PMあるある(メンターの役割)

作成日:2022/02/21

お役立ちコラム

PMあるある(メンターの役割)

このコラムはプロジェクトマネジャー (以下PM) の日常をご紹介しています。
「あーっ、それってあるよね。」「もっとこうしたらいいのに。」「同じような悩みだなぁ。」など、PMあるあるを息抜きに楽しんでください。

今回は実際に起こったことをヒントにして、物語風に構成しました。
いつもと違った読み物風ですが楽しんでいただけると幸いです。
前編をお読みでないと繋がらないので前編もご覧ください。

プロジェクトメンバーの紹介

  • PM(寺島学):業務管理アプリ開発PM。鹿児島出身48歳。
  • 回想時: PL/林華子(28歳)、新人SE/山岸亮(19歳)、PM/鈴木武志(39歳)

後編

林が体調不良で急遽休みを取ったある日。
その朝チーム内の定例進捗ミーティングで鈴木から機能連携の仕様理解について質問が出た。
内容は簡単な確認だった。
その機能は林が担当している部分だった。
しかし林は不在。
誰も声を上げてない。
山岸は自分の理解している部分があった。
その理解の正しさを確認する意味もあり勇気を奮って手を挙げ返答した。
デキルとは言え新人である。
鈴木にとって山岸の話は曖昧な点があった。
鈴木は質問を重ねていった。
いつもよりスイッチ入るまでの時間は長かった。
それでも納得いく回答が得られずイライラが始まり3分後にはいつもの罵倒モードに入っていた。
5分後山岸は発言できなくなっていた。
「それじゃわかんねーよ。使えねぇガキだなぁ。」とはき捨て鈴木は次の話題に移っていった。
このプロジェクトの進捗会議では珍しくない状況だ。

鈴木は機能連携の改修ポイントで認識が合っているか確認したかった。
山岸は担当分の進め方に問題ないか確認したく勇気を奮って回答した。
二人とも作業品質を保つために動いていたわけだ。
しかしかみ合わない。
山岸は良かれと思って行動した結果罵声を浴びた。
さぞ理不尽だったろう。
その日はキーボードをタイプする指が震え帰宅後床に就いたが一睡もできず翌朝を迎えたそうだ。

体調が戻り出社した林は山岸から不在時の状況報告を受けた。
内容はまだお粗末だったがホウレンソウの行動様式は身についてきた。
そこに機能連携の件が含まれていた。
林は話を聞いてその場で追い込まれた山岸の姿が目に浮かんだ。
社会人として初めて洗礼を受けたわけだ。
強烈なパンチだったろう。
程度の違いはあるが鈴木のプロジェクトに参加するメンバなら誰でも経験する事だ。
林は山岸に伝えた。
「いろんなキャラのメンバとチームで働くのでこれからも理不尽なことはあるわ。こんな職場環境は耐えられない?しかし他のプロジェクトでもあることよ。普通のこと。とにかく初めての仕事で入ったこのプロジェクトは最後までやり切ることを勧めるわ。ここで抜けると“やめクセ”がついちゃうから。だからこの先SEとして成長したい気持ちある限り私はあなたを支援するわよ。そしてもうひとつ。会社の先輩としてではなく社会人の先輩のアドバスと思って聞いてね。それはね、あなたの人生はあなた自身が決めるってことよ。まだ若い。もっと知識や人生経験を積んでからキャリアを再出発するのもアリだとも思う。」と。

林はその後もこれまでと同じ姿勢で山岸の育成係を続けた。
8月にはホウレンソウの質が彼女の期待値に到達していた。
特に文章作成はみごとな上達ぶりだった。
山岸はまれに鈴木からいつもの調子の強烈な罵声を浴びる状況があったが12月中旬のリリースまで業務をやり切った。

山岸はその年12月末で退職した。
理由は大学進学だった。
林にも相談したうえで9月には決断したそうだ。
その後山岸は米電気自動車メーカに就職した。
法人営業を担当し3年後北米地区top10入りの成果達成。
きっと林から、考えること、文章作成することを鍛えてもらったことが基礎力の育成になっていたのだろう。
山岸は林が真剣に自分の将来を一緒に考えてアドバイスしてくれたこと、仕事のイロハをきっちり叩き込んでくれたこと、心より信頼し感謝していたに違いない。

山岸は日本に特化したローカルシステムのWebアプリ開発案件が起案された。
通常は日本ローカルのシステム構築は認めない。
それを山岸が日本でBiz拡大に貢献できるポイントを粘り強く説明し本社の承認得たものだった。
複数社に声をかけコンペ開催となった。
コンペ参加する元請け1社から自社にWebアプリの一部範囲で協力依頼がありプリセールスに鈴木がアサインされた。

コンペ参加の各社が日本支社主催のRFP説明会に出席するため赤坂オフィスへ集まった。
元請けの担当者と一緒に鈴木も同行した。
会場での様子は推測だ。

山岸は本件の責任者。
説明会場に入ると鈴木はすぐに山岸の存在に気づいただろう。
山岸が新人のときのプロジェクトが脳裏にフラッシュバックされ横柄な態度だった自分を思い返したはずだ。
きっと鈴木は恥じていたかもしれない。
それとも今でも当時はあのやり方で問題ないと考えたか。
鈴木の気持ちを聞いてみたいが知る由もない。

山岸は年上の部下が説明をしている間会場にいる各社の様子を見まわし鈴木の顔は直ぐ認識したはずだ。
忘れるわけない。
高慢で横柄で大嫌いな鈴木だ。
しかし顧客の信頼を得て受注売上へ確実につなげていることはまぎれもない事実だった。
鈴木が反面教師となり数字を稼ぐことが大事だと気づいたわけだ。
山岸が退職したあとの鈴木の状況は知らない。
ただ今の鈴木には当時の自信に満ち溢れていた傲慢な面影がないことに気づいただろう。

RFP説明会終了後、山岸と鈴木が言葉を交わすことはなかったと聞いている。

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プロジェクトに参加する社員の個性やキャラクターは十人十色です。
今までの育った環境や成功体験などが異なる人の方ばかりです。
時として不条理と感じることもあるでしょう。
お互いの違いを理解することが成功への道筋を示してくれます。
そこに気づき、行動できるようになるには失敗も必要です。
そんな時、信頼おける人に相談することが良いでしょう。
まずは身近な人、上司やメンターです。そして最終的には自分で意思決定することになります。
コミュニケーションについての勉強には終わりがありません。

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