AI活用で変わるIT新時代 ~ 話題の生成AIとは?~

作成日:2023/05/24

お役立ちコラム

AI活用で変わるIT新時代 ~ 話題の生成AIとは?~

突然身近に現れた「使えるAI」

2023年上半期は、これまでになくAI (人工知能) が注目を浴びたといって間違いないでしょう。
実はAIの歴史は古く、そのルーツはコンピューターが出始めた1950年代にまでさかのぼります。
総務省の平成28年度版情報通信白書によれば、これまでに3度の人工知能ブームが合ったとされており、今回が「第四次人工知能ブーム」とされるかもしれません。

今回注目を浴びているAIは「生成AI」と呼ばれるものです。
言葉による指示 (プロンプト) によって文章や画像などを、まるで人が作ったり描いたりしたように生成できるようになり、それがWebで簡単に使えるようになっているという点が大きな特徴と言えるでしょう。

その起爆剤となったのが2022年秋にリリースされた米OpenAI社のChatGPTでしょう。
ChatGPT は GTP-3 と呼ばれる大規模言語モデル (LLM) によって、人間と対話しているかのような自然なやり取りができ、それがWebで使えることから爆発的なブームを起こしました。

ChatGPT の成功に触発され、2023年春には Microsoft は自社の検索エンジン Bing に OpenAI の次世代LLMを組み合わせた新しい Bing を提供開始しました。
また、Google も独自の LLM を使った Bard の提供を始めています。
またクラウドベースのドキュメントマネジメントツール Notion やソフトウエア開発プラットフォーム GitHub などにも文章の作成やプログラム作成の支援ツールとして生成AIが搭載され始め、一気に普及が始まっています。

課題も少なくない「生成AI」

まさに「急激」に普及が始まった生成AIですが、実は多くの課題があることも指摘されています。
生成AIは、大量の学習データを使って学習した結果を基に文章や画像などを生成しますが、この学習データが多くの課題の原因となっています。
また、生成する成果物が、人が作ったものと見分けがつかない点も問題点の一つです。

具体的には以下のような課題が指摘されています。

偽情報/誤情報の拡散

学習データに偽情報や誤情報が含まれていると、それを回答に使用される可能性があります。
生成される文章の品質が高いため、誤った情報が信用されやすいということもリスクです。

著作権侵害

インターネット上の情報を学習データとしている場合、生成の元となるデータに著作物が使われる可能性があり、ユーザーが意図せずとも著作権侵害を行ってしまう可能性があります。
実際、画像生成AIではこの問題が指摘されており、インターネット上に公開していた著作物を引き上げる動きなども出てきています。

セキュリティー、情報漏えい

悪意ある攻撃者が生成AIを使ってサイバー攻撃に使うツールやサイトを生成する可能性が指摘されています。
また、生成AIはAIベンダーからAPIなどで外部に提供されていることから、攻撃者が生成AIサービスと銘打ったサイトを提供し、個人情報や機密情報を入力させて詐取する動きも見られ始めています。

このような課題に対し、国際的なルール作りの動きも出てきています。
2023年5月に広島で開催された先進7カ国首脳会議 (G7サミット) では生成AIの可能性を認めつつも、これらの課題があることを認識した上で、規制や知的財産保護などの法的な面や、偽情報対策などのアクションを取っていくことを声明の一つとして出しています。

また、OpenAI の CEO が米議会の公聴会において適切なAIの規制法を整備すべきと訴えるなど、ベンダーからも課題対策に取り組む動きが出てきています。

AIをどうビジネスに活かすか

このように生成AIには課題も多く、企業によっては社内での利用を制限、禁止するところもある一方で、活用によって生産性を大きく高める可能性を秘めている技術であることは間違いなく、導入を推進する企業も少なくありません。
行政でも2023年4月には神奈川県横須賀市で ChatGPT の導入が発表され、政府でも「AI戦略チーム」を発足させるなど、さまざまな業務への活用の動きも出てきています。

ビジネスにおけるAI活用例としては、「第三次人工知能ブーム」の中心技術であったディープラーニング (深層学習) が挙げられるでしょう。
身近なところではスマートフォンやPCの顔認証に使われ、自動車の自動運転などに活用されています。
また、ビッグデータと組み合わせて、障害予測による予防保守などにも使われています。
ある空調機器メーカーでは、すべての業務用空調機器の動作状況を IoT (モノのインターネット) デバイスによりリアルタイムでサーバーに送り収集しています。
このビッグデータをAIで分析して、機器の故障の前兆となる挙動を見つけ出し、同様の挙動が見られたら、計画的に保守を行う予防保守体制を実現しています。
実は、HPEのサーバー機器などに導入されている HPE InfoSight も同様なことを行っています。
サーバーの稼働状況をクラウドに送信し、AIで常に監視することで、異常の前兆を事前に察知してユーザーに知らせることで、サーバーの可用性を高めることに成功しています。
このように、AIをビジネスに活用することで、今まで人では対応しきれなかった課題を解決できる可能性があります。

これは生成AIにも言えることです。
まだ生まれて間もないため、課題も多くあります。
また、「プロンプト」の書き方によって回答の精度に差が出るなど、現在の生成AIの使用方法には、それなりのスキルが求められます。
しかし、技術が成熟していくことで、安全で信頼性の高い生成AIに進化していくことは間違いありません。

生成AIを「よくわからない」「問題が多い」といった理由で毛嫌いするのではなく、今から自社のビジネスにどのように活用できるのかを真剣に検討していくことはとても大切なことではないでしょうか。

おまけ

横河レンタ・リースでは、クラウド上の機械学習で高可用性を実現する HPE InfoSight について、HPE 3PAR StoreServ を利用した実機での検証レポートを公開しています。
この機会にぜひご覧ください!

HPE InfoSight実機検証レポート

監修

横河レンタ・リース株式会社 マーケティング本部 CDセンター

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