リモートアクセスとVRによる働き方改革

作成日:2020/08/05

お役立ちコラム

リモートアクセスとVRによる働き方改革

リモートアクセスとVRの組み合わせで設計開発の働き方を変える検討が始まっています

ヘッドマウントディスプレーを中心としたVR機器を設計開発環境でも活用できないか、と検討を始める企業が増えてきています。
近年では、社内でも他拠点にまたがってプロジェクト体制ができるなど、場所にとらわれない働き方も求められています。
リモートアクセスを取り入れながらVR環境を構築することで、設計開発の新しい働き方につながる可能性があります。
当社で、VRを活用した簡単なデモ環境を構築し、検証した内容をご紹介します。

技術者の柔軟な働き方を支えるリモートアクセス

CAD/CAEなどの設計データを社外に持ち出すことなく、離れた場所から設計データにアクセスして設計業務に参加できます。
設計業務の効率化、時間の有効活用など柔軟な働き方を実現する注目技術です。

リモートアクセスの概念

接続される側の「ホストワークステーション」や「サーバー」上で実行されるデスクトップ環境の画面だけが転送されますので、手元のPCは画面出力と入力だけを行います。

設計開発用ルームの中にある、CADやCGソフトウエアを用いるワークステーションへ、離れた場所(例えば異なる事業所やサテライトオフィス) からリモートアクセスを行い、設計開発用ルームへ行かなくても同じ業務を行うことができます。

設計データを社外へ持ち出しませんので、セキュリティーを確保しながら柔軟な働き方を実現できます。

※日本HP社が提供する HP ZCentral Remote Boost (旧RGS)にて実現できます。

設計開発におけるVR活用の現状(VR環境の構築)

まだ活用の検討が始まったばかり。研究・設計・開発部門で導入検討される企業が増えてきています。

この1年間で、「VR環境を構築するためにトライアルしたい」という当社へのレンタルのお問い合わせが増えてきました。
お問い合わせが多いのは、製造業の研究・設計・開発部門などです。
これらのお客さまのVRに対する期待は次のようなものが挙げられます。

  1. 図面からVRに変換し、モック作成の工数とコストを大幅削減
  2. 遠隔のプロジェクトメンバーと効率よいコラボレーションを実現
  3. 設計開発のプロセス改革・効率化

しかしながら、VR環境が確立されたお客さまはまだ多くなく、自社に最適なVR環境の調査段階というのがほとんどのようです。

VR環境に必要な機材は、ワークステーション(対応グラフィックボード内蔵)とヘッドマウントディスプレーです。
VR環境は、ベンダーから提供されるVRソリューションを利用する場合と、自社独自で環境構築をする場合に大別されます。

  • ベンダーから提供される「VR設計レビュー支援システム」、または「CAD-VR変換アプリケーション」などを利用します
  • 独自に自社主導でVR環境を構築する(VR機器の選定と、CAD → VRデータ変換を行います)

イメージ図:CADデータから3Dデータへ変換し、VRでレビュー

いずれも、CADメーカーや、コンサルティング、ソリューションやコンテンツ制作を提供する企業と協同して進める必要があります。

ワークステーションで リモートアクセス + VR を実際に体験してみた!

VRでみた試作品を遠隔の技術者と共有することで設計レビューができました。
設計者だけでなく生産技術部門やマーケティング部門など、プロジェクトに関連するメンバーとの情報交換にも使えば、プロジェクトの効率化に役立ちそうです。

実際のプロジェクトミーティングを想定し、「ヘッドマウントディスプレーで3Dデータを見ながら操作し、リモート環境先のPCでも同じ画面を見ながら、遠隔のプロジェクトメンバーと設計レビューの打ち合わせをする」という状況のシミュレーションを行いました。

VR活用による想定利用シーン

  • 技術者が設計したCADデータから、完成品イメージをヘッドマウントディスプレーで確認する。
  • ヘッドマウントディスプレーで確認した完成品イメージを、遠隔のプロジェクトメンバーと共有する。
  • 遠隔のプロジェクトメンバーからアドバイスを受ける。

VR活用シミュレーションで使用した機器

  • HPワークステーション
  • ヘッドマウントディスプレー
  • 3Dビジュアライゼーションとバーチャルプロトタイプが作成できるソフトウエア
  • リモート接続用PC

から構成されています。(記載の製品名は本コラム作成時点の名称を用いています。)

デモ環境の構成イメージ

実際のデモ環境

シンプルなデモ構成の内容でしたが、ヘッドマウントディスプレーでみた画面をリモート環境PCでも遅延することなくスムーズに見ることができました。

  • 基本的なVR環境の構築、ヘッドマウントディスプレーの設定や操作、動作の確認
  • リモートアクセス環境の設定

といった基本的な環境構築に必要な情報を準備し、また、リモート環境先でも共有しておくとスムーズであると感じました。

VR環境の構築にあたっては、お客さまがお使いのCAD環境におけるVR対応状況や、ヘッドマウントディスプレーとワークステーションとの接続方法、機材の要求スペックなど、事前に必要要件の検証をしておくことが重要です。

また、運用管理の負担やデータ漏えい対策、台数規模なども考慮した検討が求められます。

今回、ワークステーションでリモートアクセスとVRのデモ環境を構築しました。
この2つの組み合わせが実業務の中でうまく実現できれば、設計開発現場における新しい働き方につながる可能性を秘めているのではないかと考えられます。

ご意見・ご感想をお聞かせください

お気軽にお問い合わせください

ページの先頭に戻る