データで読む電気計測器市場

「産業のマザーツール」 と称される電気計測器市場を概観します

電気計測器は、研究開発や製造保守で使われるイメージがありますが、工場・プラントや商業ビル等の操業や家庭に至るまで、社会インフラを構成するあらゆる場面で利用されています。経済産業省がまとめている「生産動態統計調査」を引用しながら、産業のマザーツールとも呼ばれる電気計測器市場の概観をご紹介します。

いまなお成長する電気計測器市場。2014年比で36%の市場成長

2014年 経済産業省生産動態統計調査表

経済産業省がまとめる生産動態統計調査では、統計上、電気計測器とされる品目は、次の三つあります。

●電気計器:
 家庭用電力メータ、工業・商業用指示計器など

●電気測定器:
 研究・開発・製造・保守等で利用される計測器など

●工業用計測制御機器:
 工場・プラント等の制御プロセス用の機器など

生産数量でもっとも市場規模が大きいのは電気計器で、電気・ガス・水道をはじめ、家庭・商業・工業のあらゆる場面で幅広く設置されるためと考えられます。続くのは工業用計測制御機器で、工場・プラントの操業で、1事業所あたりで多数の制御機器が利用されるためです。最後は電気測定器で、主に製造業種における開発・保守ツールとしての利用のため、台数は少なめとなっています。
生産金額に目を向けると、半導体・IC測定器の生産数量は3,199台にも関わらず、生産金額が約679億円ともっとも高い結果となっています。半導体製造装置(ICテスター等)が主な製品ですが、1台あたりの単価が高額であることが要因です。

経済産業省生産動態統計調査 「電気計測器」 生産金額推移

左図は、2014年から2018年までの「電気計測器」の生産金額推移をグラフ化したものです。電気計測器全体では、2014年比で+36%(1,161億円増加)の伸び率を示しています。

内訳は、次の通りです。
●電気計器:+58%(307億円)
●電気測定器:+52%(750億円)
●工業用制御機器:+8%(103億円)
いずれも2014年比。

電気計器は、スマートメータなどの普及が押し上げ要因と考えられます。電気測定器は、一つ目は半導体市場の活況で半導体製造装置の受注が好調だったこと、二つ目は5Gを中心とした通信業界の技術革新により無線通信測定器の需要が増えたこと。三つ目はデジタル技術の高度化によりオシロスコープなどの更新需要が高まったことが推察されます。工業用計測制御機器の伸び率はやや低めであるものの、自動化・無人化などの生産プロセスの高度化などで堅調に推移しているのではないかと考えられます。
このように、社会・経済的背景、技術革新などによって、電気計測器市場が健全に成長していることが伺えます。

よくお客さまからお問い合わせをいただく、オシロスコープの人気メーカーはなに?を調べました!

オシロスコープは計測器のなかでも、もっとも利用される機種のひとつです。技術者それぞれ、好みのメーカー・モデルがありますが、新たにオシロスコープを導入検討するときに、どうしても気になるのが “口コミ・評判” です。
当社では、お客さまの人気の高さに応じて、レンタル在庫品として準備をしています。そこで、“口コミ・評判” 良さを測る物差しとして、当社のレンタル在庫品の保有データを分析して、オシロスコープの人気のメーカー・機種タイプ・周波数帯域について調べてみました。

オシロスコープの機種対応・周波数帯域
オシロスコープの機種対応・周波数帯域

●300MHz以下が多いが、1GHzモデルも増えてきた
汎用タイプが大半を占めています。周波数帯域の内訳を見ると300MHz以下が最も多く、次いで500MHzモデルです。従来はこの二つのモデルで市場を構成してきましたが、最近では1~2GHzモデルの人気が高まっています。大きな理由としては、
・回路内の信号速度が速くなってきた
・制御信号(内部バス)の評価が求められるようになった
オシロも技術進化に応じて性能・機能が拡充されています。
※汎用(はんよう)モデル・高速モデル・アナログタイプは、当社独自のタイプ分けです。

オシロスコープの人気メーカー
オシロスコープの人気メーカー

●人気メーカーは、テクトロ・横河・キーサイトの順
汎用タイプ市場では、テクトロニクスと横河計測で市場を二分しています。組み込み・パワー・メカトロニクス分野などで導入実績が豊富で、幅広い業種の技術者から支持されています。
一方、高速タイプ市場では、高速デジタル信号(USB・PCIeなど)のテストで利用されていますが、この分野ではキーサイトの人気が高いのが特長です。次いでテクトロニクスが続きます。RFテストのノウハウをもつメーカーで人気が高いことが推察されます。ローデ・シュワルツはオシロ市場には最後発参加のため、今後に注目です。

オシロスコープの最新動向の一例

  • デジタル技術に対する対応:ミックスドシグナル(ロジック信号解析)、コンプライアンステスト対応、デバッグ効率化機能
  • 基本性能の大幅な強化:ロングメモリ化(10MB以上)、高速サンプリング、電圧軸の高分解能化(12bit)
  • デジタルオシロの弱点カバー:波形更新速度の向上(測定デッドタイムの最小化)、高精細ディスプレーなど。

オシロスコープ 人気関連商品のご紹介

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MSO 5シリーズ テクトロニクス
デジタルオシロスコープ MSO 5シリーズ
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デジタルオシロスコープ 3000T-Xシリーズ
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