PMあるある(ビジネスパートナーがいない!)

作成日:2020/09/15

お役立ちコラム

PMあるある(ビジネスパートナー(以下BP)がいない!)

このコラムはプロジェクトマネジャー(以下PM)の日常を紹介します。
「あーっ、それってあるよね。」「もっとこうしたらいいのに。」「同じような悩みだなぁ。」などPMあるあるを息抜きがてら楽しんでください。

本コラムで登場するプロジェクト(以下PJ)は実在のものですが、固有名詞は仮名です。
また数値も一部変更していますのでご了承ください。

PJ概要

  • 受注額:2000万円
  • 開発期間:7カ月
  • 体制:3~5名で常駐のビジネスパートナーがいます。
  • 内容:受注情報、最終収支予定を記録参照する業務管理アプリ開発を行います。
  • 主な要素技術:C#、SQLサーバー、Webについての開発です。
  • 会社:国内独立系システムインテグレータ。請負と人材派遣の両輪でビジネスを展開しています。
       受注内容は、2次請け3次請けでビジネスをしています。

プロジェクトメンバーの紹介

  • PM(相沢徹):業務管理アプリの開発プロジェクトリーダー(以下PL)を経て今期からPM職に従事。PMとして初めての案件は、既存顧客へアプリ機能の追加。見積もりから検収まで、顧客とメンバーをリードし問題なく完了。今回が2件目の案件である。業務アプリを新規顧客に構築中。北海道出身44歳男性。
  • PL(香川純子):入社以来一貫して業務系アプリ開発に従事。東京出身37歳女性。
  • 調達(黒田久美子):協力会社から技術者を調達する業務に従事。元DBのSEとして活躍した実績あり。調達部門に着任して3年。神奈川県出身57歳女性。

海外でのシステム開発も珍しくない時代ですが、国内のシステム開発体制でもグローバル化は必須です。
この現場でも開発体制を組むにはグローバルに要員確保を検討しなければなりません。
しかし、現場の要求レベルとエンジニアスキルのミスマッチの問題が発生しているようです。

プロジェクトも終盤のある日のことです。

PM(相沢)

先週お願いしたBP調達の件、候補者はまだでしょうか?

調達(黒田)

残念ながらまだダメね。個人的なつてもフルに使って探しているけど、現時点で候補者がいないわ。

PM(相沢)

えっ、マジか~。徐さんが抜けた穴を残業でカバーしているけど体力的に厳しい状況です。ところでBP各社の営業からの紹介そのものがゼロってことですか? (徐さんは前回のコラムの登場メンバーでテスト要員でした。)

調達(黒田)

そうじゃないの。うちの調達担当者にエンジニアの情報は入って来ているわ。だけど書類チェックレベルで相沢さんの希望条件に先方の参加可能日、単価、経験、スキル、通勤状態、商流等の情報と照らすと合う技術者はいまのところゼロよ。

PM(相沢)

徐さんが急に帰国したので、結合テスト進捗(しんちょく)に影響が出始めています。お父さまの体調急変だから引き留めるわけも行かず。彼、やっと慣れてきたところだったのになぁ。BPが抜けるケースはあるので想定はしていたのですが、メンバーとも仲良くやっていただけ にちょっとビックリです。

調達(黒田)

そんなこともあるわよ。それだけに日々の業務の様子でアンテナを張っておかないとね。徐さんのBPの営業に彼が帰国することあれば連絡をもらうように申し入れておくわ。明後日ひょっこり帰国するかもしれないからね。

PM(相沢)

そう言えば、彼、給与が低いってこぼしていたけどBPの営業さんからなにか申し入れはありました?

調達(黒田)

いいえ、あの会社との取引は初めてだけど、ここまで特に問題ないわよ。契約はSES契約。単金と清算枠条件でモメたことないし。徐さん本人はお金の問題があったのかも。まぁ疑いだしたらきりが無いわ。一刻も早く新しくメンバー探しましょう。

PM(相沢)

徐さんの作業はいったん香川さんに巻き取ってもらいました。ただ彼女が一人で最後までやり切れる量ではないです。一刻も早く交代要員をいれないとヤバイが、現時点で候補者なしは厳しいですね。BPに修正箇所のアタリを付けることまででもやってもらえれば、香川さんの負荷は軽減できるから残業で乗り越えられるかも。不具合修正とリリース作業は全部任せたいので経験が必要だけどBPの要求レベルを少し緩くするかぁ。よし、コードが読めればOKだから経験年数を3年から1年に変更しますよ。

調達(黒田)

そうなると数名いるけど全員外国籍。日本語能力検定1級(N1)保持者は2名ね。

PM(相沢)

じゃあ、その2名に案件説明するので面談日時をセットしてください。

調達(黒田)

了解。相沢さん、明日と明後日の予定を間違いなく空けておいてね。場所は新宿オフィスでいいわね?これからBP営業に伝えて確定したらメールするから。

PM(相沢)

はい。よろしくお願いします。追加でひとつお願いがあります。面談前に日本語がどの程度可能か直接本人と電話で会話してチェックしてくれませんか。N1保持者でも実務レベルでない人がけっこういるので。N1にはまったくこだわっていません。書類チェックでN1なくても日本語の問題がクリアできそうな人なら候補に入れてください。

調達(黒田)

わかったわ。それじゃ大学4年間日本に留学経験ある人はN1と同等扱いにして候補者リストに加えるようにしていくわ。

PM(相沢)

よろしくお願いします。

後日談。

N1保持の候補者の1名は黒田が電話で自己紹介と大学での専攻を話題にしたが会話にならず断念しました。 日本の大学を卒業しているが会話力は業務に耐えるものでありませんでした。 どうやって日本の大学を卒業できたのか不思議です。 結局N1保持の条件を外したところで新しく2名の候補があがったうちの1名を採用しました。 外国籍の技術者は技術力と経験の前に日本語能力の評価が外せません。 BP参加までの3日間は香川さんが毎日終電まで頑張ってもらいました。 新規参加のBPも香川とコンビがはまり獅子奮迅で予定日までにリリースまでの品質に仕上げることができました。 相沢が自腹で香川の大好物である揚げを3日連続で差し入れたことは言うまでもありません。

近年はSI案件で自社社員のリソースだけでプロジェクト体制が組めることはほぼありません。 案件ごとに要員を募集する側(発注者:技術者を求める側)と案件を希望する側(受注者:技術者を出す側)でマッチング行為が必須です。 そして外国籍の技術者を使うことが避けられません。 頻発する問題として「できます」と言う感覚が日本人とかけ離れています。 極端な言い方ですけど、「こんにちは」が言えれば日常会話OKとアピールします。 技術レベルも、日本語があまりできないため、力量を正しく表現できず、「できます」ばかりになります。 BP採用の課題はプロジェクト成否の大きな問題になっています。

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