Meta社 ガレル・マラカド氏インタビュー 後編
~パートナーとともに Meta Quest でエコシステムを構築 ~

MR (複合現実)・VR (仮想現実)

公開:
2024/10/03
知って得する!お役立ちコラム

Meta Quest 3 は高解像度のカメラとディスプレーを内蔵することにより、VR (仮想現実) のみならずMR (複合現実) のヘッドセットとして使うことができるビジネスシーンにおけるVR/MR活用の起爆剤となりうるデバイスです。

ガレル・マラカド (Garrell Malacad) 氏
Meta Japan Reality Labs Partnership
Head of Japan B2B Chanel

Meta 社と横河レンタ・リースとのパートナーシップ開始にあたり、Meta Japan で日本国内のBtoBパートナーシップ推進を統括するガレル・マラカド氏に、Meta 社のVR/MR分野への取り組みや、BtoB分野における戦略などを伺いました。
今回はその様子の後編を届けします。

前編では Meta 社が Meta Quest で実現しようとしている「世界」を中心にお話を伺いました。

後編では Meta Quest のBtoBビジネスへの取り組みと横河レンタ・リースとのパートナーシップについて伺っていきます。
(以下、敬称略)

VR/MRの利点を生かせるビジネスシーンはたくさんある

VRデバイスというとコンシューマーというイメージがありますが、BtoBの分野ではどのような展開を考えられていますか

ガレル:
以前からもビジネスシーンにおけるユースケースは存在しています。
3D CADのウォークスルーなどはその代表的なものでしょう。

一方で、実際のさまざまな業務で3Dの効果が高いとして挙げられるものに、危険が伴うトレーニングがあります。
具体的には災害時の訓練などです。
地震や火災などの対応は訓練においても危険が伴いますが、VRやMRで疑似的な訓練を行うことで、安全な環境でスキルを向上させることが期待できます。

同様に、ごくまれにしか起きない事象のトレーニングにも有効でしょう。
工場やプラントなどの機器の保守点検やトラブル発生時の対応などですね。

また、手の動きが必要なスキル、いわゆるハードスキルのトレーニングにも有効です。
技能を必要とする作業の伝承など、これまでの「見て学ぶ」ということが、リモートでもできるようになりますし、視点を変えて反対側から見る、などということもできるのがVRの良さです。

さらに、拡大縮小や視点を自由に変更できることから、化学反応を見るような業務や、カテゴリーは違いますがデザイン領域でも活躍できるでしょう。

一方で、BtoBでの活用においてはデバイスの信頼性が気がかりとなります。Meta Quest の信頼性はいかがでしょうか

ガレル:
具体的に数値として出せるものはありませんが、Quest シリーズはすでに市場に対して出荷し、さまざまな用途で使われ、市場からのフィードバックを受けて改善を続けていますから、一定の信頼性は確保できていると考えています。
SNSなどでも「壊れやすい」「動かない」といった声を見ることはほとんどないので、正常な使用範囲においては、安定して問題なく使えると認識しています。

パートナーとともに Meta Quest のエコシステムを構築していく

ガレルさんは日本におけるBtoBパートナーシップを推進するお立場にいらっしゃいますが、具体的にはどのような施策を進めていくのでしょうか

ガレル:
Meta Quest のようなプラットホームを広く展開していくには、さまざまな企業とのパートナーシップが欠かせません。
Meta はSNSビジネスにおいてそれを経験していますし、もちろん Meta Quest でもパートナーシップを推進していきます。

ともすると、プラットホームとエンドユーザーに目が行きがちですが、Meta Quest のデバイス上で動くアプリケーションベンダー、いわゆるISV (独立系ソフトウエアベンダー) の重要性を無視するわけにはいきません。
Meta はこの三者を結びつけて、Meta Quest のエコシステムを構築していく役割も非常に重要視しています。

ISVにもいろいろあります。
強力なパートナーシップを発表している Microsoft を始め、Adobe や Autodesk、Zoom といったジェネラルなアプリケーション、サービスを提供する大企業もあれば、特定の1、2の分野で強みを発揮するスタートアップ企業も少なくありません。
これらの企業が Meta Quest のエコシステムの中で Meta Quest というプラットホームを通じてともに成功できる環境作りを推進しているのです。

例えば、ISVに対してはSDK (ソフトウエア開発キット) を無償で提供しています。
これはさまざまなISVが参入しやすい環境を作るためです。

また、ISVの声に耳を傾け、ISVが望む機能を次のハードウエア、ソフトウエアにフィードバックしていくことも継続的に行っています。
ソフトウエアのバージョンアップのほとんどが、エンドユーザーやISVからのフィードバックに基づくものであることが、それを証明していると思います。

プロダクトの成功は、エンドユーザーに使っていただくことが大切です。
ユーザーに使い続けていただくには、ユーザーやISVのフィードバックに耳を傾け、それをソフトウエアやハードウエアのアップデートに反映させていくことが重要です。
最重要と言っても過言ではないでしょう。
これは Meta Quest に限らず、Meta のサービス、プロダクト全般に言えることです。
そのためにはエコシステムを構築していくことが欠かせないと私たちは考えています。

2022年に協業を発表した Microsoft との関係についてお聞かせください

ガレル:
2022年の Meta Connect、これは Meta が毎年開催している開発者向けのイベントですが、ここで Meta のCEO、マーク・ザッカーバーグが Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏を迎えて、ビジネス・プロダクティビリティの分野で協業すると発表しています。

その具体的な成果として、2023年末には Microsoft の Office シリーズのアプリケーション、Word、Excel、PowerPoint の操作が Meta Quest で行えるようになりました。
さらに、Teams で3D空間に没入してミーティングを行える機能を実現する Microsoft Mesh が Meta Quest に対応し、Meta の目指す複合現実によるミーティングが Teams 環境で行えるようになりました。
これにより、一般のビジネスシーンにおいて、Meta Quest を活用する環境が整ってきたと言えます。

BtoB市場における横河レンタ・リースの実績と信頼感に期待

Meta のBtoBに対する今後の戦略についてお聞かせください

ガレル:
Meta のプラットホームビジネスにおいて、広告を中心として多くの企業と既に取引があります。
また、Meta はエコシステムの重要性も認識しています。

また、プラットホーム運営を通して、ソフトウエア開発の重要性もよくわかっています。
テクノロジーカンパニーであることをアピールしたいと考えています。

そして、企業名・ブランドを Meta に変えたことが何よりもこの (メタバース) 分野に注力するということの現れだと考えています。

BtoBということに関して言えば、決して私たちだけでビジネスを構築できるとは考えていません。
繰り返しになりますが、ISVなどのパートナーシップを非常に大切に考えています。
現在 Meta Quest のISVは数百社以上あり、これは日々増えています。
このようなビジネスに対するコミットメントと、協業で進めていくやり方が何よりもの証拠だと思います。

エコシステムが成り立つためには、エコシステムの中で一定の信頼が必要になります。
これから作るエコシステムですから、BtoBは本気であるとか、このテクノロジーは続けていきますという信頼がなければなりません。
不安があればこのプラットホームにヒト・カネ・モノにリソースを割くことはないでしょう。
このテクノロジーが成功するのはエコシステムが成立するかにかかっていますので、エコシステムをサポートしていくのは当然と考えています。

もう一つは、その中での Meta の役割、つまり、テクノロジーを進化させること、オープンであることが重要だと考えています。

横河レンタ・リースとのパートナーシップについて

ガレル:
BtoBのプレーヤーとしての Meta の認知度はまだまだ浸透していないと考えています。
一方で、横河レンタ・リースは長年の経験と (BtoB) 市場における信頼は非常に強力な資産であり、この度の Meta Quest 3 を大切なお客さまに紹介してもらえることは、非常に光栄なことですし、この市場への拡大に向けて、強力なパートナーであると考えています。

また、横河レンタ・リースはさまざまなテクノロジーを、トラディショナルな企業に提供しており、そのようなお客さまのDXに大いに貢献されていると考えていますので、その点でも期待しています。

2024年4月22日、Meta のCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は Meta Quest デバイスのOSを Meta Horizon OSとして、サードパーティのハードウエアベンダーにも開放することを発表しました。
同時にアプリ開発者に対しても、ソフトウエアをより配信しやすい環境を整えると述べています。

この発表は、インタビューでガレル氏が何度も繰り返して述べた、Meta のエコシステムに対するコミットメントを強く推進していくということを明確にしたことにほかなりません。
これにより、今後BtoBにおけるVR/MRの導入・活用はさらに加速していくことでしょう。

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