PCレンタルビジネスを築いた営業が中堅営業パーソンに贈るBtoB営業ワンランクアップ術 【第五回】

作成日:2020/09/28

お役立ちコラム

PCレンタルビジネスを築いた営業が中堅営業パーソンに贈る
BtoB営業ワンランクアップ術【第五回】

5.<クロージング&まとめ 編> 営業に大切なのは「考動力」

商談が進み、いよいよ商談をまとめるクロージングです。
その前に、クロージングに向けてヒントになるテクニックをいくつか披露しましょう。

カウンターアタック

カウンターアタック、つまり反撃のことですが、お客さまと戦うわけではありません。
何かといいますと、お客さまからの質問に対して、すぐに答えるのではなく、角度を変えた質問で返す、というテクニックです。

例えば「もし、PCが故障したら、横河さんはどんな対応するのでしょうか」という質問が来たとします。
これに対する模範解答は「すぐに代替機を手配し、お届けして、故障したPCを引き揚げます」でしょう。

しかし、カウンターアタックでは、あえてこんな質問をしてみます。
「今回の調達先選定に関して、障害対応は評価点が高い項目ですか」「今購入されているPCはメーカーと保守契約されているのですか」「過去にPCの故障で痛い目に遭ったことがありますか」などなど。

目的はお客さまの真意を探ることにあります。
質問をするということは、そこに意識が高まっていたり、困りごとや気にしていることがあったりするに違いありません。
つまり、第3回でお話した、深掘りのきっかけになるのです。

質問に対して、カウンターアタックをして、真の課題を掘り起こすことができれば、適切なソリューションを提案でき、成約への道が開けるはずです。

逆に、模範解答したがゆえに失注してしまった例を見たことがあります。
あるお客さまに故障時の対応を聞かれ、営業担当はその場で胸を張って「すぐに代替機を用意します!」と回答したら、「それでは困る」と言われてしまいました。
その会社では、以前ノートPCのキーボードが壊れたことがあったそうです。
つまり、それぐらいの故障で代替機を持ってこられても、データの移行などなどを考えたら大変面倒なことです。
それよりオンサイト修理対応してもらったほうがどれほど良いか、ということだったそうです。
営業担当はお客さまのニーズに合わない回答をしてしまい、それが評価されませんでした。

なりすまし

これもセンセーショナルなタイトルですが、その心は自分の考えをお客さまに「なりすまして」伝えるということです。
これは第3回でお話した、「お客さまの事例」の話に通じるものです。

「こうあるべき」というのを、自分発のメッセージにしてしまうと売り込みに取られてしまいますが、「あるお客さまでは、このようにしたら課題が解決できました」と、お客さまの事例に仕立ててしまうことで、伝えたいメッセージを自然に伝えられます。

てこ

「レバレッジ」、つまり「てこの原理」を使うということです。
若いときは経験値が少ないですので、なかなか自分の事例を語ったり、課題に対する適切なソリューションを提案したりするのが難しいです。

そこで、上司や先輩、他部署での事例を収集して、自分のものとして語れるようにするのです。
手ごわいお客さまに対しては、上司や先輩に商談に同行してもらい、クロージングをしてもらうのも良い手でしょう。
その時、上司や先輩がどのようにお客さまと会話して話をまとめるのか、しっかり見て学びましょう。
その経験は必ず次に生かせるはずです。

宿題

また出てきました「宿題」。
しかしこれは第3回の宿題とは異なります。
すなわちお客さまに宿題を出す、ということです。

過去にこんな経験がありました。
ある部下から、大阪の会社で大きな商談があって、それをぜひまとめたいということで出馬要請がありました。(まさに、「てこ」です)。
その会社は10年以上もメーカーから直接購入を続けており、今回のリプレースも、そちらのほうが優勢とのことでした。
そこで私は商談の場でいろいろ話を聞き、競合の見積もりは機器代、保守費用、ヘルプデスクの総額しか提示されていないことを聞き出しました。
私は、「ぜひそのメーカーから、項目ごとの詳細見積もりを取ってください。どこか安くできる要素があるはずですから」とお願いしました。
そして見積もりが出たら改めて訪問して提案したいので連絡をくださいと、まさにお客さまに「宿題」を出したのです。

その後、そのお客さまから連絡をいただきました。
ただしここからはオチなのですが、競合メーカーが詳細見積もりを拒絶したそうで、結局、競合に決まってしまいました。
しかし、商談の機会を増やすという意味では価値があったと考えています。
少なくともお客さまに今までの購入形態を再考する機会を与えられたわけですから。

サンドイッチ

また奇抜なキーワードが出てきましたが、これは商談の相手を上からも下からもはさむことを言っています。
PCレンタルの商談では、お客さま側の窓口は基本的に情報システム部門ですが、実際の導入にあたっては、財務や経理などの承認も必要です。

購入からレンタルへと調達方法を変えるわけですから、財務や経理部門は当然なぜ変えるのか、と聞いてくることでしょう。
そこで、事前にこれらの部署にアプローチをしてフォローすることで、レンタルへの理解を深め、話を通しやすくすることが可能です。
特に大規模な案件の場合、サンドイッチ作戦は非常に重要なアクションとなるでしょう。

クロージング

では、いよいよクロージングの話に入ります。
クロージングで大切なことは、次の3つです。

  • 見極め
  • 要件レベルの定義・確定
  • 主導権

見極めとは、その案件がビジネスとして価値あるものかを一歩引いて冷静に評価し判断することです。
第4回の値引きのところでもお話しましたが、その案件はもうかるのか、そうではないのか、会社のためになるのかというような観点で評価することです。

要件レベルの定義・確定は非常に重要な要素です。
契約が決まった後、導入作業の要件が決め切れていなかった場合、言った言わないの論争になり、トラブルになってしまいます。
サービルレベルの明確化や、サポート範囲の線引きなどをしっかり確定しておくことが大切です。

商談において主導権を握っておくことも重要です。
自分自身が主体者となり、お客さまを誘導していくぐらいの心意気でふるまうことが大切です。
主体者意識を持つことで、問題意識を持ち、常に学び、実践し、応用するというサイクルが回るようになれば、商談で主導権を持てるようになることは難しくありません。

まとめ -「信頼関係」を高め「考動力」を持つ

これまでも何回か触れてきましたが、営業はお客さまとの信頼関係がとても重要です。
さらに、社内の上司や同僚、他部署の人たちなど周りの人たちとの信頼関係も同様に重要です。
これまでお話してきたことを実践して、ぜひ社内外問わず信頼を高める行動をとってください。

最後に「考動力」について触れます。
あえて「考動力」と呼んでいますが、その心は、自分自身が最大の商品だと認識し、常に自己研さん、向上を心がけて既存客を効率的にフォローし、新規開拓の意識も持ち続けることがとても大切です。
さらに、アンテナの感度を常に高く持ち、お客さまの課題・ビジネス・サービスをより深く耕すことで、期待を超える対応・成果を出すことを目指します。
常に新たな考えを持ち、お客さまの課題を解決し、結果を出す。これが営業の目指す姿だと私は確信しています。

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