「オンプレミス」と「クラウド」その選択ポイントとは
作成日:2021/12/21

「オンプレミス」と「クラウド」その選択ポイントとは
システムインフラでのオンプレミスとクラウドの選択ポイントについてご紹介します。
オンプレミス環境からクラウドへの移行の悩み
最近、システムインフラの導入や更改の際は、どの企業も「多い・少ない」の差はあってもクラウド移行を推し進めているのではないでしょうか?
システムインフラの更改では、上位層 (経営層) からオンプレミス (自社で所有し、運用する方法) とクラウドの比較検討をして選定したかどうかを問われるケースもあると思います。
クラウドが重要視される理由は、以下のメリットを享受したいというのが大きいと考えます。
- 初期コストが抑えられる
- 物品の手配がないため構築導入期間が短い
- 自社もしくは契約先データセンターのファシリティー (設置スペース、電力、空調) などの用意が不要
- インフラの運用負担を減らすことができる
- スケールアウトをスムーズにできる
しかし、そのままではクラウドに移行できない課題を持つ、以下のようなシステムもあるのではないでしょうか?
- 既存のアプリケーションがオンプレミス環境利用を前提に作られているもの
(基幹業務アプリケーションであり、スクラッチで高い費用と期間をかけて開発したソフトのため、クラウド変更には多額な追加費用が発生して難しい場合) - 社内の別システムとの連携が必要
- 高いシステムリソースが求められ、安定運用するにはリソースの占有が必要なもの
・高速なネットワークが必要
・ネットワークレイテンシーの低さが必要
・高いディスクのI/O性能が必要
・大容量ディスクが必要 - 工場などの制御系システムなどで、施設内でシステムのクローズドが必要なもの
(クラウドサービスへ接続できなくなった場合、工場のラインなどが停止してしまう問題が生じるため) - 機密情報のため、社内にデータの保管が求められるもの
このように、クラウドへ移行しづらいシステムも多くあります。

オンプレミスとクラウドのメリットとデメリットとは
クラウドを検討する際には、オンプレミスにしておかなければならないシステムも考えなければならないのですが、その理由は、オンプレミスとクラウドでそれぞれ特徴があるからです。
オンプレミスのメリットは、要件に合わせて柔軟にカスタマイズできる点です。
また、クローズドネットワークであるため、アクセス制御や通信帯域などを運用管理者が制御可能です。
デメリットは、「初期導入コストが高くなる」、「導入や増設に時間がかかる」、「設備の用意が必要である」などです。
クラウドのメリットは、月額でサービスを利用する形になり、自社にインフラを持たなくてよいため、運用負荷が軽減され、初期コストも安価になることです。
デメリットは、オンプレミスと比べて、ネットワークの遅延が発生しやすいことやストレージのレイテンシーが劣ることです。
共用リソースであるため、他のユーザーの影響によりパフォーマンスが低下する可能性があります。

そのため、それぞれの特徴に合わせて社内で利用するシステムを分類していく必要があります。
システムインフラでオンプレミスが良いもの
オンプレミス環境が有効なシステムをまとめると以下の六つがあげられます。
- レガシーアプリケーション
・アプリケーションの性質上、既存環境からの移植が難しいシステム
・スクラッチアプリケーションやミッションクリティカルなアプリケーションなど - ネットワークのレイテンシーの関係でクラウドに置くことができないシステム
大容量ファイルのやり取りが多いCADなどのファイルサーバーなどや、機器の制御用のシステム - クラウドに対しての直接の連携ができないなどの制約があるシステム
- 法令や社内ルールなどでパブリッククラウドは利用できないシステム
- データのダウンロード時に課金されることが多く、利用方法によっては高額になるシステム
- クラウドの規定されているインフラリソースに合わないシステム
最初の3つが、主にオンプレミスでの必要性が高いシステムとしてよく話に上がるものです。
システムインフラでクラウドが良いもの
クラウドでの利用も効率的なシステム、その代表的なサービスとして以下の5つがあげられます。
- クラウドサービスの利用を前提としたネーティブサービス 例として、Microsoft 365 など
- クラウドネーティブのアプリケーションが提供されているもの
- 低レイテンシーが求められないシステム、ミッションクリティカルではないシステム
- 利用頻度が低いもの、緊急時(災害時)のみ利用する一時復旧用のシステム
- 遠隔地バックアップ
システム全体を整理したITインフラのありかたについて
以下の図は、社内システムインフラを整理してオンプレミスとクラウドに、特性上マッピングした例です。

オンプレミス、クラウド双方にメリットとデメリットがあるため、どちらか一方ではなく組み合わせをして、最適化するシステムを作る必要があります。
また、クラウドへシステムを移行しても、必要に応じてオンプレミス環境に戻せるような柔軟性のあるインフラ基盤を構築することが必要です。
つまり、オンプレミス、クラウドのいいとこ取りができて、変化に対応しやすいハイブリッドクラウド基盤が最適解ではないでしょうか?

まとめ
今回は、システムインフラでのオンプレミスとクラウドの選択ポイントについて取り上げました。
メリット、デメリットが双方あるので、特性を理解した上で組み合わせて社内のシステムインフラとすることがより良い対応です。
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横河レンタ・リースでは、お客さまのサーバーインフラに関する情報を一元管理、オンプレミス環境を従量制課金で利用可能にする、ITインフラコンサンプションサービスを展開しております。
監修
横河レンタ・リース株式会社 マーケティング本部 CDセンター