横河レンタ・リースと考えるソフトウエア資産管理

第2回 成熟度評価へのチャレンジ その1

2. 成熟度評価へのチャレンジ その1

成熟度評価がSAMの基本プロセスを押さえ、さらに推進するうえで有効且つ、重要であることは前回述べました。
第2回は成熟度評価の実際の活動についてご説明します。

今回ご紹介するプロセスは、管理基準の項目をどれだけ実現できているのか正確に、判断するためのプロセスに他なりません。
評価項目は多岐に渡っており、客観的に評価を判断するためには、SAM全般に関する経験が必要になります。
成熟度評価への理解を含めるために、成熟度モデルについて触れておきます。
詳細はSAMACのホームページにあるソフトウエア資産管理評価基準をご参照ください。

前回、ご案内したソフトウエア管理基準の管理項目に対して、ソフトウエア資産管理評価基準は管理のレベル分けを行い、評価を分かりやすく表記しています。
以下に標準的な評価レベルの目安を出しておきます。

ソフトウエア資産管理の標準的な評価レベル

レベル0:管理が存在しない段階

管理をまったく実施していない。

レベル1:初期/場当たり的な段階

組織的ではなく、担当者等の個人に依存している。

レベル2:反復可能な段階

ある程度、組織的な体制があり継続して管理をしている。

レベル3:定義されている段階

組織全体の方針・規程、管理体制等が適切に定められており、それらの内容に重大な欠陥はない。

レベル4:管理されている段階

定められた方針・規程、管理体制に従って管理が実施されていることをモニタリングしている。

レベル5:最適化されている段階

ソフトウエア資産管理を取りまく環境変化に対して最適な管理を実施するために随時ソフトウエア資産管理を見直している。


SAMACソフトウエア資産管理評価基準より引用


上記の評価基準では、管理がまったく出来ていない状況をレベル0と定義しています。
担当者が個人的に努力して、運用をしている状況をレベル1。
全社での運用はできていないが、部署として取り組んでいる場合にはレベル2になります。
レベル3になると実運用に耐えられる規定が出来ており、それを全社で展開し運用している状況を指します。
全社への業務規程の周知徹底は大変なことです。
メールで規程を一斉通知するだけでは、周知徹底との判定はできません。
全社での運用を定着させるには継続的に全社への働きかけが必要になります。

ソフトウエアメーカーのライセンス監査を受けて問題が多いと判断されると、レベル3を目指してSAMの整備を進めるように勧告を受けることがあります。
このレベル3の評価を得るには、大変な努力が必要になることが、評価基準を見て頂けると分かると思います。

成熟度評価は提出された社内ドキュメントの分析だけでなく現地調査も行います。
全社で承認されている規程、ソフトウエア資産管理基準の遵守の状況をヒアリングいたします。
例えばパッケージライセンスの管理などの場合は、メディアの管理やライセンス証書の管理に関する運用規程を知っているか、さらに確実に実施しているかを調査します。
この現地調査が成熟度レベルを判定する上で重要な判定基準になります。

前回も申しましたが、評価基準に対して客観的に評価することで、今後の改善活動や、自社で行っている資産管理のレベルが、低いか高いか判断ができます。

客観的な成熟度評価を進めるためには、評価者の能力も成熟度評価プロジェクトの重要な成功要因になります。
評価者はSAM全般に習熟していることが要求されます。
客観的な視点をもって評価を行わないと、今後の改善も誤った方針と内容での実施になりかねません。

次回以降のテーマについて

次回以降の内容については以下となります。

バックナンバー

寄稿者

横河レンタ・リース株式会社
マーケティング本部
CDセンター
中井 史郎
SAMAC公認SAMコンサルタント
E-mail:cdc_mk@yrl.co.jp

Copyright © Yokogawa Rental & Lease Corporation
各会社名、商品名は、各社の商標、または登録商標です。
横河レンタ・リース株式会社は、本資料の一部あるいは全部について、一般的な公開情報を除き、著作権をはじめとするあらゆる権利を留保いたします。

お気軽にお問い合わせください

ページの先頭に戻る