電力需給ひっ迫に対する取り組みとはどのようなものがあるのでしょうか?

作成日:2022/09/06
更新日:2023/11/28

お役立ちコラム

電力需給ひっ迫に対する取り組みとは
どのようなものがあるのでしょうか?

これまで、企業や個人におけるSDGsに対する取り組みや、『ESG』というキーワードのご紹介をしてきました。
今回は電力需給ひっ迫に関する警報が出るなど電力不足が深刻化しているなかで注目されている節電プログラムについて取り上げます。

そもそも、なぜ、電力需給ひっ迫が起きたのでしょうか

日本の発電は原子力、火力、水力などで行われており、原子力発電所のいくつかは点検後の再稼働ができない状況が続いていることは周知のとおりです。
資源エネルギー庁の「総合エネルギー統計」をもとに当社にて集計したところ、日本の総発電量のうち、76.3%が火力発電 (石炭:31%、天然ガス:39.0%、石油等:6.4%) によるものであり、東日本大震災以降、火力発電への依存度が増えたこと、再生可能エネルギーの割合が増加していることがわかります※。

※出典:経済産業省 資源エネルギー庁/令和3年度エネルギーに関する年次報告 (エネルギー白書2022) /第4節 二次エネルギーの動向/【第214-1-6】発電電力量の推移

構成比の変化 (発電量)

参照:経済産業省 資源エネルギー庁 総合エネルギー統計/集計結果又は推計結果/時系列表 (参考表)

再生可能エネルギーは季節や天候によって発電量が変動するエネルギーです。
電気の安定供給には需要と供給が常に一致している必要があります。
例えば、太陽光発電は天候が悪い日や夜間は発電が見込めませんが、火力発電は、燃料の投入量を変化させることなどによって出力量を制御することができる電源です。
悪天候などにより再生可能エネルギーの供給が望めない時間帯の需要に対して、火力発電が供給量を調整する役割を担っており、再生可能エネルギーによる供給が見込める場合は、火力発電の出力を抑えることが決められています。
火力発電の出力を抑えることが頻発すれば、発電量が低下するため、非常にコストパフォーマンスの悪い設備になってしまいます。
しかし、再生可能エネルギーの利用が拡大するほど、供給量が変動しやすいため、より一層調整が必要になると言われています。
火力発電が減少すると電力供給が不安定な状況になりかねないのです。

発電設備を持つ大手電力会社では、2016年の電力小売り自由化以降、新電力や都市ガス大手などに顧客を奪われ、経営が厳しくなっています。
そのため、稼働率の低下、老朽化、脱炭素の流れにより、近年では火力発電所の休止や廃止も増加傾向にあります。
限られた火力発電設備で有効に運用していくために、電力各社は夏季 (7月から9月) と冬季 (12月から翌年3月) の電力需要の増加を考慮し、火力発電の補修点検を電力需要が少ない期間に実施するなど対策をしてきました。
しかし、予測外の時期での需要増加により、電力需給のひっ迫が発生したと考えられています。

デマンドレスポンスとは

消費者が電力使用量を制御することで、電力の需要と供給のバランスを調整するための仕組みです。
デマンドレスポンス (Demand Response) を略して「DR」と言う人もいます。
DRには『上げDR』、『下げDR』の2種類があり、DRと言えば下げDRを指すことが多いようです。

下げDR 電気の需要量を減らします。
例えば、電気のピーク需要のタイミングで消費電力を削減すること
上げDR 電気の需要量を増やします。
例えば、太陽光発電の過剰発電分の消費や蓄電池へ充電すること

また、需要制御の方法には2種あります。

  • 電気料金型:ピーク時に電気料金を値上げすることで、各家庭や事業者に電気需要の抑制を促す仕組み
    メリット :比較的簡便で大多数に適用できる
    デメリット:時々の需要家 (企業や一般家庭) の反応によるため、効果が不確実
  • インセンティブ型:電力会社との間であらかじめピーク時などに節電する契約を結んだ上で、電力会社からの依頼に応じて節電した場合に対価を得る仕組み
    メリット :契約によるため、高価が確実
    デメリット:比較的手間がかかり、小口需要家への適用が困難

DRは電力需給バランスの改善に寄与する以外にも電力を抑えることで、高騰する天然ガス、そのスポット市場での追加購入を減らすことができるため、燃料調達コストの抑制にもつながります。
また、DRに協力した需要家にとっても電気料金の負担抑制や電力会社からの報酬を得られるというメリットがあり、DRを導入することで、日本全体にとっても、個人にとってもメリットのある仕組みと言えます。

電気が必要な時のために備えておくこと

需要ピーク時に行う節電活動も大切ですが、エアコンを切るなど無理な節電により体調不良になってしまうわけにはいきません。
需要ピーク時にも安定的に電気を使いたい、そのようなときに活躍するのが、UPSや蓄電池など電気を蓄積できる機器です。
これまでは、企業で使用される例が多かったのですが、近年では、家庭用も普及し始めていると言われています。
蓄電池は夜間など電力が安い時間や日中の太陽光発電で作り出した電気を蓄えることができます。
太陽光発電で昼間に蓄え、夜間に使うことができるため、日中時間帯にあまり電気を使わなかったときでも有効に活用でき、節電効果も見込めます。

蓄電池が普及し始めているもう1個の理由が、停電時の電源にも利用できることと言われています。
災害によって電力会社からの給電が停止しても蓄電池が稼働できる状態であれば蓄えておいた電気を使うことができるため、災害対策ツールとして注目されているのです。

最後に

今回は、節電についてまとめてみました。
節電プログラムは参加だけで2000円とお得な内容だとは思いますが、筆者も節電プログラムに参加するからには、節電という行為そのものも一層心がけていきたいと思います。

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執筆

文月 (横河レンタ・リース株式会社 営業統括本部 ITS&システム営業推進本部 システム営業技術支援部1グループ)

主な業務は営業に対する技術支援やお客さまや社外向けプロモーション活動。
寺社仏閣めぐり (もちろん御朱印集めも) など日本の文化が大好きです!

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