカップホルダーはアームレストに腕を下すと、コーヒーの飲み口が袖に付いてしまうので気を付ける必要がある。

DS7 クロスバック 長距離テスト 1000km

まだまだ自動運転に関する技術は発展途上ではあるが、デザインも独自路線を行くDSオートモビルズのこういった機能は是非今後のユーザーフレンドリーなシステムとして発展してほしいと願う。
自動車業界では電動化が進むといわれている中で、このような100年以上に渡る歴史がある内燃機関の最終形に乗れる期間も残り少ないのかもしれない。

執筆

原田 大輔 (横河レンタ・リース株式会社 マーケティング本部 CDセンター)

Flex Work Placeをはじめとする、情報システム管理者の課題解消ソリューションのマーケティングを担当。
業界を問わず各社とコラボレーションした企画やウェビナーを多数開催している。
趣味の自動車好きが高じて、くるまマイスター検定1級を取得。
時間があれば近未来の水素/電気で刷新される自動車の未来について考えている。

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