PCの安定調達・納期短縮のポイント

作成日:2021/06/10
更新日:2021/08/04

お役立ちコラム

PCの安定調達・納期短縮のポイント

世界的に発生している半導体不足により、さまざまな産業に深刻な影響が出ています。
ハイテク産業と言われるような生活家電、PC、スマートフォン、自動車業界までその影響範囲は大きく広がっています。
本コラムでは、特にビジネスアイテムの必需品であるPCにおいての納期トラブルを未然に防ぐための対策ポイントについてご紹介します。

ビジネスの必需品であるPCが手に入らない

『半導体不足によるPCの納期遅延は、当面の間解消のめどが立っていません。』と、いくつかのPCメーカーの担当者は言います。
当面とは『1、2カ月という単位ではなく、2021年は終始納期に影響が出る可能性がある』という厳しそうな話もしています。(筆者の感覚値が含まれていますので、お約束するものではありません。)
PCメーカーは、マザーボード、CPU、メモリ、HDD(SSD)、液晶などさまざまパーツを各メーカーから調達し、最終的に組み上げた状態で出荷を行っています。
もちろんあらゆるリスクを想定し1社だけでなく、複数のパーツメーカーを仕入れ先として確保しながら安定供給に努めていますが、今回は2020年の新型コロナウイルスによる需要の影響が大きく、世界規模での品不足によりリスク回避ができず、国内外の多くのPCメーカーにおいて納期遅延が発生しています。
外資系としてPCを販売している DELL、HP、Lenovo などのメーカーは、グローバルに多様な調達ルートを持ち、大量調達によりリーズナブルな価格設定を実現しています。
近年では、品質面でも国内メーカーにそん色ない提供を続けている彼らでも、納期面では大きな影響が出ていると言います。

個人での購入であれば、量販店の在庫から選択し購入することで大きな影響は受けにくいかもしれませんが、法人向けのPC調達においては発注ロットが異なります。
中堅企業であれば一度の発注で100台、200台、大企業であれば1000台、2000台と大規模に手配をしている中で、今回の供給不足の影響が大きく出ている企業は多いのではないでしょうか。
PC調達の専門であるレンタル会社の視点で、ユーザー企業のPC調達の納期問題を解消するためのいくつかのポイントをお伝えします。

1. 計画的な購入を行う

当たり前と思われるかもしれませんが、まずは年間での調達台数、機種を早めに調査し準備することが最重要になります。
これからは、100台欲しいと言っても納期は2~3カ月待ちという状況を想定しておく必要があるためです。
これは、お客さまがいつレンタルを終了し入れ替えを行っていくかの需要を予測し、品ぞろえや発注台数の見込みを立てて発注するという、当社も含めたレンタル会社と同様のアプローチになります。
例えば、ノートPCを使っているユーザーが300人、デスクトップユーザーが200人いる場合、本年度トータルで何台入れ替え対象となるかをあらかじめ調査し、調達期間、初期設定作業など必要台数や導入スケジュールを計画するということです。
また、それらの情報はなるべく早めにお付き合いのある販売店やメーカーへ共有し、納期状況を確認することをお勧めします。
ノートPCは需要増により納期がかかるのに対し、デスクトップは納期が早いなどの情報も入手しながら、どこから優先的に準備を進めていくべきかを検討します。
デスクトップは重量があるのでテレワークに適さない面もありますが、最近ではウルトラスモール筐体(きょうたい)、いわゆる“弁当箱サイズ“が人気です。
デスクトップでありながら自宅にモニターがあれば簡単に設置でき、比較的持ち運びも楽だからです。
デスクトップとモバイルノートでは価格帯も異なりますので、ノートへシフトしていくにしても大きなコストは掛けられないという場合は、ある程度リーズナブルなモバイルノートを採用する必要があります。
それらの選択肢も視野に入れることもできますので、早めに調達台数を調査し情報収集しながら遅くとも半年、1年先の導入計画の準備を今から実施しておくことをお勧めします。

2. メーカーの生産体制や納期リスクを把握しておく

PCメーカーにおいては、各生産拠点や供給ボリュームもさまざまな特徴があります。
海外から全てのパーツを輸入し、国内で組み上げているメーカーもあれば、全て海外で調達から組み上げを行い、本体を輸入しているメーカーもあります。
生産体制として毎月の生産キャパシティーが決まっている場合、発注手配順に納期が設定されることが基本です。
しかしビジネス規模が比較的限定的な国内メーカーにおいては、民間企業以外でも官公庁、自治体、国家プロジェクト絡みでの大きな生産が発生すると、民間企業の供給に影響を与えることもあります。
国内を中心にビジネスをしているメーカーの場合、納期遅延は、世界的な部材不足以外にもいくつかの要因が重なりやすいという面があります。
グローバルにビジネスをしている外資系メーカーの方が比較的納期は安定している印象はありますが、世界各地で発生する災害による製造拠点の被害リスクなども発生するため、一概にどちらが優位ということは断言できません。
従って、懇意にしているメーカーの納期状況はマメにチェックしておくと良いでしょう。
グローバルな遅延以外の細かい情報はWebサイトにはなかなか掲載されないこともありますので、販売店やメーカーの営業から情報収集していくことが基本になります。

3. 市場に出回っているモデルを採用する

次に機種選びも重要です。
法人向けPCには、BTO と CTO モデルと言われる受注方式があります。
BTO モデルとは Build To Order の略で、事前に決まった選択肢のパーツを在庫しつつ受注が入ったら組み上げるという比較的早い納期で提供する方式です。
逆に CTO は Custom To Order の略で、顧客のカスタマイズに対応する方式です。
細かいパーツまで選択できる代わりに納期が BTO よりも遅い傾向があります。
ただし、BTO や CTO はあくまで概念的なものでありメーカーによって使われ方はマチマチです。
今は法人PCでは、BTO やそれに近い決まった構成の中から選択していく買い方が多いのではないかと思います。
ここで重要なことは、早く納期が付きやすいのはどういうモデルや買い方か、という点です。
呼び方はさておき、完全なカスタマイズ製品を購入することはなるべく避けた方が良いでしょう。
特に、極端に仕様が高かったり、逆に低かったりするパーツは部材の数も薄い傾向にあり、比較的スタンダードな仕様が売れ筋であることから、パーツや部材が安定供給されているスタンダードな構成を選択することをお勧めします。
発注する側は、コストパフォーマンスを追求しようとさまざまな構成パターンで比較していきますが、その際コストだけでなく選択したパターンが安定部材であるかという情報も確認されると良いと思います。
類似メーカーの同等製品に採用されているパーツか否か、これらも参考になるでしょう。
新製品において、初回は手配できても、同じ構成で追加オーダーしたい時にそのパーツだけが欠品していて本体が購入できず、結果的にユーザーへのPC提供時期に影響を与えてしまうこともあり得ます。
それがニッチな部材の場合、欠品なのか、それとも注文が付きにくいから早期に打ち切られたのか、ユーザー企業が知りえないところで発生しているかもしれません。

4. 在庫を持っている販売店とのパイプを強化する

最後は、在庫をストックしている販売店を探すことです。
先ほどからお伝えした BTO モデルだったとしても、まとまった台数で手配した場合は通常納期でも2、3週間かかるメーカーが一般的です。(最近の半導体不足の状況下では、2、3カ月まで伸びています)
それを回避するために、大手のディストリビューター(ダイワボウ情報システム株式会社、SB C&S株式会社、シネックスジャパン株式会社など)が大量にPCを在庫しています。

ディストリビューターは、基本的には直接お客さまへの販売は行わず、販売店に対して卸し、販売店からユーザー企業にPCが流通します。
販売店自身が在庫を持つケースもありますが、ディストリビューターとはビジネスモデルが異なるため、倉庫機能も含め大量在庫は得意ではありません。
そのためメーカーから直接仕入れたり、ディストリビューターの在庫を仕入れたり、お客さまの導入時期や希望機種によってさまざまな方法を使い分けていますので、より密に連携し入手経路の早い選択肢を提示してもらえるよう相談してみましょう。
場合によっては販売店に在庫をしてもらう、ということもあり得るかもしれませんが、販売店も倉庫業が専門ではないため、そこは保管料などの費用が発生することもあり得ます。
もちろん長くはストックできませんので、倉庫期間や保管料などは要相談事項になるでしょう。

また、納期を早める、安定化させるという点ではPC専門のレンタル会社の在庫を活用することも選択肢の1つです。
例えば当社の場合、お客さまの需要を見越したうえで毎月大量に在庫品を購入しており、多くはメーカーのBTOモデルを採用しています。
厳密には BTO や CTO という買い方よりも、お客さまの需要が高いスタンダードモデルを中心に、各メーカー、各モデルの調達納期を考慮した安定的な供給ができる体制を構築しています。
レンタルは“ECO(エコ)”を象徴する循環ビジネスでもあるため、市場で調達が難しくなっている状況でも、レンタル品に戻りがあればクリーニングして新品に近い状態で倉庫に在庫され出荷スタンバイをしています。
また数カ月先までの新規調達も済ませているため、お客さまのニーズに合わせた納期の前倒し調整なども行いながら、常に一定の在庫を準備しています。
PCレンタルを採用される多くの企業は、納期の安定化を求めてレンタルを検討されることが非常に多く、実際に購入よりも短納期であることにご満足いただいています。
もちろん繁忙期や要望台数により納期に影響が出てしまうケースはありますが、基本的な納期においては他の調達手段よりも短納期化を実現することはできるでしょう。
レンタルや購入・リースの違いについてご興味があればこちらの比較情報もお勧めですのでご覧ください。

今回はPCの調達という点にスポットを当てました。
さまざまな角度からの情報収集や、モノがどこにあるかというポイントを常に念頭に置きつつ、半導体不足という昨今の状況下で自社にとって一番入手しやすいルートを改めて見直す機会にしていただければ幸いです。

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監修

横河レンタ・リース株式会社 マーケティング本部 CDセンター

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