企業向け無線LAN その設置・導入の流れとは

作成日:2021/01/25

お役立ちコラム

企業向け無線LAN その設置・導入の流れとは

前回までのコラムで、ご家庭の無線LANルーターでできるセキュリティー対策や、企業向け無線LANに有効なセキュリティー対策をご紹介しました。

今回は、実際に企業向け無線LANを導入する際の流れと注意点をまとめてみましたので、新規に無線LANの導入を検討されている方はもちろん、今お使いの無線LANインフラがリプレースを控えている方にも参考になれば幸いです。

企業向け無線LANの設置・導入のフロー

社員の皆さんが社内業務で無線LANを利用される際、アクセスポイントからの電波に安全に接続できることはもちろん、安定したネットワーク接続も利用できることが必要となります。
また、不正アクセスなどによる情報漏えいにも対策も設ける必要があります。

そのため、企業向けの無線LAN環境の導入には事前の入念な計画から、実際に導入後の事後調査も重要になります。

その辺りを踏まえ、導入時のフローをまとめたのが以下の図です。
まずは簡単にこの流れについてご説明します。

1. 要件確認 & 事前調査

まずは無線LANインフラの「使用場所」、「利用ユーザー数」、「アクセスポイントの設置場所」を確認します。

レイアウト図をもとに電波がカバーする範囲を整理し、無線LANを利用するユーザー数、端末数を確認。
そして、レイアウト図をもとにアクセスポイントの設置候補を検討した上で、実際に現地での設置場所を確認する必要があります。

アクセスポイントは、その電波が、水平方向と比べ上下方向により展開しやすいことから、天井など高い位置に設置することをおすすめします。

さらに、外付けアンテナを使用することでカバーできる範囲も広くなるので検討材料にどうぞ。

オーバヘッドカバレッジ

天井などに設置し電波は下方向をカバー

サイド・カバレッジ

壁などに取り付けを行い水平方向をカバー
壁に取り付けの場合は、外付けアンテナが推奨

電波は主に上下方向に飛び、水平方向にはあまり届かないため柱・壁面マウントの場合外付けアンテナを推奨

アクセスポイントの設置箇所の検討時に、あわせて給電方法も確認ください。

天井など床から離れた場所ではOAタップが常備されていない場合も多々あります。
その際はLANケーブル経由で給電が可能なPoEの活用をおすすめします。
PoEでの給電時はPoE規格に準拠したネットワークスイッチをご用意ください。

続いて、無線LANを活用する「端末の情報」、「無線LANの通信速度、規格」、そして「セキュリティー面を考慮した認証レベル」の確認、検討を行います。

PCやタブレット端末、最近ではスマートフォンなど、各端末のOperations System(OS)バージョンや対応する通信規格は確認しておく必要があります。

無線LANインフラを導入後に接続できない端末があると業務への影響も与えかねないためご注意ください。

最近ではWi-Fi 6も広まりをみせています。
Wi-Fi 6は1Gbps以上の帯域を使用する機種もあり、2.5Gbpsと5Gbpsに対応するポートを保有するアクセスポイントもご検討に加えてみてはいかがでしょうか?

以下は、一例として、HPE Aruba製の2.5Gbps、5Gbpsの対応ポートを保有したアクセスポイントです。

セキュリティー面を考慮した認証レベルでは、前回のコラムでも記載しましたが802.1x認証を使用される場合は、認証サーバーの準備も必要となります。

また、社外の方、例えばお客さま用にゲストWi-Fiを準備される際にも認証環境は必要となるためご注意ください。

出典:日本ヒューレット・パッカード株式会社 HPE Aruba ネットワーク製品カタログ

クラウド上の管理ツールの利用イメージ

要件確認では「運用監視の方針」も検討ください。
アクセスポイントのハードウエア障害時のエラー通知、特にメールはSNMP通知をどのように行うのかの検討。
また、どのようなパフォーマンス監視を行うのかなど、運用監視に関わる方針も事前に検討ください。

多くの要件を確認されたら、続いて実際に「事前調査」を行います。
レイアウト図と設置予定箇所をもとに電波調査を行うことで、近接するオフィスや上下階のオフィス、その電波帯域との重複も確認することができます。

また、想定していた電波量、通信速度との差異を把握することは、導入後のユーザーからの問い合わせ件数削減にも貢献できる情報ですので、事前調査をおすすめします。

2. 設計 & 導入 & 事後調査

調査内容で検討したアクセスポイントの設置場所、接続台数をもとに、具体的に「どのアクセスポイントを」、「何台」設置するかを設計します。

期待する規格で運用した場合、接続するPCのスペック、台数をもとに、より詳細に必要なスペックを導きだし、それを満たすアクセスポイントを選定します。

選定したアクセスポイントを調達後、実際の導入作業へうつります。

「認証方式に基づくパラメーターの設定」、「ハードウエアの設定」、そして「設置」を行います。
そして、利用されるユーザーに向けて簡単な操作手順書や、運用管理者向けの設定書、利用手順書を作成します。

実運用が開始されてからは、実際に電波状況の確認をおすすめします。
設計時に想定していた状況と、実際にPCが接続している状況で違いがないのでしょうか。
それは今後の障壁にならないかを確認の上、必要であれば予防を込めて設定変更などの作業を行います。

参考に、この作業で利用できるツール画面を共有します。
HPE ArubaのAirWave というツールで、レイアウト図に基づき設置しているアクセスポイントの場所と、電波の帯域、強度を一元化するツールです。

  • 想定していた箇所へ電波が届いていない
  • 予想以上に電波利用率が高い区画がある

などの情報を把握することができます。

出典:日本ヒューレット・パッカード株式会社 HPE Aruba ネットワーク製品カタログ

3. 運用

最後に、運用です。

無線LANインフラもネットワークインフラになるため、「通信速度が遅い」、「つながらない」などで利用ユーザーから問い合わせが入り、その対応を行います。

また、接続PC台数の変化によりアクセスポイントの設定変更も必要になる場合があります。

そして、重度な障害、例えばハードウエア障害の場合はメーカーの保守窓口へ連絡し、障害の発生状況、インフラ環境を伝え、対応を依頼します。

このように、導入した無線LANインフラをユーザーが不便なく利用しつづけるようインフラを保つ作業が運用では必要になります。

まとめ 

無線LANの導入については、事前に現在のインフラと導入後の希望を確認し、それに基づき導入フローを設計、そして導入後の運用フローも検討が必要です。

特に、設計、構築、導入はある程度、短期間で行えますが、導入後の運用フローはネットワーク管理者の工数負荷になる場合もあります。

例えば、先にお伝えした「通信速度が遅い」、「つながらない」などの問い合わせ、その問い合わせへの対応として、軽微な問い合わせであれば電話やメールなどでユーザーのPC操作による解決となります。

しかし、一次対応では解決の判断が難しい場合は、復旧作業をメーカー保守窓口へ依頼する必要があります。
もちろん、過度な障害時の場合はアクセスポイントの交換作業も発生します。

とはいえ、毎日アクセスポイントの稼働状況や、ログ情報から予防検知などは多くの工数も必要になります。
アクセスポイントもハードウエアなので定期的なファームウエアのアップデートも必要になります。
多くのアクセスポイントを設置された場合は、これらの作業に多くの時間と工数を割くことも念頭に置かれた方がよいのではないでしょうか?

次回は、話題の Windows で構築可能なHCI(ハイパーコンバージド インフラ)の Azure Stack HCI についてのコラムを予定しています。

管理者の運用工数を削減する当社サービスのご紹介

無線LANマネージドサービス

当社では、無線LAN環境導入後の利用方法の問い合わせ、故障機器の交換手配、アクセスポイントの障害監視などを行う運用・保守サービスを提供しています。
クラウド上の管理サービス Aruba Central を利用して、アクセスポイントの運用管理をお客さまに代わり対応するサービスです。
より詳細なサービス内容は下記リンクからご覧ください。

HPE Aruba 製品のご紹介

また、今回の記事で一部ご紹介した HPE Aruba の無線LAN製品は下記リンクよりご覧ください。

参考コラム

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