PMあるある (任す覚悟)

作成日:2022/06/14

お役立ちコラム

PMあるある (任す覚悟)

このコラムはプロジェクトマネジャー (以下PM) の日常をご紹介しています。
「あーっ、それってあるよね。」「もっとこうしたらいいのに。」「同じような悩みだなぁ。」など、PMあるあるを息抜きに楽しんでください。

今回のテーマではPMは登場しませんが、プロジェクトのメンバーでよく話題になるテーマです。
そろそろPL (プロジェクトリーダー) になるSE (システムエンジニア) が先輩に相談している場面設定でプロジェクトメンバーの課題をお伝えします。

プロジェクトメンバーの紹介

  • PL (木村明子):アプリ開発PL (33歳)
  • SE (中瀬智子) : SEとして経験4年目(27歳)

本稿は実際にあった話をヒントにしたフィクションです。

PL (木村)

中瀬さん、次の案件からPLになる予定だけどなにか気になることはある?

SE (中瀬)

はい、いろいろ出てきました。そのなかでも一番の関心はチームの成果物品質に自信が持てるかどうかです。

PL (木村)

えっ、そこ?これまでの中瀬さんの品質は期待通りよ。だからこそ次はPLを任せたいと思っているの。これまで通りの作業を行ってもらえれば問題ないわ。

SE (中瀬)

はい、自分の担当範囲では特に不安はありません。いままではソースコードを含めて必要とあれば担当範囲のドキュメントやソースコードを全部読み込み内容をチェックしてきました。しかしPLは、担当範囲が増えるのですべてに目を通すことは不可能だと思うんです。

PL (木村)

なるほどね。でもこれまで毎回全部読み込んでいた?チェックの濃淡はない?

SE (中瀬)

あります。でも相手の技術力が把握できるまで確認作業がグッと多くなります。

PL (木村)

まぁね。協力会社から参加する初めての技術者は、事前の情報としては経歴書だけ。あと業務の説明時Q&Aの会話で推測しているからね。

SE (中瀬)

作成したソースコードを見ればよりイメージをつかめます。でも、あなたの書いたコードを見せて、とは言えません。

PL (木村)

そうよね。もしホイッと出てきたらこの人、守秘義務を守れない人だってことだわ。

SE (中瀬)

これまで初めて一緒に仕事するPG (プログラマー)の場合は、依頼した分の成果物は全て漏らさず読み込んで確認しています。そうしないと不安で。

PL (木村)

その気持ち、理解できるわよ。でも時間は有限。

SE (中瀬)

他人に任せるより自分でやった方が早くて確実です。しかしPLだと範囲はぐっと増え、ましてやPMだとインフラなど異なる分野の成果物まで全部見ることなんて不可能です。そこにジレンマを感じます。自分で中身を見なくて安心できますか?

PL (木村)

なるほど。ちょっと回り道だけど役割について考えみましょう。うちで使っている役割を大別すると次の通り。①プログラマ (PG) :プログラム開発言語を使いコーディング、②システムエンジニア (SE) :各種設計書の作成、開発環境を整備、PGと分担してコーディング、③プロジェクトリーダ (PL) : 担当部分の成果物QCD (Q:品質、C:コスト、D:納期) を担保、④プロジェクトマネジャー (PM) :プロジェクト責任者。プロジェクト計画立案、プロジェクト全体でQCDを担保。ここまではいい?

SE (中瀬)

はい、大丈夫です。他に、作業で多く占めるテスト関係もあります。役割では、ステコミ (顧客側の意思決定者を含めた方針検討会)、PMO (プロジェクト マネジメント オフィス) などが体制図で記載されている場合もありますね。

PL (木村)

えぇ、ただこれから話したいのはPG/SEとPL/PMの違いのため、それらは略すわよ。一人で生産するよりも多数で分業した方が高い生産性になる場合があるのよ。こう聞いて違和感ある?

SE (中瀬)

分業することで効率化できることは実感として理解できます。

PL (木村)

古典だけどアダム・スミスは富国論で縫製用ピンを例に説明してる。私たちはピンではなく業務アプリケーションだけどね。そうなるとどうやって分業するか、どんな役割に分けるのが良いか。うちのようなシステム構築の場合は先に挙げた4種でおこなっているわ。

SE (中瀬)

そうですね。顧客の社内ITにもこの役割名で通用します。

PL (木村)

チームで仕事するためにはまとめ役は必須。会社単位で言えば経営層や管理職。プロジェクトだとPL/PMがその役ね。経営層や管理職はいかにリソースを使うか日々考えを巡らしている。同じようにPL/PMはSEやPGを効率よく配置して作業を任せる。ただ「任せる」は「頼んだよ。あとはよろしく。」ではなく結果の責任を持つことよ。

SE (中瀬)

そこです。自分でやった方が早く確実なので任せるきる自信がないのです。

PL (木村)

個人的には「任せる覚悟」を持つことだと思うの。そのために、作成する成果物のイメージを具体的に伝えること、成果物の作成経過で確認し必要あれば現物を見ることもあるわよ。そして課題を見つけアクションを決める、つまりPDCAをきちんと回すことかな。

SE (中瀬)

これまでも実践していますが、PLだと特別な確認のポイントや方法があるのでしょうか?

PL (木村)

それはね、うちの品質システムに記載してるよ。全く新しいことではないけど使ったことがないノウハウもあるかも。「任せる」ことを意識してしっかり読み込んでみて。

SE (中瀬)

わかりました。品質システムってやらされている感があるため敷居が高いのですが、有益なツールやガイドを積極的に活用します。そのため意識を変え再読します。

PL (木村)

私は「任せる覚悟」がエンジニアと管理者の違いのひとつだと思うのよ。少なくとも自分ですべてやり切ることに固執すると管理者つまりマネジメント職に向いていないと思うわ。

SE (中瀬)

自分のキャリアパスを考える機会でもありますね。

PL (木村)

誤解しないでね、マネジメント職を目指そう、じゃないのよ。私も中瀬さんと同じ悩みを持ったことあるの。私は技術的な新しい話題が大好きでいつでもワクワクするわ。一方SEのころからマネジメントの面白さそして難しさに気づいたのよ。興味湧いて今では将来マネジメントを意識するようになった感じかなぁ。中瀬さんは現時点で技術職かマネジメント職どちらかひとつに絞る必要はないわ。これからPLやPMを経験していろいろ考えてみてね。

SE (中瀬)

アドバイス、ありがとうございます。まずは全部自分でやらないと気が済まない状況から「任せる」ことへ意識を変えていきます。

PL (木村)

最初は不安があるだろうけど基本はこれまで通りでPDCAを確実に継続することよ。中瀬さんなら大丈夫。できるわ。

システムエンジニアでも、自分の範囲でQDCについては自己管理をしています。
PLになるともっと広い範囲でQDCの管理が必要になります。
プロジェクトの全てのタスクを自分で確認をすることができない以上はメンバーを信頼してPDCAを確実に行うことが重要になりますね。 
優秀なPLほど細かく気になってしまいますが、管理工数とのバランスも重要になります。
リスク回避と管理工数の兼ね合いがPLの腕の見せ所でしょうか。 

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