Windows で作るハイパーコンバージドインフラとは 前編

作成日:2021/02/12
更新日:2022/01/18

お役立ちコラム

Windows で作るハイパーコンバージドインフラとは 前編

今回は、Windows で構築するハイパーコンバージドインフラ(以下、「HCI」という)製品のご紹介です。

内容は前編と後編で以下を予定しています。

  • 前編:仮想化とハイパーコンバージドとは何ですか
  • 後編:実機検証結果から実際のAzure Stack HCI運用について

毎年、社内で新人向けに各種インフラの内容を説明しているのですが、その中で、どのように説明したら分かりやすく理解してもらえるかをその都度考えています。

その経験を踏まえ、本HCIのご紹介がサーバーの仮想化、HCIに詳しい方はもちろん、名前を聞いたことがある程度の方へもご理解いただけるようにコラムを作成しました。

サーバー仮想化とは

サーバーの仮想化を端的にお伝えしますと、ひとつのサーバーに複数の仮想サーバーを搭載できる技術です。

仮想化ソフトウエアによって、物理サーバーのCPUとメモリ、ハードディスクなどを複数の仮想サーバーに分割して割り当てることができます。

物理環境
物理リソースを1台ですべて利用

仮想環境
物理リソースをソフトウエアで分割して各OSに割当

仮想化ソフトウエアで有名なのはVMwareやHyper-Vで、市場シェアも高いです。

ひとつのサーバーに複数のサーバーが搭載できると必要な物理サーバー数が減ります。
このようにサーバーを集約することで各種コスト(場所代、電力費、運用費など)の減額や、リソースの有効活用と新しいサーバーの準備も迅速にできるなどのメリットがあります。

また、カプセル化の技術で、移行やバックアップにもメリットがあります。

ただ注意点として、1台の物理サーバーに複数の仮想サーバーを搭載しますと、その物理サーバーが故障した時の影響は大きくなります。
例えば、1台の物理サーバーに仮想サーバーが4台動いている場合、1台の故障で4個の仮想マシンの業務が止まりますので、集約した分だけ被害も大きくなります。

なお、仮想サーバーを動かすために活用する物理サーバーを「仮想ホスト」と呼びます。

そのため、複数の仮想ホストで1台故障しても別の仮想ホストで稼働できるように、SANもしくはNAS等の共有ディスクを利用しての運用をおすすめします。

仕事に例えますと、共有箇所に資料が一式保管されていれば、担当の人が休んでも別の人に業務が引き継げます。
つまりサーバーへ仮想マシンの情報(構成ファイル)を置いて他のサーバーへ引き継ぎができる場所として共有ストレージがあると考えていただければ、分かりやすいと思います。

この構成は通常業務時も、負荷が高い作業を行う時に、作業を分担できることになるため、ハードウエアの負荷軽減に貢献します。

3Tierとは 

複数のホストと共有ストレージをおすすめしましたが、その構成には、サーバーと共有ストレージ、その二つをつなぐSANスイッチが必要です。

つまり3階層構成になるため3Tierと呼び、それぞれ別の機器が必要になることが特徴です。

HCIとは

仮想環境では共有ストレージが必要ということをお伝えしました。

HCIとは?をわかりやすくまとめると、3Tierでお伝えしたように、仮想ホストとSANスイッチ経由で共有ストレージを接続する方式から、ここ数年では、各仮想ホストの内蔵ハードディスクを仮想化ソフトウエアで共有ストレージとして運用を可能にする製品が出てきています。

そちらを活用することで別途仮想ホストのほかに、物理ストレージがなくても運用が可能になっています。

HCIで、サーバー間の内蔵ハードディスクを同期するためには、たくさんのデータのやり取りが必要になります。
そのネットワーク経路に1Gbpsのネットワークインターフェースでは速度が不良を起こしやすくなるため、各社のHCIは10Gbpsもしくは25Gbpsのネットワークインターフェースを使用して同期を行っています。

10Gbpsのネットワークスイッチもまだ高額な製品が多いため、少ない台数のサーバーであればサーバー同士の接続には10Gbpsネットワークスイッチを使用せず、直結できるという特長のHCI製品もあります。

それぞれのメリットとデメリット

3Tierのメリット

  1. システム要件に合わせて小規模から大規模まで自由に構成が可能
    例えば、仮想ホストのCPUやメモリは必要容量が少なくてよく。
    代わりに、低速でもいいが共有ストレージのディスク容量は多く必要、さらに安価なハードディスクを希望。など極端なケースにも柔軟に対応ができます。
    オーダーメードで調整ができるため、少ない仮想マシンの構成から大規模な仮想マシンの構成まで可能です。

3Tierのデメリット

  1. 各製品のサイジングやコンパチビリティの確認が必要
    つまり、仮想ホストのサーバー、SANスイッチと共有ストレージ、それら各ハードウエアの容量やスペック、そして各機器の接続互換性(コンパチビリティ)が、必要な確認事項となり、時間や場合によっては余計なコストがかかってしまいます。

HCIのメリット

  1. ハードウエアと仮想化ソフトウエアは事前検証&認定済み
  2. 導入する機器が少なくて済むため、最小規模で導入が可能

HCIのデメリット

  1. ある程度固まった構成であるため、例えば、極端なスペックの仮想マシンが必要なときなどでは適用が困難になる場合がある
  2. 増設時に、リソースを少しだけ足すなどがしづらい
    例として特定の仮想ホストだけメモリ増設などのケースや、1台の仮想サーバーだけ1TBだけディスクを増設したいなどの場合、CPU、メモリやストレージリソースがひとつのかたまりとなるHCIではノード増設が必要になることがあります。

まとめますと、衣服などでオーダーメード品と既製品の違いとなんとなく似ているところがあります。
3Tier がオーダーメード品、HCI が既製品と想定でき、HCIはセットになっているため極端な構成の時には向かない場合もありますけれど、簡単に選択とすぐに導入できるメリットも持っています。

Azure Stack HCIとは 

ひとことで言うとWindows で作成できるHCIです。

Windows Datacenter Edition を利用することで構築ができ、こちらのライセンスに Windows サーバーのゲストのライセンスが含まれているため Windows のゲストOSが多い環境であれば、コストパフォーマンスも良い製品となります。

共有ストレージ領域もSSDが構成することができ、最小2ノードから構築もできるため、スモールスタートでWindowsの仮想サーバーが多い環境にピッタリな製品です。

メリットとしては

  • スモールスタートが可能
  • クラウド Azureとの親和性
  • コストパフォーマンス
  • 管理画面がWindows Serverと基本同じため、現行のサーバー管理の知識で対応も可能

以上のメリットを実感できることが特徴です。

まとめ

今回は仮想化とHCIについてまとめてみました。

次回は、Azure Stack HCI を実際に検証した結果、見えてきた事象などを踏まえてご紹介します。

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