製品使用レビュー ~横河計測製ハンドヘルドディジタルマルチメーターTY720F~

マルチメーターと言えば電子機器開発に携わるエンジニアならば、誰でも触れたことがある最も基本的な計測器ではないでしょうか。
現役エンジニアの松永様にご協力いただき、プロの目線で使い勝手などご体験いただきました。ありそうでなかったマルチメーターに特化した製品レビューです。

1.TY720F製品スペック

今回ご紹介する横河計測製のTY720Fですが、勘の鋭い方なら違和感を持たれたかもしれません。そうです、メーカーのラインアップにはTY720Fという型式は存在しないのです。
今回ご紹介するのは当社が特注で「TY720」をメーカーに製作を依頼したマルチメーターのため最後に「F」が付いております。
具体的な通常モデルとの違いですが、電流レンジが少ない代わりに、高精度での測定が可能となっております。なお5A、10A端子が使用できない点も標準モデルとの差となっています。
その他は標準モデルTY720のメリットである「ハンディ型で軽量・コンパクト」「携帯用ケース付き」という使いやすさの点は同様です。

TY720Fの高さは約192mm、幅は約90mm、奥行きは約49mm、質量は約560g(電池含む)である

仕様
4桁1/2ハンドヘルドディジタルマルチメータ
DCV (分解能:1μV、最大レンジ:1000V)
DCA (分解能:0.01μA、最大レンジ:500mA)
ACV (分解能:10μV、最大レンジ:1000V、周波数:10~100kHz)
ACA (分解能:0.01μA、最大レンジ:500mA、周波数:10~5kHz)
Ω (分解能:10mΩ、最大レンジ:50.000MΩ)
導通チェック機能、ダイオードテスト、キャパシタンス測定、周波数測定、デューティサイクル測定
500uA、5000uA、50mA、500mAレンジの確度向上
5A、10A端子使用不可
付属品名 個数
取扱説明書 1
テストリード (テストリードキャップ付き) 赤/黒 各1本 2
収納ケース 1
ブランクカバー 本体背面装着,黒色,ゴム製 1
電池カバー (ネジ付き) 本体背面装着 1
ヒューズ 本体内蔵 1

2.使用レビュー

現役エンジニアの松永様に、実際に「TY720F」を使用していただきました。

まずは、自己紹介をお願いします。

松永:明星電気株式会社でエンジニアをやっております。
また、趣味で、アマチュア無線もやっており、計測器は日常的に使っています。

当社の中古商品になりますが、箱を開けた第一印象はいかがでしたか?

松永:梱包箱も含め全てきれいなもので、正直驚きました(笑)。
厳密にいうと細かい傷は当然ありますが、外観上、使用上も気になるレベルではありません。
もともとレンタル品で品質管理されているという点も安心要素です。

このTY720Fを松永様はどのように使われていますか?

松永:仕事での業務である登録点検作業 (バッテリー・電圧) と個人的なボランティア活動 (子供向けモノ作り教室) です。

TY720Fについて第一印象はいかがですか?

松永:使いやすいですね。重さも妥当で、片手で持って作業をしても負担にならないですね。
インターフェースもシンプルな点がいいですね。特に業務での使用時には顧客の前で操作することもあるので、操作に手間取りたくなく、直感的に操作しやすいかどうかを重視しているのですが、問題なかったです。

松永様から見て製品自体 (TY720F) の良いポイントを教えてください。

松永:直観的に使えるインターフェースが気に入っています。

逆に悪いポイントは?

松永:付属品のプローブの長さが約1mですが、もう少し長さが欲しいですね。測定場所によっては、ラックの中など、プローブが届きにくい場面があるかもしれないです。

操作性 ★★★★★ ファンクション部が大きめに作られているので、「現場」で軍手などをしていても切り替えはスムーズに出来るところがいいですね。
携帯性 ★★★★☆ しっかりとした製品なのでそれなりの重さがあります。ただ「現場に持っていけない」という程では無いので、測定器としては問題ありません。
視認性 ★★★★★ 液晶表示部のセグメントがしっかりと見えますし、「逆接して」測定しても直ぐにエラー表示が出るので、安心です。
コストパフォーマンス ★★★★☆ 精度だとかを前提としなければ、ホームセンターなどで販売されているテスタでも十分かもしれません。ただ、お客さまへお届けする製品の点検で、より精度が高く安定して使える「道具」をそろえておくにはコスパは良いと考えます。
総合評価 ★★★★★

計測器の中古品調達について松永様はどう思われますか?

松永:「リユース品」というと何となく抵抗があるものですが、「専門レンタル・リース会社」のしっかりとした品質管理がその抵抗感を和らげていると考えます。
ただ、私の趣味のアマチュア無線の世界では、無線機やアンテナアナライザ (SWR計など) の測定器に至るまで、お店や個人間で「ごく当たり前」に行われていますので、リユースに対する違和感はまずありません(笑)。

今後計測器を活用して取り組みたいことを教えてください。

松永:仕事はもちろんのこと、ボランティア活動として行っている子供たちを対象とした電波・ラジオ製作教室で、より活躍しそうです。表示部が大きいので子供たちが「これは何の数字なの?」と聞かれたり、実際にこのマルチテスターで「電池の電圧」や「部品の値」を測らせてみて、より理解が深まるようになるのではと期待しています。

松永様は電波適正利用推進員としてボランティア活動をしています。
ボランティア活動の際にも測定器を使用される機会が多いのだとか。

松永様勤務先のアマチュア無線クラブでかつて使用されていた「QSLカード(受信証)」。

執筆者
明星電気株式会社 気象防災事業部 工事サービス部 松永 喬 氏

明星電気株式会社 気象防災事業部 工事サービス部
松永 喬 氏

第一級陸上特殊無線技士・登録検査等事業者等届出点検員
総務省関東総合通信局長委嘱 電波適正利用推進員神奈川県協議会所属
https://www.cleandenpa.net/area/14_kanagawa/
第一級アマチュア無線技士/アマチュア無線局 JK4MRL JH1LHE
JQ1ZIJ 明星電気 WE WISH アマチュア無線クラブ代表者
航空無線通信士

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