HPE Synergy検証レポート

「HPE Synergy」の進化を横河レンタ・リースが実機で検証
HPE BladeSystemからの注目すべき3つの変化とは?

外見は似ているが中身は大きく異なるBladeSystemとSynergy

 すでに到来している、デジタル変革による「アイディアエコノミー」の時代。ITを最大限に駆使し、新たなサービスをスピーディに立ち上げていくという取り組みが、すべての企業にとって重要になってきた。当然ながらITインフラのあるべき姿も大きく変わりつつある。これを実現できる製品として、2016年1月にHPEがリリースしたのが、「HPE Synergy」である。
HPEはこの製品を「コンポーザブル・インフラストラクチャ」と位置づけている。その定義は「サーバー、ストレージ、ネットワークなどを可変的リソースプールとして捉え、多様なワークロードに最適なリソースを自由に切り出して構成するITインフラストラクチャ」である。すでにHPEはこのSynergyリリース以前から「HPE BladeSystem c-Class(以下、BladeSystem)」を提供しており、これは現在も継続して販売されているが、SynergyはBladeSystemをさらに発展させ、ハードウエア構成の柔軟性を高めたサーバーだといえる。

横河レンタ・リース株式会社 伊藤 蔵人

 「外見だけを見ると、SynergyはBladeSystemと非常によく似ていますが、当社で実機検証を行った結果、中身は大きく進化していることがわかりました」と説明するのは、HPEのパートナーとして数多くのBladeSystemを販売し続けている横河レンタ・リースで、ソフトウエア&サービス開発部 第一課長 兼 ソリューション&サービス推進部ビジネス推進課長を務める伊藤 蔵人。相違点は数多く存在するが、それらの中でも特に注目すべき進化は3点あると指摘する。

ストレージを自由にコンピュートモジュールへと接続可能に

 第1の進化は「Synergy D3940ストレージモジュール」の導入である。これはコンポーザブル・インフラストラクチャに対応した、可変的なストレージリソースプールを提供するモジュール。1モジュールあたり40のSFFドライブベイを持ち、12G SASまたは6G SATAドライブを取り付けることが可能だ。1台の「HPE Synergy 12000フレーム」内には合計4つまでこのモジュールを搭載でき、合計で最大160台のドライブを格納できるようになっている。

横河レンタ・リース株式会社 高橋 利享

 「ここで重要なのは、コンピュートモジュール(サーバーブレード)とドライブとの接続を自由に行える点です」と説明するのは、横河レンタ・リースでシステムエンジニアを務める高橋 利享だ。「BladeSystem用に提供されている『D2220sbストレージブレード』は、接続できるサーバーブレードに制約がありました。例えばベイ2に挿入したストレージブレードは、ベイ1に挿入されたサーバーブレードにしか接続できなかったのです。これに対してSynergy D3940ストレージモジュールでは、すべてのドライブベイとコンピュートモジュールが『Synergy 12Gb SAS接続モジュール』で接続されており、任意のコンピュートモジュールに任意のドライブベイをゾーニング(接続)できるようになっています」。

BladeSystemとSynergyのストレージの変化
BladeSystemとSynergyのストレージの変化。BladeSystemではストレージブレードを挿入するベイによって、接続可能なサーバーブレードが制約されていた(左)。これに対してSynergyでは、「Synergy D3940ストレージモジュール」に格納されている任意のストレージを、任意のコンピュートモジュールに接続できる(右)。

 このような設計は、ストレージ割り当ての自由度を飛躍的に高めるものだといえる。例えばあるコンピュートモジュールでストレージ容量が不足した場合、予備のストレージが格納されていれば、ハードウエアにまったく手を触れることなく、設定変更だけでストレージを追加できるのだ。ストレージのキャパシティプランニングも、コンピュートモジュール毎に計画するのではなく、シャーシ全体で考えることが可能になる。そのためコンピュートモジュールとストレージのバランスも、全体最適化しやすくなる。
また、万一コンピュートモジュールにハードウエア障害が発生した場合も、短時間で対応できる。予備のコンピュートモジュールを起動し、障害が発生したコンピュートモジュールに接続されていたストレージをゾーニングする、というアプローチが可能になるからだ。

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