横河レンタ・リースと考えるソフトウエア資産管理

第4回 評価結果へ

4. 評価結果へ

前回、成熟度評価の報告会で、不足している管理要件については丁寧に説明が必要になることを申し上げました。
評価実施者は特に管理要件に不足項目があり、成熟度レベルが低くなってしまった管理目標ほど、丁寧に説明が必要になります。これは、管理者の自己評価とのギャップを説明するために必要なことになります。

以下にサンプルの管理目標と成熟度レベルの表を出しております。
表の右の欄には第2回でご紹介した、0~5までの評価レベルが入ります。
詳細はSAMACのホームページにあるソフトウエア資産管理評価基準をご参照ください。

一般的な例ではありますが、レンタルPCをご利用いただいているお客さまでは、標準PCを選定し運用管理される場合が多いため、特に機器の調達コストの最適化の項目についてはスコアが高めに出ます。
一方でハードウエアの標準化が進むと、ソフトウエアの管理もハードウエアの標準化で網羅していると思い、サブスクリプションライセンスやユーザーライセンス管理が不十分になってしまう場合もあります。
ハードウエアの管理はソフトウエア管理にとって重要であり、必須事項ですが、それで十分ではありません。
そのため自己評価との乖離が発生しやすい管理項目になります。ご注意ください。

管理目標ごとの成熟度レベル

管理目標 成熟度レベル
ソフトウエア資産管理の方針・規程の整備
ソフトウエア資産管理体制の整備
ソフトウエア資産管理のコンピテンシーの確立維持
保有ライセンスの把握、証明
導入ソフトウエアの把握
コストの最適化
情報セキュリティー要求事項の順守
ソフトウエア資産管理運用管理プロセス
ライフサイクルプロセスインターフェース

このように外部からのSAMに関する成熟度評価報告を利用して、社内の運用改善活動を進める契機にしていただきたいと思っています。
残念ながらSAMACへの成熟度評価の依頼はそんなに多くありません。 (無償で評価を行うプログラムにもかかわらずです)
これは、現状把握をして低い評価が出ると、運用管理の責任問題になってしまう懸念をもっておられるのではないかと思っています。

SAMの活動の全てについて言えることですが、結果的に全社を巻き込む活動になり、成功のためには経営層の支援なくしてありえませんし、責任問題ではなく、今後の運用改善のための現状データ収集、現状把握を実施して欲しいと思います。

SAMの啓蒙活動をしている私たちコンサルタントにも、管理者への伝え方に問題があったかもしれませんが、欧米でのSAMへ積極的な取り組みと比較すると、日本の実情との違いの原因をもっと考えなければならないのかもしれません。
組織内への説得方法は色々あると思います。 客観的な説明のためにも現状把握から着手してください。

管理基準を整えると、メーカーの監査に十分な対応できるか、ご質問をいただきます。
管理基準はあくまでも基本の管理要件の整備で、特定のメーカーの監査対策を目的にした現状把握ではありません。
そもそも、特定のメーカー監査に対応することがSAMの目的ではなく、あくまでも管理範囲はすべてのソフトウエアが対象です。 もちろん優先順位は各組織の背景によって異なります。

メーカーの監査への対応については、管理基準の要件に基づき運用体制を構築するなかで、各メーカーが要求する管理条件をそのプロセスに組み込んでください。
特に保有ライセンスの把握と証明、導入ソフトウエアの把握についてメーカーの管理要件を入れた管理手順を作成していただく事になると思います。

SAMへの取り組みは監査対応がクローズアップされていますが、セキュリティーやコストの最適化もSAMに積極的に取り組むことによって改善されていきます。
ソフトウエア資産管理の分野では、ツールの導入による効率化も有効ではありますが、管理規程や体制の整備もまた管理精度向上のための成功要因であることを忘れないでほしいと思います。

終わりに

ライセンスの価格はソフトウエア会社にとって重要な戦略となっていて、ライセンス形態も複雑になる一方です。
そのため、利用する側であるソフトウエア資産管理者は、常に情報収集が必要となっており、大変ではありますが、情報収集の感度を常に高めておいていただければと思います。
私もアンテナを常に張りながら勉強を続けます。今後の情報提供もご期待ください。

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寄稿者

横河レンタ・リース株式会社
マーケティング本部
CDセンター
中井 史郎
SAMAC公認SAMコンサルタント
E-mail:cdc_mk@yrl.co.jp

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