SDS (Software Defined Storage) とは

作成日:2021/09/06

お役立ちコラム

SDS (Software Defined Storage) とは

今回のコラムでは、最近、普及し始めている SDS (Software Defined Storage) を取り上げたいと思います。
従来型のストレージと比べたメリットとデメリットなどをまとめてみたのでご参考にどうぞ。

まず初めに、従来型ストレージとは

企業向けのエンタープライズストレージですが、従来型ストレージは、ストレージ専用の筐体(きょうたい)で、専用ハードウエア上に専用ソフトウエアがインストールされている形でストレージ機能を提供します。

概要

専用筐体 (きょうたい) で提供しており、同一メーカーのソフトウエアとハードウエアであるため親和性が高く、ハードウエアのパフォーマンスを最大限に引き出した構成です。

メリット

専用ハードウエアであるため、性能や信頼性などが高いです。

デメリット

増設の際は、エンクロージャの空きスロットにディスクを増設できるが、空きスロットがない場合は追加増設エンクロージャを追加して拡張になります。
そのため、事前にラックなどに将来を見越して空きスペースを確保しておくなど計画を立てる必要があります。
また、増設の場合に物品の手配や増設に時間がかかる場合があります。

SDS (Software Defined Storage) とは  

SDS (Software Defined Storage)ですが、従来型ストレージのハードウエア機能とソフトウエア機能を分離することで、ハードウエアに依存せず、汎用(はんよう)サーバーでもソフトウエアの機能によりストレージサービスを提供可能とするものです。

概要

ストレージ専用機と異なり、ソフトウエアとハードウエアが分離しているものです。
ソフトウエアで複数のサーバーのディスクを束ねて大容量ストレージを作成し、提供するものです。
ソフトとハードが分かれており、ハードは汎用 (はんよう) サーバーを利用できます。

メリット

汎用(はんよう)サーバーを使用するため、コストパフォーマンスが高い。ハードウエアの選択の際の柔軟性が高い。増設の際は、サーバーを追加していくことで容量の拡張をすることができます。

デメリット

専用ハードウエアでないため、自由に構成ができる一方、IOPSなどのパフォーマンスについては導入前に担保しづらい点と、信頼性などがストレージ専用機に比べて劣る面があります。
また、ハードウエアとソフトウエアのベンダーが異なるため、サポート窓口が分かれる場合もあります。
(メーカーによっては、SDS ソフトウエアとハードウエアの互換性情報や機種選定を早く行えるようにするため、あらかじめパッケージ構成が用意されており、ハードウエア、ソフトウエアで同一サポート窓口で対応可能なSDSソリューションを展開しているものもあります)

SDS (Software Defined Storage) でのスケーラビリティについて  

SDS ですが、構成の自由度と増強のしやすさなどがメリットです。

専用ストレージの場合

容量を増やす際は、ディスクを増設する形になります。
その際は、HDDスロットに空きがあることが必要で、空きスロットがない場合はエンクロージャの増設などが必要です。

処理性能を増やしたい場合ですが、後からコントローラを増設できないため、処理性能を後から増やせません。
専用ストレージはあらかじめ将来の処理性能を考慮しての導入が必要になります。
(一部の機種はコントローラ増設が可能ですが、できない機種が多いです。)

SDSの場合

容量を増やす際はサーバーノードの追加です。
ノードを増やすことで、ディスク容量だけではなく追加した分のサーバーのCPU、メモリー性能も増えるため処理性能が向上します。
そのため、処理能力不足は SDS のほうが柔軟に対応できます。

SDSの種類について 

SDS (Software Defined Storage) は単一の利用用途をあらわす用語ではなく、HCI 用途やストレージ仮想化用途、スケールアウトのファイルサーバー用途やオブジェクトストレージ用途なども含めたソフトウエア定義を示す用語です。
今まで SDS としてよく聞こえてきたのは、HCI などの仮想環境用途やクラウド基盤などのブロックストレージ用途が中心でした。
各種HCI製品で提供しているストレージの仮想化技術や VMware 製品の vSAN、Azure Stack HCI だと Storage Spaces Direct (S2D) などです。
ネットワーク仮想化技術のSDNと一緒にストレージ仮想化技術の SDS といったところで、知った方も多いのではないかと思います。

こちらの用途は、仮想化構成の場合は、複数台構成になると共有化ストレージが必要で、共有ストレージとして SDS で利用することで省スペース化と集約化を図るというものでした。
仮想化で使用するため、ホストサーバーは用意されている環境であることから、別途ストレージ用のサーバーを用意しなくても SDS 環境を作成することができるという利点があります。
そのため、こちらでの活用が多いです。

最近では HCI 用途ではないファイル、オブジェクト利用の SDS の普及が進んできています。
背景として、非構造化データの大容量化に伴い大容量でスケールアウト型のコストパフォーマンスの高いストレージが求められることが大きいと思います。
また、バックアップやアーカイブ用途として今までにない大容量のストレージというものも求められています。
ファイルサーバー用途であっても、大容量から進み、バックアップやDR、セキュリティー強化やランサムウエア対策など SDS に求められる機能がどんどん増えてきており、必要に応じたソリューションを選択する時代になっていると思われます。

まとめ

今回は、SDS (Software Defined Storage) について取り上げました。
SDS は用途に特化した製品で、さまざまな種類が存在します。専用ストレージと使い分けをした形で、今後、大容量ストレージで主流になっていくと思います。
それぞれのメリットと特徴を理解し、用途に応じて最適なストレージを選択するための参考になれば幸いです。

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