PMあるある(PMの愚痴 その1)

作成日:2021/09/20

お役立ちコラム

PMあるある(PMの愚痴 その1)

このコラムはプロジェクトマネジャー (以下PM) の日常をご紹介しています。
「あーっ、それってあるよね。」「もっとこうしたらいいのに。」「同じような悩みだなぁ。」など、PMあるあるを息抜きに楽しんでください。

ご紹介するプロジェクト (以下PJ) は実際のものですが固有名詞は仮名です。
また数値も一部変更していますのでご了承ください。

PJ概要

  • 見積額:2,000万円
  • 開発期間:7カ月
  • 体制:3~5名 (フェーズにより増減)
  • 内容:受注情報、収支情報を記録参照する業務管理アプリ開発
  • 主な要素技術:C#、SQLサーバー、Web関連
  • 状況:業務管理アプリへ追加機能開発中

プロジェクトメンバーの紹介

  • PM(寺島学):業務管理アプリ開発PM。鹿児島出身48歳。
  • PM(秋田忠弘):流通業のシステム導入PM。東京出身。49歳。

寺島と秋田は共にバイク好きで同期入社の親友。
お互い業務が忙しく会う機会は減っていた。
今日は期初キックオフミーティング。
新型コロナウイルス感染拡大による2回目緊急事態宣言は解除されたところだが、密を避けるためマネジャー職以外はリモート開催となった。
ふたりは原宿の本社会議室で参加していたキックオフパーティーで軽く食事取った後、

裏原宿のショットバーで上司や部下には言えない日頃の愚痴を交えて会話が始まった。

PM (秋田)

さて、なにしようかなぁ。えぇと、バーボンにしよう。ロックで。

PM (寺島)

私はシングルモルトがいいな。ストレートでお願いします。

PM (寺島)

きょうのキックオフどう思う?

PM (秋田)

「皆さん、今年は変革の年です。」ってフレーズ、毎年聞いているから新鮮味はないよ。結局は目標の売り上げ/利益を達成しろよ、ってことだよな。

PM (寺島)

そうだなぁ。ところで施策の話はどう思った?

PM (秋田)

そういえばPMの評価方法とSEの教育制度を見直すって話、ちょっと気になったよ。

PM (寺島)

実はさぁ、先月上司の山田さんから経営陣とのミーティングに同席してくれと頼まれ出席してね。PMとして意見したことがそれに盛り込まれていたよ。

PM (秋田)

えぇっ、なになに俺呼ばれてないぞ。

PM (寺島)

その頃お前はデカい問題の対応中でてんてこ舞いだったろう。ほんとは現役PM全員呼びたかったが、山田さんはその状況を知っていたので声かけしなかった。秋田以外の他のPMも現場を抜ける余裕なく結果的に参加できたのは俺一人だったのさ。

PM (秋田)

たしかに先月は大変だったよ。仕様か不具合か特定するのに顧客交えて喧々諤々の議論が続いたなぁ。顧客チーム内で使い方の認識ズレがあったことが分かり冷っとしたけどコンセプトは正しいことそしてちゃんとそれが仕様に盛り込んでいることが確認できてホッとしたよ。うちの方で不具合を作り込んじゃったので対処に時間を要した。仕様がブレると怪しい症状が出てきても判断が難しいからな。

PM (寺島)

確かに。複合要因の場合はひも解くは大変だよ。秋田だから収束できたのだろう。俺なら一人じゃ対処できなかったかもよ。さすがだよ。

PM (秋田)

そんなぁ~。おだてられてもなにも出ないぞ。ここは割り勘だからな。わっはは。ところで経営陣とはどんな事を話したんだ?

PM (寺島)

強引な営業の抑制とデリバリー品質の維持向上の2点についてストレートに意見を述べたよ。

PM (秋田)

おぉ!イイね。俺もその点は常々気になっていたところだ。で、どうだった?

PM (寺島)

経営層の興味は結局売り上げと利益だろ。なのでその前哨戦である“受注”に注目がいく。ちなみに今期の下期に計画している売り上げを達成するため現行のデリバリー案件だけで足りるか?

PM (秋田)

確か約70M\程度上期に受注しないと届かないはずだ。

PM (寺島)

そう。つまり経営層は上期中に70M\以上の受注を期待している。70M\クラスの案件はうちにとって大型だ。20M\クラスなら3.5件分だ。簡単じゃない。そこで、経営層は営業に「上期の受注不足分をどうやって達成するのか説明せよ。」になるわけだ。営業もそんなことはわかっているので70M\受注の作戦検討を進めているところだろう。

PM (秋田)

確かになぁ。ただ俺は経営層の設定値はいい線だと思うよ。絶対無理な数値じゃない。デリバリー側の状況は予定通りなら下期は順次空きが生まれるので新案件に着手可能だ。

PM (寺島)

そこだ。絶対無理じゃないが相当頑張らないと達成できないギリギリの線を提示してくるだろう。営業は受注取れた段階でインセティブ付くからもちろん頑張っていろいろ引き合いを持ってくるだろう。で、うちらが見積もり作ると、費用かけすぎとか、そんな価格じゃ競合に負けて受注できない、そんなにリスク乗せるか、類似のシステム構築経験あるから慣れた分費用下げろ、って受注確度上げるため提示価格を下げるような毎度の議論に入るわけだ。

PM (秋田)

そうさ。受注しないと始まらない、ってことはこっちも分かっているけど、受注後に赤字出しちゃ元も子もない。PMとして譲れない線はあるからな。

PM (寺島)

それが健全な議論として成り立っていれば良いのだけど。一昨年のこと思えているか?俺がPM担当して赤字を出した案件のこと。あれは受注前の見積もり審査で作業費用はこれ以上ビタ一文下げられないことを了解してもらったがリスク加算分は削られた。

PM (秋田)

でも結果は当初想定していたリスクが複数発生したためコストは増加して最終的に赤字となったよな。経営層の賭けが裏目にでたわけだ。

PM (寺島)

類似案件をやってきた俺がPMを担当することでリスクに目をつぶり、そしてこの顧客は予算化された後続の案件が多数控えているので先行投資の意味合いで今回の提示額は顧客の希望額内に収めたいと営業が強く意見し経営層が受け入れたわけだ。

PM (秋田)

あの件は不条理だよ。PMの立場ではまったく納得できない。

PM (寺島)

そうだ。受注したから営業はインセンティブもらえる。しかしPMは見積もったリスクを却下されたがコスト超過したことを理由に評価が下げらボーナス減額って。これじゃあんまりだろう。本来なら見積もり精度が正確なので評価を上げてもらっても良いはずじゃないか。おかしいと思わないか?こんなんじゃやけ酒の量が増えるばかりだ。当時山田さんに何回も相談じゃなくて文句を言いに行ったっけ。そんなこともあるさって理解は示してくれたけど評価方法は変わらなかった。

PM (秋田)

まったく、その通りだ。PMの声をよくぞ代弁してくれた。それで経営層はなんて?

PM (寺島)

制度に問題がある点は理解してくれた。そのうえで、即日全面変更することはできないがPM評価方法は一昨年のような事態でPMが不利にならないよう次の評価時期までに改定していくと、その場でコメントしてくれた。前からの持論だけどPMは見積もりに責任持つこと。そして見積もり通りに遂行する。これに尽きる。これは秋田ともよく同じ会話してきたよな。

PM (秋田)

うむ。その通りだ。PMが頭絞って見積もりを作成し、これでやりますとPMが見積もり審査会の席上で説明している。審議を尽くした内容に異議なければPMの評価はその数値をベースにしてもらわないとなぁ。

PM (寺島)

これまで経営層は、次で取り返すから今回はマージン下げて受注したい、という営業の話をほとんど却下して案件ごと適切はマージンとる姿勢だけと、たまにこの手の営業の話に乗っかるときがある。上期受注70M\不足のこの状況だとひょっとすると再発するかもしれない気がした。

PM (秋田)

経営層とはいいタイミングでコミュニケーションできたな。きっと良い方向に進むぞ。

営業とデリバリーは立場の違いから対立する場面は多いですが、どちらかが一方的に間違っていることはあまりないでしょう。
企業が競争に勝ち残るため正解のない課題に取り組むからこそ、そこにはあつれきや不条理と思える事態が発生することはしばしばあります。
さて、ふたりの会話は次回へ続きます。

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