エネルギーの効率化における計測ソリューションの動向

注目の計測ソリューション

世界の電気エネルギーの半分程度がモーターの駆動で消費されていると言われ、省エネルギーなど社会的な背景から、モーターの消費電力削減はますます重要になってきています。近年、電気エネルギーの高効率化を実現するために、より高精度でモーターやインバータの制御状態を評価するケースが増えてきています。
本コラムでは、エネルギーの効率化に関して注目を集めている有用な計測ソリューションについて紹介します。

パワーデバイスの特性評価に活躍するデバイスアナライザ/カーブトレーサ

従来、ダイオード、トランジスタ、サイリスタなどのディスクリート半導体の特性は、テクトロニクス社から提供されていたカーブトレーサ 370A/Bで測定をしてきた技術者も多いのでないでしょうか。370A/Bは、およそ30年以上前に発売され、現在では製造中止されてから多くの歳月が流れました。近年は、SiCやGaNなどの新しい化合物半導体のパワーデバイスやそれを利用したパワーユニット・モジュールの研究開発が活況となり、従来のカーブトレーサでは測定できなかった大電圧・大電流の測定ニーズが高まっています。パワーデバイスの性能によってシステム全体の性能も決まってきますので、最終的な回路全体の効率評価だけでなく各回路ノードでの電流波形と電圧波形の検証も重要です。
キーサイト・テクノロジー B1505Aはパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサで、サブnAレベル~1500 A、μVレベル~10 kVという広い電流/電圧レンジをカバーし、パワーエレクトロニクス回路に使用されているほとんどのデバイス/コンポーネントの評価に対応できます。また、 B1505Aはデバイスの容量、ゲート抵抗、ゲート電荷の特性など、 デバイスのパワー損失を決定するすべての主要パラメータも評価できます。従来使用してきたカーブトレーサから機種更新をして利用するお客さまも増えてきました。下の図は B1505Aで評価できる代表的なデバイスパラメータです。

B1505Aで測定できる代表的な特性

※出典・参照:キーサイト・テクノロジー Technical Overview「車載アプリケーションのパワーテストの課題と ソリューション」

波形レベルでの過渡的な電力測定ができるパワーアナライザ

一般的な電力計は、モータ、インバータやバッテリーなど、システムや装置全体の電力などを対象に、比較的緩やかに変化するものを対象に利用されることが多いです。電力計では、モータの加速・減速時など急速な変化を伴う過渡的な電力測定や回路レベルでの電力測定は不向きでした。一方、一般的なオシロスコープは信号波形の形状を観測することが得意で、精度の高い電力測定には不向きでした。横河計測のPX8000 プレシジョンパワースコープは、オシロスコープをベースにした新しい電力アナライザで、従来の電力計と同様にトレーサビリティのとれた電力測定が可能なことが大きな特長です。オシロスコープ同様に波形レベルでの電力解析が可能で、プローブにより取り込んだ電圧・電流波形についてカーソルで指定された区間の電力演算するなど、測定条件の応答状況に応じた電力測定をすることができます。これにより電力計では評価が難しかったような急速な変化を伴う過渡的な電力測定が可能となり、モータやインバータ制御の評価などにも有用なソリューションです。

インバータ・モーターの瞬時的な電力変化や効率を、波形を的確に捉えて解析

※出典・参照:横河計測アプリケーションノート 「EV/PHV インバータ・モーターの波形測定、過渡電力測定」

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