PCレンタルビジネスを築いた営業が中堅営業パーソンに贈るBtoB営業ワンランクアップ術 【第三回】

作成日:2020/07/10

お役立ちコラム

PCレンタルビジネスを築いた営業が中堅営業パーソンに贈る
BtoB営業ワンランクアップ術【第三回】

今回は、実際に客先へ訪問した際のスタンスについてお話します。

お客さまとのコミュニケーションは非常に重要です。コミュニケーション次第では、劣勢を取り返すこともできますし、優勢だった商談を失注してしまうこともあります。
私もたくさんそのような経験をしてきました。そこで得た学びをお話していきます。

3.<商談スタンス編>客先でのコミュニケーションで信頼を得る

まずは聴くことから

お客さまとのコミュニケーションで最初にすべきことは、お客さまの声をしっかり聴くということです。
目的は、ニーズの把握です。会話を通して、お客さまの困っていること、強化ポイントを把握することが大切です。

お困りごと、弱っているところを見つけたら、そこを徹底的に掘り下げることが大切です。
たくさんの課題を見つけ出すよりも、深掘りをして、それに基づく提案をするほうが商談はうまくいく確率が高まります。
極論を言えば、課題を一つ見つけ、徹底的に深掘りしたら、クロージングに行ってしまっても良いと思います。
決してアラームを見過ごしてはいけません。

ただし、気をつけなければならないことがあります。
お客さまによっては、「今は特に問題はないなぁ」というように、自分から問題や課題を話してくださらない方もいらっしゃいます。
このようなときに、「本当にないのですか?」などと、お客さまに対し尋問するようなことをしてはいけません。
商談においてそのような会話をしたら、間違いなくお客さまはかたくなになり、何も語ってくれなくなるでしょう。
あくまでスムーズな会話を通して、聞き出すことが大切です。

お客さまに話させる

では、お客さまから課題を引き出すにはどのような会話をすればよいのでしょうか。
それは、お客さまが話しやすいようにすることです。

例えば、他のお客さまの例を引き合いに出すと良いでしょう。
「あるお客さまでは、PCの保守で管理者に大きな負担がかかっていましたが、当社のレンタルサービスに切り替えていただいて、管理者の残業時間を減らすことができたんです」とか「PC運用の予算化がしやすくなったと好評です」などなど。
それが気付きを与える呼び水となり、「実はうちの会社でもこんな課題が…」と語り始めてくれるでしょう。

空気を読む — 相手の反応をしっかり把握する

スムーズな会話をするためには、場の空気を読むことが大切です。
例えば、お客さまが「いいですよ」と言った時、それは迎合なのか、拒否なのか、正しく把握しなければいけません。
そのために、顔や目、態度などをしっかり見て読み取ることが大切です。

商談において相手の「空気を読む」ために、私は資料を先に出さないことにしています。
なぜだかわかるでしょうか。
皆さんも経験があると思いますが、何ページもある資料を先に渡しますと、ほとんどのお客さまはそれを読み始めてしまいます。
人間は視覚情報に大きく頼っていますので、読み始めたところにこちらが話をしても、よくて3割ぐらいしか耳に入っていません。
さらに、読み始めたら下を見てしまいますので、こちらからは表情をうかがい知ることが難しくなってしまいます。

このようなことにならないよう、私が商談する際は、必要なときに最小限の資料を出すようにしています。
そして、出した資料を読み終えたことをみてから次の話を続けるようにしています。
このように、お客さまの行動を見て会話を進めます。
これが「空気を読む」ということです。

「宿題」は最小限に。しかし、意図的に「宿題」にするワザも

昔はお客さまに質問をされてもその場で答えずに「宿題」として持ち帰れ、と言われたものです。
しかし、迅速な意思決定が求められる今日の商談の場では、「宿題」として持ち帰らずにその場で解決したほうが、お客さまから高い信頼感を得ることができます。

以前、こんなことがありました。
あるお客さまの案件で商談が進み、受注の内示まで出ていたのですが、最後の最後で競合にひっくり返されて失注したことがありました。
その案件は、途中まで商談を進めていた担当営業が異動になり、新しい担当者に替わっていたのです。

後日、運よくそのお客さまに理由を聞くことができました。
するとお客さまは「新しい担当者は、いつもその場で回答せず、『持ち帰って回答いたします』とばかり言われたので、不安を感じ、他社を選択することにした」と言いました。

レンタルは数年にわたってお付き合いするビジネスです。
ましてや、これまで購入などで調達していたお客さまが、ガラッと調達方法を変えるのですから、お客さまにとっては大きな挑戦になるのです。
その数年にわたって取引していく会社の担当者が、いつもその場で質問に対し回答してくれなかったら、そこには不安と不信感しか残らないでしょう。
だから、その場で答えられることはとても重要なのです。

しかし、「宿題」も効果的な使い方をすれば、商談にプラスになることもあります。
次の商談の機会を作るために、意図的に「宿題」を作って持ち帰るのです。
これは少し高度なテクニックですが、うまくいったときの効果は高いものになるでしょう。
ただ、その時でも宿題にするのは、1割ぐらいにしておきましょう。

信頼を得る - 自分を買ってもらうことが大切

私たちの商品は何でしょうか? レンタルサービス? ソリューション? いえいえ。
私たちが売らなくてはいけないのは、私たち自身です。営業はお客さまに自分を買ってもらうことが大切です。

信頼を得るために、お客さまに言葉を発してもらい、その言葉に耳を傾け、課題を見つけ出し、その解決をする提案をする。
この一連の行動をしっかり実行しない限りお客さまはついてきません。
売らなくてはいけないのは自分自身、ということをしっかり心がけてください。

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