HPE InfoSight実機検証レポート

クラウド上の機械学習で高可用性を実現するHPE InfoSight
HPE 3PAR StoreServでの利用に関して実機で検証

HPE Nimble Storageとの画面構成の違い

 HPE InfoSightには、予兆検知に加えてもう1つのメリットがある。それはシステム稼働状況の可視化が容易になることだ。今回の実機検証では、これについても確認されている。HPE InfoSightの画面構成が、HPE 3PAR StoreServとHPE Nimble Storageでどのように異なるかがチェックされているのだ。確認された画面構成は2種類。クロススタック分析と、データ表示&レポートである。
 クロススタック分析とは、VMware ESXiサーバーや仮想マシンなどのパフォーマンスを可視化する機能。VMware vCenter Serverへのアクセス情報を設定することで利用可能になる。この情報を利用することで、定期的なパフォーマンス低下が起きている場合の原因分析などに役立てることが可能。なおHPE InfoSightに表示されるデータは数日間蓄積されたものであり、リアルタイムの情報ではない。また、HPE InfoSightへの通信が1日以上遮断された場合には、対象となるVMware vCenter Serverの情報が自動的に削除され、接続再開からデータ閲覧可能になるまで数日かかる点にも注意が必要だ。
 クロススタック分析の画面遷移は以下の通り。HPE Nimble Storageに対し、HPE 3PAR StoreServでは「3PAR StoreServ Systems」「VM Details」というレイヤーが追加されてはいるものの、他は同じ構成になっている。これは情報源がいずれも、VMware vCenter Serverだからだといえるだろう。

クロススタック分析(VMware連携)

 表示される画面内容も、以下のようにほぼ同様だ。ただし、若干の違いもある。「Total Latency」のグラフ表示で、HPE Nimble Storageは「Network」と「Storage」が分かれているのに対し、HPE 3PAR StoreServではひとまとめになっているのだ。このような細かい差異も、注意すべきポイントだといえる。

一方、データ表示&レポートでは大きな差異がある。その画面遷移を比較したのが以下の図だ。

データ表示とレポート

 いずれも大きく「Dashboards」と「Infrastructure」で構成されているが、HPE 3PAR StoreServでは、Dashboardsの画面が1つに集約され、Infrastructureのサブ画面数が多い。この画面構成について、横河レンタ・リース システム事業部 エンジニアリング システムエンジニアの高橋 利享は、次のように指摘する。
 「HPE 3PAR StoreServの画面構成は、HPE OneViewの流れを汲んでいることがわかります。HPE 3PAR StoreServのユーザーにとっては、この方が違和感なく利用できるのではないでしょうか。その一方で、HPE Nimble Storageの方は、Nimble Storage独自の画面構成を継承しています。将来はこれが、HPE OneViewの流れに合流する可能性もあるでしょう。」

当然ながらDashboardsの情報量も大きく異なっている。HPE 3PAR StoreServではより多くの情報が一覧表示されている。

Step1.3PAR OS、Service Processor のバージョンアップをHPEに依頼
Step2.Service Processor 4.4 MU8 ソフトウエアへのアップデート
Step3.3PAR OS 3.2.2 MU6 ソフトウエアへのアップデート
Step4.HPE InfoSightログインアカウントの取得
Step5.HPE 3PAR StoreServをHPE InfoSightへ登録

 また、レポート機能にも若干の違いがあるという。「HPE Nimble StorageはCSVでデータをダウンロードし、ユーザーが加工する必要があります。これに対して、HPE 3PAR StoreServでは、PDF形式のレポートをダウンロードできるため、データ加工が必要ありません。」(平野談)。

HPE InfoSightを利用するための5つのステップ

 以上が、HPE 3PAR StoreServ向けのHPE InfoSightに関する、実機検証の結果である。今回の検証の中では、HPE InfoSightからシグネチャパターンに合致したケースとして自動でメールが届くようなシチュエーションを体感することはできなかった。しかし、HPE レスポンスセンターの対応内容や管理画面を実際に見ることで、HPE InfoSightへの接続に対する心理的なハードルは、かなり下がったのではないだろうか。
 そこで最後にHPE InfoSightへの対応方法についても、簡単に説明しておきたい。実施ステップは以下の通りとなる。HPE InfoSight利用条件を満たす最小バージョン以降とした。

なおStep2~3のソフトウエアアップデートは、HPEによる作業となる。また、HPE InfoSightログインアカウントはオンラインで取得でき、HPE Passportのアカウントを持っている場合には、それをそのまま利用できる。
 このようにHPE InfoSightへの接続は、決して難しいものではない。もちろんHPE 3PAR StoreServがHTTPSでインターネット接続できることが前提となるが、すでに3PARリモートサポートを利用しているのであれば、HPE InfoSightの利用を検討する価値は十分にあるといえるだろう。
 HPE 3PAR StoreServには膨大な数のインストールベースがあり、その多くがリモートサポート環境に接続されており、既に蓄積されてきたビッグデータがある。これを元にパターンマッチングのためのシグネチャの数は、加速度的に増えることが予想できる。HPE 3PAR StoreServのパフォーマンスと可用性はさらに向上していくだろう。HPE InfoSightのAIによる予測分析の今後に期待したい。

【InfoSight検証レポートへのエンドースメント】

 HPE InfoSight は、日本ヒューレット・パッカード(HPE)が提唱するIntelligent Storageを具現化するツールです。膨大なシステムの稼働データをAIで解析することで、リソースやパフォーマンスの予測分析、ベストプラクティスの提示、システムの可視化にとどまらず、将来的にはITインフラの自律化を可能とします。これによりお客様はインフラの運用・保守にかかる工数を大幅に削減することが可能です。また、対象はストレージのみならず、多くのお客様でご採用頂いているProLiantサーバーなどへ順次拡大を進めています。
 AIの力を享受するためのデータ収集は一朝一夕には行えません。また、AIの解析技術そのものも同様です。既に他社より数年先を行くHPE InfoSightは、これまでには無い差別化ポイントであり、HPE製品がお客様に選ばれる大きな理由になると考えます。
 横河レンタ・リース株式会社様とは20年を超えるパートナーシップがあり、現在はプラチナパートナーとして多数のサーバー・ストレージ・ネットワーク製品、およびサービスの販売と導入実績をお持ちです。特に3PARについては販売開始当初から数多くの構築実績をお持ちであり、豊富な経験と高い技術レベルを持ったエンジニアの方が多数いらっしゃいます。そのインストールベースと今後の新規提案にHPE InfoSightによる新たな価値提案を強力に推進頂き、お客様のデジタルトランスフォーメーションの加速をご支援していただくことを強く期待いたします。

日本ヒューレット・パッカード株式会社
ハイブリッドIT事業統括
ハイブリッドIT製品統括本部
統括本部長
本田 昌和

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