Microsoft共催セミナーレポート

今回は2019年12月10日(火)に日本マイクロソフト株式会社 品川本社にて開催されたセミナー「< Windows 10 導入後の課題⁉> 2020年までにやるべき2つの課題、事例を含め解決策を大公開!!」の概要をお伝えします。

セミナーは、次の3つのセッションで行われました。

  • セッション1:1300台の Windows 10 移行事例から見えた最適な運用方法
  • セッション2:移行したら終わりじゃない管理者がハマるFUの落とし穴と上手な付き合い方
  • セッション3:いつでもどこでも働ける環境を実現するデータレスPCとお客さま導入事例のご紹介

横河レンタ・リース社内でのWindows 10 移行・運用事例

セッション1では、当社ソフトウエア&サービス営業本部の長谷川が、当社における Windows 10 の移行と運用事例を紹介した「1300台の Windows 10 移行事例から見えた最適な運用方法」というテーマで登壇しました。

横河レンタ・リースでは1,340台のPCの運用を行っています。

当社の情報システム部は
 ・Windows 10 は ”PC OS” ではなく、”モバイルOS” として捉える
 ・お客さまよりも”先行して取り組む”&”自社ソリューションを試す”
というPC運用の基本的スタンスを持っています。

前者については「頻繁なアップデートがある」という前提に基づいたOSのアップデート運用を行うということを指します。
後者については、Windows 10 と自社開発ソリューションである Flex Work Place を自社内で積極的に導入し活用することで、お客さまの事例となることを目指しています。

これをうけて、当社では Windows 10 を以下のように運用しています。

  1. ユーザーデータは、ローカルに保存させない データレスPC™
    -最大のポイントは、デバイスから全てを分離する

  2. Windows 10 アップデート運用
    —動作試験の工数を省くパイロット運用
    —アプリケーションのインストールは Unifier Cas tと AppSelf

1.は Flex Work Place Passage Drive(以下、Passage Drive)を導入し、OneDrive for Business へユーザーデータをすべてリダイレクトしています。
ローカルのディスクにはデータを全く置かない データレスPC™ を実現しています。
これにより、PC持ち出し時の情報漏えいリスクを低減させるとともに、PCの故障やリプレース時のデータ移行の負担を低減しています。

2.は Windows 10 で頻繁に実施される大型アップデート(Feature Update)への対応です。
当社ではMicrosoftが Windows 10 の運用で推奨する検証運用→パイロット運用→本格展開というリリースプロセスでアップデートに対応することで、動作試験の工数を省いています。
また、Windows Updateのアップデータ配信、アプリケーションの配信は Flex Work Place Unifier Cast(以下:Unifier Cast)と Flex Work Place AppSelf を導入して、管理工数を低減しながら確実な運用ができる体制を整えています。

実際、当社では1300台のPCの運用管理を1名の担当者で実現できています。
これは適切な運用と、運用ツールの活用による結果だと言えるでしょう。

Windows 10 の大型アップデート(Feature Update)の課題に備える

セッション2では、当社ソフトウエア&サービス営業本部の鈴木が、Windows 10で大きな課題となる大型アップデートの課題とそのソリューションを紹介する「移行したら終わりじゃない管理者がハマるFUの落とし穴と上手な付き合い方」というテーマで登壇しました。

Windows 10 では半年ごとに機能強化を目的としたFeature Update(以下、FU)と呼ばれる大型アップデートが実施されます。
また、セキュリティーパッチなどが配信される Quality Update(以下、QU)も月次で行われていますが、これが次の理由から企業の生産性を著しく落としかねないものとなっています。

1.短いアップデートサイクル( Windows 7 と比較して)
 -6カ月ごとのアップデートサイクル
 -サポート期間は18カ月<br />

2.ネットワーク帯域問題(数GBにもおよぶ更新ファイル)
 -ネットワークの帯域を窮迫
 -更新ファイルのダウンロード時間が長い
 -アップデートの実行コントロールが難しい

1.に関しては、アップデートの適用方法と管理方法の検討が課題となってきます。
特にFUは機能強化とともにOSの仕様変更が行われることもあり、互換性調査が必要となってきます。
しかし半年ごとのアップデートサイクルに追従していくには、じっくり検証している時間はありません。
そこでセッション1でも紹介した、Microsoft の推奨するパイロット運用という考え方が重要になってきます。
つまり、基礎的な検証を情報システム部門で行い、おおむね問題がないという判断ができたら、ITリテラシーが高いユーザーに先行してリリースする「パイロット運用」を行います。
この先行ユーザーには、技術的課題のフィードバックに協力してもらいます。
また、先行ユーザーは「インフルエンサー」としても活用します。
つまり、全社展開した時に各部署にいる先行ユーザーが質問の受け口となることで、情報システム部門への問い合わせを軽減することが期待されます。
この、全ユーザーが協力しながら運用していく体制の構築が Windows 10 運用のカギと言えるでしょう。

2.の問題はかなり深刻です。社内の Windows 10 PCが一斉に Windows Update をかけてしまったら、業務に支障をきたすほど、ネットワーク負荷が重くなります。
しかし、Microsoft の標準的なアップデート管理システムである WSUS( Windows Server Update Services )は機能面で限界があると言わざるを得ません。
負荷分散を行うはずの BranchCache はうまく機能せず、配信タイミングをコントロールするためのPCのグルーピングが非常に面倒、さらに FU、QU が各PCにうまく適用されているか把握できません。
そこで当社では WSUS によるアップデート管理をあきらめ、自社ソリューションである Unifier Cast を利用しています。

Unifier Cast は WSUS に不足する3つの機能を有しています。
一つ目が、分散配布。アップデータをデータブロックに分割しデータを小さくしてから配布することが可能です。
これにより、ネットワークの帯域を占有することなく、配布が可能です。
また、同じグループ内のPC間でデータブロックの伝搬、受け渡しをすることができますので、ネットワークの負荷を軽減できます。
二つ目が、状況の可視化。各PCのアップデート状況を可視化できるダッシュボード機能を搭載しています。
どのPCがどのバージョンなのか、アップデート待ちなのかエラーを起こしているのかを簡単に確認できるようになっています。
三つ目がトラブルシューティング機能。どういった原因でエラーが起こったのか、アップデート失敗時の情報を取得し、分析することが可能です。
これらの機能により、配信にともなうネットワークの帯域問題と、アップデートの管理問題を解決し、情報システム部門の管理・運用負荷を大幅に低減できます。

働き方改革を促進するデータレスPC™

セッション3では、当社ソフトウエア&サービス営業本部の細渕が、PCにデータを保存しない データレスPC™ を実現するソリューション Flex Work Place Passage / Passage Drive を紹介する「いつでもどこでも働ける環境を実現するデータレスPCとお客さま導入事例のご紹介」というテーマで登壇しました。

データレスPC™ は、PCのローカルHDD/SSDにファイルを置かず、すべてのユーザーデータをサーバー、もしくはクラウドストレージの OneDrive for Business に保存するソリューションです。
データをローカルに置かないため、PC持ち出し時の情報漏えい対策として有効でありながら、同様のソリューションである VDI より安価なコストで運用が可能で、かつPCのパフォーマンスを最大限生かせるため、生産性を高めます。
さらに、故障時やPCリプレース時のデータ移行作業が不要になり、ディスクの故障や紛失によるデータ損失を防ぐことも可能になります。

今回は、データレスPCを実現するソリューションとして、Microsoft のクラウドストレージ OneDrive for Business(以下、OneDrive)を活用する、Flex Work Place Passage Drive(以下、Passage Drive)を紹介します。

Passage Drive は特に Office 365 環境において力を発揮します。
Office 365 では、OneDriveを介したデータのやり取りで、PCだけでなくスマートデバイスでの活用も可能となっています。
ただ、この時問題になるのが、クラウドストレージ上のデータとPCローカルのデータに不整合が起こる可能性があるということです。
OneDrive 単体の場合、通常ファイルの実体はローカルにあり、それを OneDrive にコピーする形となっているため、常に最新のファイルが OneDrive 上にあることが保証されていません。
したがって、PCで保存した最新のデータを他のデバイスで利用できない可能性があります。
しかし、Passage Drive では常に最新のファイルを OneDrive に保存するため、このようなデータの不整合は起こらなくなります。

OneDriveへのアクセスは常に暗号化されており、VPNなどの特別な接続環境を用意する必要がありません。
つまり、ネットワークがつながる環境であればいつでも、どこでも使うことができます。

また、セッション1、2でも触れてきましたが、Windows 10 のアップデート対策としても有効です。
近頃ではSSDを搭載したノートPCを使われるお客さまが増えてきていますが、SSDはまだ高価なため、HDDと比較するとかなり容量が少ないというのが現状です。
ところが Windows 10 のFUなどはアップデータだけで数GB、さらにアップデートには8~30GBの空き容量が必要とされています。
ただでさえ少ないSSDの容量にユーザーデータが保存されることによって、さらに空き容量が少なくなり、十分な空き容量が確保できずに悩まれている管理者も多いと思いますが、データレスPC化によって、ローカルのSSDにゆとりができ、容量不足の問題は解決できます。
また、もしアップデートに失敗してPCを復旧させなくてはならなくても、ユーザーデータはすべて OneDrive にありますので、ユーザーには代替機を渡すだけで、取りあえずの復旧が可能であるというメリットもあります。

企業で導入が進む Office 365 と組み合わせることによって、いつでもどこでも安全にPCが使える環境を実現する Passage Drive は、ユーザー、そして管理・運用を行う情報システム部門の働き方改革を推進するソリューションといえるでしょう。

本セミナーで紹介した各種サービス

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