ディープラーニングを業務にいかす

作成日:2021/07/07

お役立ちコラム

ディープラーニングを業務にいかす

AI (人工知能) 技術の一つであるディープラーニングが注目されています。
近年のハードウエア、ソフトウエア技術の進化により、実用的となったディープラーニング技術を応用した商品やサービスが数多く登場し、産業分野への導入も始まっています。
今回は、このディープラーニングについての基本と、利用用途、そして開発環境について紹介します。

ディープラーニングとは

日本語では「深層学習」と呼ばれるディープラーニングとはどのような技術なのでしょうか。
ディープラーニングはAIの技術の一つである機械学習 (マシンラーニング) の一手法です。
AI研究のパイオニアであるアメリカの科学者アーサー・サミュエルによると、機械学習とは「人が明示的にプログラムによって指示をしなくてもコンピューターに学習能力を与えること」と定義しています。
具体的には大量のデータからルールを見つけ出す、つまり認識する技術で、人がプログラミングするのは、ルールそのものではなく、ルールの見つけ方(学習方法)だけです。

ディープラーニングはこの機械学習の学習方法として、人間の脳細胞 (ニューロン) の動きを模したニューラルネットワークを使う方法です。
ニューロンは複数のニューロンから信号を得る枝があり、この枝は重み付けされています。
その重み付けされた枝から受け取った信号をニューロン自身が適当な変換をかけて次のニューロンに出力します。
ニューロンは何重にも重なった層状になって複雑に絡み合っており、出力された信号は何度も変換されて行きます。
その結果、入力データに対して、複雑な分析・認識が可能になります。
この何層にも折り重なったニューロンの層の仕組みをコンピューター内に再現したのがディープニューラルネットワーク (DNN) と言われるものです。

このディープラーニングの出現により、機械学習の能力は格段に向上。
画像認識や音声認識、自然言語処理、異常検知などに使われるようになりました。

ディープラーニングと相性の良い GPU  

パソコンの画像出力に使われる GPU (画像処理装置) 。
CAD や動画編集、ゲームなどでは高性能のGPUが求められますが、実はディープラーニングにもGPUが使われています。
GPU は3Dのデータを画面出力用に2Dに変換し、画面に表示するデータを何色で表示するかを1ピクセル (画素) ずつ計算します。
ディスプレーの画素数はフルHDで約200万画素、4Kに至っては800万画素あるうえに、毎秒数十回の書き換えを行っていますので、その計算量は膨大なものです。
ただし、複雑な計算というよりは、行列の演算というシンプルな計算ですので、GPUでは同時に大量の計算ができるハードウエアが備わっています。
先にも説明したとおり、ニューロンの信号処理は、重み付けされた複数の入力信号を入力すると変換された信号が出力され、それが次の層の複数のニューロンに出力されて…、ということを何層にも行っています。
これはまさに行列の演算であり、GPU が持つハードウエアの能力がそのまま応用できることから、GPUがディープラーニングに使われるようになりました。

さまざまな用途があるディープラーニング技術                     

ディープラーニングによる認識が、その力を発揮するのは画像認識や音声認識、自然言語処理、異常検知などです。
これらの技術の多くは、今ではスマートフォンにも搭載されています。
例えば、画像認識は顔認証や写真加工アプリなどで使われていますし、音声認識や自然言語処理は音声によるエージェントアプリや文字入力などにも使われています。
また、産業分野でもその活用が進んでいます。例えば、画像認識技術によって製品のパッケージの外観検査に使われたり、機器や設備の異常動作検知したり、マルウェアのふるまい検知などに応用されている例もあります。
いずれも大量のデータの中から、人間では見落としてしまうようなデータを認識して見つけ出すということが強みになっています。

充実する開発環境

GPU の活用により、ディープラーニング技術は大きく進歩しました。
さらに近年では GPU メーカーがディープラーニング用のSDKやフレームワークなどの開発環境を整備、さらには Google などがより扱いやすいフレームワークをリリースしています。
これらの開発環境を活用することで、開発期間を短縮できるようになってきています。

開発には強力な GPU を

ディープラーニング技術を使ったシステムや製品、サービスを開発するには、大量のデータとともにニューロンの「重みづけ」を変えていき、最適なパラメータを見つけ出すためにトライ・アンド・エラーを繰り返す必要があります。
利用したいモデルによって必要な GPU やメモリーサイズが異なります。
本格的な開発にあたっては性能の高い GPU を搭載したコンピューターが欠かせません。
ディープラーニングを自社にいかそうと考えられている方は、ぜひ高性能GPUを搭載したサーバーやワークステーションで実証してみてください。

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