「HPE SimpliVity」とサイオステクノロジー「LifeKeeper」検証レポート

HCIをリードする「HPE SimpliVity」で極めて高い可用性を実現
横河レンタ・リースが実機検証した「LifeKeeper」との組み合わせ

アプリケーションまでカバーした高可用性を可能にする「LifeKeeper」

 それはいったい何故なのか。高橋はその理由を次のように説明する。
「vSphere HAは仮想マシンやゲストOSを対象とした保護機能であり、アプリケーション保護まではカバーしていません。例えばOSは正常稼働しているのにその上のPostgreSQLが停止してしまった、といった状況には対応できないのです。アプリケーションの保護を行うには、VMware社が提供するSoftware Development Kit(SDK)を用いて独自に保護機能を実装する必要があります。しかし、その場合には、アプリケーションのバージョンアップ時に保護機能の改修やテストを自ら行う必要があり、メンテナンスの負担増大につながってしまいます」。
HCIならクラウドのようなサービスレベルが実現できるのではないかという議論も存在するが、それは必ずしも正しくないと高橋は指摘。例えば、仮想マシンレベルでの可用性が担保できたとしても、アプリケーションが落ちてしまえばサービス継続は不可能になるからだ。この問題を解決するための最適なアプローチが、サイオステクノロジーが提供する「LifeKeeper」の活用なのだという。
サイオステクノロジーはLinuxに代表されるオープンソースソフトウェアの開発と利用を軸に、多岐にわたるソフトウェア製品やそれらに関するサービスを提供する企業。LifeKeeperはその主力製品の1つであり、Active/Standby型の「HAクラスターシステム」を実現するためのソフトウェア製品なのである。

サイオステクノロジー株式会社 國政 充典

 「予備のサーバーを設置し、稼働中のサーバーに障害が生じた場合にサーバーの自動切り替え(フェイルオーバー)を行うことで、ダウンタイムの最小化を実現するのがLifeKeeperの基本的な機能です」と説明するのは、サイオステクノロジーで第1事業部 BC事業企画部 プリセールスエンジニアを務める國政 充典氏。クライアント側からは仮想IPアドレスにアクセスさせるため、どちらのサーバーが稼働状態にあるかを意識させる必要はないという。

LifeKeeperの基本的な機能。稼働系サーバーの他に待機系サーバーも設置し、クライアントからは仮想IPアドレスに対してアクセスさせる。稼働サーバーに障害が発生した場合に、自動的に待機系サーバーへと切り替えることで、ダウンタイムを最小化する。

基本的な構成としては大きく2種類から選択可能。1つは、稼働系/待機系で1つのストレージを共有し、フェイルオーバー時にはストレージアクセスを稼働系から待機系へと切り替える「共有ストレージ構成」。もう1つは共有ストレージを使わず、稼働系と待機系が個別のストレージを持ち、両者のデータを同期させることで論理的な共有ストレージをLifeKeeperに提供する「データレプリケーション構成」だ。後者の場合には、データ同期にサイオステクノロジーの「DataKeeper」を使用する。

アプリケーション毎の「ARK」によってスクリプトを書かずに運用開始が可能

 LifeKeeperもvSphere HAも可用性を高める手法ではあるが、両者には大きな違いがある。それは、vSphereHAは仮想マシンとゲストOSしかカバーしていないのに対し、LifeKeeperはアプリケーションやミドルウェアの障害にまで対応できる点だ。つまり前述のような「OSは動いているのにPostgreSQLが停止している」といった状況が発生した場合にも、待機系サーバーへアプリケーションの切り替えを自動的に実施し、サービスを継続できるのである。

LifeKeeperとvSphere HAとの違い
LifeKeeperとvSphere HAとの違い。vSphere HAはゲストOSの部分まで(図の青い部分)しかカバーできないのに対し、LifeKeeperはアプリケーションやミドルウェアにまで対応した高可用性を実現できる。

  LifeKeeperは監視対象として設定されたアプリケーションが正常稼働していることを常に監視しており、障害検出時に対象のアプリケーションへ再起動を試行し、これが成功しなかった場合に待機系へ切り替える。これら一連の処理の定義は「Application Recovery Kit(ARK)」と呼ばれるスクリプト集により、サイオステクノロジーから提供されており、ユーザー自らが処理内容を記述したスクリプトを開発してテストする必要はない。ARKはアプリケーション毎に用意されており、それぞれのアプリケーションに最適化された設計となっているため、簡単に導入してすぐに運用を開始できる。またアプリケーションのバージョンアップ時には、それに対応したARKが提供される。さらにデータセンター内でHAクラスターを構成するだけではなく、データセンターとクラウドの間でHAクラスターを構成し、ディザスターリカバリー環境を実現するといったことも可能だ。
「すでに全世界で25年間6万ライセンス以上が販売されており、特定のサーバー製品に同梱されていない独立系のHAクラスターとしては、国内トップの実績があります」と國政氏。アプリケーションまでカバーしていることに加え、共有ディスク構成とデータレプリケーション構成の両方に対応し、マルチプラットフォームでも利用できるため、柔軟な運用が可能なことも高く評価されているという。
また高橋も「横河レンタ・リースでは顧客に年間100本以上のLifeKeeperを導入しており、信頼できるHAソフトウェアであることを実感しています」と言及。これを、HCI市場をリードするHPE SimpliVityと組み合わせることで、ミッションクリティカルなシステムでもHCIへの移行が容易になるはずだと語る。
すでにLifeKeeperはこれまでにも、物理サーバーによる3階層の仮想化環境で、問題なくHAクラスターを実現することができたと高橋。それではHCI環境でも同じように使うことができるのか。これを実証するため、横河レンタ・リースでは、HPE SimpliVityとLifeKeeperを使った実機テストを実施。問題なく利用できることを実証したという。

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