レプリケーションやDRにも有効な Zerto とは

作成日:2023/03/01

お役立ちコラム

レプリケーション や DR にも有効な Zerto とは

2009年に創業した Zerto 社は2021年に日本ヒューレット・パッカード合同会社 (以下、「 HPE 」という) が買収しました。
当時の Zerto 社は レプリケーション や Disaster Recovery、移行ソリューションを持ち、世界80カ国、9500社の顧客を抱えていました。
この買収により、HPE 社は『 GreenLake 』のブランドで展開する独自のクラウドサービスへソリューションを取り込み、サービス内容の拡充を図ると発表しています。

Zerto のソリューションで何ができるのか?

Zerto はハイパーバイザーベースのレプリケーション機能を中心にDRや仮想マシンの移行、バックアップ機能など、データ管理における管理者の運用負荷を軽減するソリューションです。
特徴として挙げられるものをいくつかご紹介します。

1. 継続的データ保護

Zerto のデータ保護は三つの重要な要素からなり立ち、そのひとつがほぼ同期のレプリケーションです。
このレプリケーションは同期レプリケーションと非同期レプリケーションの長所を併せ持っています。
ハイパーバイザーレベルのソフトウエアのみで実行されるソリューションで、ストレージを含め、仮想基盤のハードウエアやインフラストラクチャーに依存しない構成で利用できます。
また、導入時の面倒なスケジューリング、スナップショットの設定や世代管理、エージェントの導入は不要です。
当然、本番環境にも影響がないオンライン状態での実行が可能です。
そのため、運用管理者は単に Zerto をセットアップすれば、常時オンラインの状態で常に仮想マシンの保護が可能になるのです。

続いて、継続的データ保護と言える仕組みについて少し掘り下げてご紹介します。
Zerto は独自のジャーナル機能を持っています。
Zerto のジャーナルはアプリケーションやサーバーの変更をひとつ残らず追跡し、5秒または10秒ごとにチェックポイントとして記録します。
このジャーナルは1時間から最大30日間変更データを保存でき、必要に応じて過去のチェックポイントを選択してリカバリーが実行できます。
例えば、10時にランサムウエアの攻撃を受けたとしても、9時59分55秒の時点に簡単にロールバックができ、感染の影響をほぼ抑えることができます。
データのバックアップを1日に1回10時に取得した場合、最大24時間分のデータを損失することと比較すると、極めて短いRPO / RTOとなります。

図1:レガシーなリカバリーとジャーナルベースのリカバリーの比較

ひとつのシステムがWebサーバー、DBサーバー、ファイルサーバーなど、複数のサーバーで構成されることも多く、一貫性のある環境を維持するにはこれらのサーバーを同じ時点に復元することができるリカバリー計画を策定する必要があります。
Zerto は関連する複数のサーバーをグループ化し、管理を容易に行えるようになるだけではなく、グループ内に所属するサーバーのチェックポイントがすべて同じ時点であることも保証します。
なおかつ、起動の際はグループ内で起動順序も指定できます。
これらにより、管理者は依存関係のあるサーバーを厳密に同じ時間に一斉にリカバリーすることができ、煩雑な操作を簡略化し、リカバリーの工数の削減が可能です。

2. ハイブリッドクラウド、マルチクラウド対応 

Zerto はさまざまな環境に対して移行やデータの保護機能を提供しています。
プライベートクラウド間での移行、プライベートクラウドからパブリッククラウドへの移行、AWS や Azure を利用したマルチクラウドへの移行など、さまざまなクラウドへの移行に対応しています。
Zerto はスケールアウトアーキテクチャを採用しており、このような複数のクラウド間の移行やDRに対応可能になっています。

図2:ハイブリッド・マルチクラウド構成 利用イメージ

3. 拡張性とシンプルな管理

大規模環境になると一層導入や管理が複雑化し、管理工数が増大しますが、インストールは1時間程度、移行やDRの操作はわずか数クリック、時間にして5分程度で実行できます。
また、他のソリューションと同様に Zerto は処理の自動化や導入後の分析機能を実装しています。
自動化されたプロセスは稼働中でもテストができ、安心して本番利用することができます。
しかし、運用管理者はDR操作ができるだけで良いわけではありません。
日々の活動として、例えば、バックアップやレプリケーションが日々問題なく実行できているか、ディスクの使用量は想定を超えてないかなどあります。
Zerto はアラートがあがった場合のみ対応すれば良いなど日々の運用を簡素化することができます。
他にも利用状況を分析し、将来のディスク利用計画策定の支援を行うツールが用意されています。

クラウドサービスへの展開

冒頭でご紹介したとおり、この Zerto はクラウドサービスとして提供する前提で HPE に買収されています。
現時点では、『 HPE GreenLake for Disaster Recovery 』としてPreview版が公開されています。
GreenLake の他のクラウドサービスと同様にオンプレミスの Zerto 環境をクラウドコンソールで管理することができ、複数の Zerto 環境もひとつのコンソールで一括管理が可能です。
現在は利用できる機能がかなり限定的ですが、随時機能拡張が行われる予定です。
正式リリースされた際にはまたご紹介したいサービスです。

おわりに

今回は、HPE 社が買収した Zerto をご紹介しました。
膨大なデータのバックアップや障害対策、他の環境への移行などさまざまなシナリオで活用できます。
仮想環境の保護に課題を抱えているお客さま、ぜひ当社にお問い合わせください。

おまけ

横河レンタ・リースでは、お客さまのサーバーインフラに関する情報を一元管理、オンプレミス環境を従量制課金で利用可能にする、ITインフラコンサンプションサービスを展開しております。

執筆

文月 (横河レンタ・リース株式会社 営業統括本部 ITS&システム営業推進本部 システム営業技術支援部)

主な業務は営業に対する技術支援やお客さまや社外向けプロモーション活動。
寺社仏閣めぐり (もちろん御朱印集めも) など日本の文化が大好きです!

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