横河レンタ・リースと考えるソフトウエア資産管理

第3回 成熟度評価へのチャレンジ その2

3. 成熟度評価へのチャレンジ その2

今回は、以下に提示した成熟度評価のプロセスにそって評価プロジェクトのポイントをお伝えします。
コンサルタントによっては若干の違いがあるかもしれませんが、おおよそこの手順で成熟度評価を行います。

評価プロセス

(1)評価目的の設定

(2)評価企業/団体の規程の確認

(3)評価を実施する部署の選定

(4)現地調査準備

(5)現地調査

(6)報告書の作成

(7)報告会

(1)評価目的の設定

成熟度評価の目的を評価者と評価される組織で合意を取っておく必要があります。
目的を明確に設定することで評価プロジェクトの作業範囲を明確にして進めることができ、最終報告についてもここで決めた範囲に基づいて行います。
すべてのプロジェクトに共通していますが、目的を曖昧にしたまま進めると、期待した調査結果が得られないだけでなく、無駄な作業を発生させてしまうため、非常に重要な工程になります。

(2)管理規程の確認

調査を行うために事前準備としてSAMに関する社内の規程をご提示いただきます。
またSAMはセキュリティーやコンプライアンスとの関係も深いため、情報セキュリティーに関する規程も提示をいただくことになります。
情報システム部だけでなく、コンプライアンスおよび、監査規程に関しても確認しますので、監査部門へも協力要請をしなければなりません。

(3)評価を実施する部署の選定

まず情報システム部に対しては、規程の整備・改定プロセスについてお聴きします。
それ以外の部署に対しては、SAMの実施状況を確認するために現地調査部署を選定します。
基本的には、調査の目的に合致する職種、拠点の代表的な部署を選定します。
後の評価を考えて特殊な部署を選ばずに、他の拠点の代表になるような拠点や、注意が必要な部署を選択してください。
一方でプロジェクトリーダーにとっては調査範囲と、それに応じた人員の確保も評価プロジェクト成功の重要な要因になります。

(4)現地調査準備

事前に提出された規程や運用手順書を確認して、ソフトウエア資産管理基準のどの条項が存在するのか、社内に周知され実際に運用されているのか、ヒアリングのポイントを事前準備します。
SAMに関するまとまった規程があればいいのですが、様々な規程の中にSAMに関する規程が分散して入ってしまっている場合があり、この事前準備をしっかりやらないとヒアリング漏れが出てしまいます。
事前準備はヒアリングするメンバーで漏れの無いことを確認しておいてください。

(5)現地調査

選定した部署を訪問して、現地で管理状況の確認を行います。
まず現地の資産管理担当者にライセンスに関する知識を確認、つぎにPCとソフトウエアの棚卸し実績や監査の実施状況等を確認します。
さらにパッケージライセンスの利用がある場合には、メディアからライセンス証書の保管状況まで確認します。
実際にインストールされているソフトウエアの確認をして、購入ライセンスとの突き合わせも行います。
部署にあるPCが多数の場合は、サンプリングして調査を行う場合もあります。
もちろんヒアリング内容について、あらかじめ調査対象部署には知らせず実施します。

(6)報告書作成

事前に調査して規定の内容と現地調査の結果をもって報告書を作成します。
評価項目が多岐に渡りますが、各々の項目に対して客観的な評価を、報告書にしていくのが重要なことになります。
私の反省になりますが、管理者の努力を過大評価してしまうこともありました。
評価判定の根拠を明確に報告することが求められます。

(7)報告会

報告書が出来上がると、成熟度評価を依頼された部署に対して報告を行います。
管理が行き届いていた点、不足していた点をご説明することになりますが、不足していた管理要件については特に丁寧な説明が必要になります。
成熟度レベルの判定について、評価される側の納得がいく客観的かつ合理的な評価が求められます。



ここまで一連の成熟度評価のプロセスをご紹介しました。
成熟度評価を受ける際の参考にして頂ければ幸いです。
SAMACの評価基準を参考にして自分で成熟度評価することも可能ですが、ここまでご説明したようにこの評価にはSAMに対する専門知識が要求されます。
専門家の視点での評価をお勧めいたします。

次回以降のテーマについて

次回以降の内容については以下となります。

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寄稿者

横河レンタ・リース株式会社
マーケティング本部
CDセンター
中井 史郎
SAMAC公認SAMコンサルタント
E-mail:cdc_mk@yrl.co.jp

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