環境・経済・社会の三方よしの世界を求めてリサイクル活動しよう!

作成日:2022/10/06

お役立ちコラム

環境・経済・社会の三方よしの世界を求めてリサイクル活動しよう!

これまで、環境に関連する仕組みや制度をご紹介してきましたが、今回は環境に影響を与えると言われているプラスチック素材とそれを取り巻く課題や法律、企業の活動についてご紹介します。

鼻にプラスチックのストローが刺さっているウミガメの動画を覚えていますか?

2015年、コスタリカで鼻にプラスチックのストローが刺さった状態のウミガメが発見されました。
ストローを取り除く処置をする動画は衝撃的で、世界中でプラスチックによる海洋汚染が注目されるきっかけとなりました。

ペットボトルや洋服、自動車や家電などさまざまな場所で利用されているプラスチックは私たちの生活に欠かせないものとなっています。
軽量でありながら耐久性に富み、そのうえ安価に製造できることから、包装や緩衝材などにも使われていますが、多くは使い捨てされています。
残念なことに、利用後の処理が適切に行われないこともあり、海や山など自然界にポイ捨てされてしまうこともあります。
安価で手軽であることから「また買えばいい」と手軽に扱われてしまうデメリットもあります。

自然界に流出したプラスチックは、川をくだって最終的には海へたどり着くと言われています。
この流出したプラスチックは岩や波、紫外線の影響で小さなプラスチックの粒子になります。
5mm以下になったプラスチックの粒子は「マイクロプラスチック」と呼ばれ、自然分解されることなく数百年にわたり自然界に残留し続けるそうです。
動物プランクトンなど海の小さな生物は、マイクロプラスチックを誤飲することで消化器官が詰まり、場合によっては死にいたります。
その結果、生態系の上位に位置する魚などは餌が減ることにつながり減少を招きます。

またプラスチックは、製造過程で化学物質が添加される場合、また海中で有毒物質を吸着する場合もあり、食物連鎖を通じて魚などが餌として体内に取りこむことも考えられます。
マイクロプラスチック問題をふくむ海洋ゴミの問題は「SDGs」の14.「海の豊かさを守ろう」でもターゲットとして掲げられている他、G7やG20でも取り組んでいる問題です。
マイクロプラスチックによって生物にどのような影響があるか、まだ詳しいことはわかっていません。
少なくとも、元々は自然界に存在しないものが生物に取り込まれるということは、何らかの影響があってもおかしくなく、今後も積極的に取り組むべき課題であると言えるのではないでしょうか。

プラスチックの処理方法

日本におけるプラスチックのリサイクル率は約84%と高い水準でリサイクルされているように見えます。プラスチックのリサイクル方法は三種類あり、このうち、約57%が「サーマルリサイクル」によるものですが、燃焼する際にCO2が排出される問題があり、そもそも、エネルギー源として利用されるため、資源を回収して再利用するリサイクルとは趣旨が異なります。

  • マテリアルリサイクル
    廃プラスチックを原材料にして再度プラスチック製品として利用する。
  • ケミカルリサイクル
    廃プラスチックを科学的に分解するなどして、元のプラスチック原料に戻して利用する。
  • サーマルリサイクル
    プラスチックをゴミとして焼却して発生した熱を発電や熱源に利用する。

出典:資源エネルギー庁 カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して (前編)

国内での三種類のリサイクル以外には、中国や東南アジアに向けて使用済みプラスチックを原料として利用するために輸出をしています。
しかし、輸入国において、リサイクルの過程で不適切な処理によって環境汚染が引き起こされているとの指摘を受け、有害廃棄物の国境を越えた移動を規制する「バーゼル条約」の改正により、使用済みプラスチックも規制の対象に含まれることになりました。
日本は一人当たりの容器包装廃棄量において世界第2位であり、プラスチックの製造およびリサイクルする際のCO2排出量削減も「2050年カーボンニュートラル」達成に不可欠と言われています。

プラスチック資源循環に関する国の取り組み

このような背景から、2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律 (プラスチック資源循環法)」が施行されました。
プラスチック使用製品の設計からプラスチック使用製品廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクルに関わるあらゆる主体における、プラスチックの資源循環の取組を促進するための法律です。
日本では、以前よりゴミを限りなく減らして、そのことでごみの焼却や埋め立て処理による環境への負担をできるだけ少なくすることを目的とする「3R」の取り組みが行われてきました。

さらに「Renewable (リニューアブル:再生可能)」を加えた3R+Renewableをプラスチック資源循環法の基本原則としています。
Renewableは再生可能性の観点から再生素材や再生可能資源 (紙・バイオマスプラスチックなど) に適切に切り替えることが求められます。
プラスチックの資源循環においては、プラスチックのライフサイクルに関わる全ての事業者、消費者、国、地方公共団体などが相互に連携しながら、相乗効果を高めていくことが重要になります。
消費者である私たちにも使い捨てプラスチックの削減や分別回収など、より一層積極的に関わっていくことが必要になってきます。

この法律の施行によって、

  • サーキュラーエコノミーへの移行
  • 成長分野として投資ができる環境整備
  • 少子高齢化への対応や消費者のライフスタイル変革

を進めることで「環境・経済・社会の三方よし」を目指していきます。

プラスチック資源循環に関する企業の取り組み

プラスチックのリサイクル方法でご説明したとおり、サーマルリサイクルを行うとCO2が排出されますが、プラスチック自体を使わないようにすることやリサイクル方法を変えることでCO2排出量を抑えることが期待されます。
プラスチックのみならず、このような環境に配慮した活動を企業が行うことは環境問題への貢献とともに、活動実績を公表することで投資家や顧客に対して自社の評価向上、リスクの低減、ビジネスチャンスの獲得などさまざまなメリットが期待されます。
詳しくは当社のコラムSDGs編でESG投資やSBTなど環境に関わるキーワードをいくつか紹介しております。

参照:当社コラム SDGs編

また、企業としての具体的な活動をご紹介します。

株式会社日本HP

世界中でディスプレーやPCなど300種類の製品にオーシャンバウンド・プラスチックが利用されています。
オーシャンバウンド・プラスチックとは、海岸や海沿いの地域で、海に流入する前に回収されたプラスチックごみのことです。
マイクロプラスチックになる前に回収し、価値ある新しい製品にリサイクルできるように取り組んでいます。

参照:当社ホームページより「クライアント環境」

日本HPファイナンシャルサービス (HPFES)

アセット・アップサイクリング・サービス (AUS) としてお客さまの不要IT機器資産の適正処分 (データ消去・残価の現金化・資産除却) をサポートするためのサービスを展開しています。
「産業廃棄物処理」ではなく古物の売買を行っており、「ゴミ」として捨てる事なく、リファービッシュ、リユース、リサイクルして再びIT資産として有効活用しています。

最後に

今回はプラスチックが抱える課題からプラスチック資源循環法や企業の活動についてとりあげてみました。
この課題はプラスチックに関わるあらゆる人たちで取り組む必要があります。
本コラムをきっかけに皆さまも改めて3Rを意識していただけると幸いです。

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筆者

文月 (横河レンタ・リース株式会社 営業統括本部 ITS&システム営業推進本部 システム営業技術支援部1グループ)

主な業務は営業に対する技術支援やお客さまや社外向けプロモーション活動。
寺社仏閣めぐり (もちろん御朱印集めも) など日本の文化が大好きです!

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