デジタルオシロスコープの「周波数特性」って?
計測器
- 公開:
- 2026/03/19
計測器に関わるいまさら聞けないふとした疑問 (初級編)
計測器を業務で扱う中で、基本計測器のオシロスコープを学ぼうとして、オシロスコープ入門の本や資料を見ると、その説明の中に「周波数特性」があります。
「オシロスコープの周波数特性はガウシャンカーブに似ていて、オシロスコープの仕様である周波数帯域と同じ信号を測ると、約30%の振幅誤差 (マイナス3dB) となる。」と書いてあります。
筆者も入社して間もないときに、社内研修でその説明を受けた記憶がありますが、そのときはそうゆうものだと暗記に近い形で、聞いていた記憶があります。
今回は、オシロスコープの仕様のひとつである、周波数帯域と関係する周波数特性について、なんとなく通り過ぎている部分を少しすっきりさせていければと思います。
(1) 周波数特性
こちらが、よく出てくるオシロスコープの「周波数帯域と同じ信号を測ると、約30%の振幅誤差となる。」の絵の一例です。
入力するサイン波の周波数の変化に対しての、出力の振幅や位相の変化を周波数特性といいますが、この図は周波数特性のうち、振幅の変化を表した図です。
横軸が周波数、縦軸が電圧になっています。
オシロスコープに限らず、あらゆる電子部品、電気回路、そして、その電子部品や回路から構成される電気製品は、入力される電圧の周波数が高くなると、その先の期待する出力電圧の特性がフラットでなく落ち込み、固有の周波数特性を持ちます。
周波数特性が性能として仕様に記載される身近な製品の例としては、オーディオアンプ (増幅器) やイヤフォン、スピーカーなどがあります。
また、回路を構成する部品である、抵抗1つとっても、実際には寄生インダクタンスや寄生容量によって、周波数特性を持ちます。
電子部品、電気回路、製品は周波数特性を持つという理解の下、「オシロスコープという製品は、上の図のようなカーブの周波数特性を持つ製品である」と、まずはイメージできればよいのではないでしょうか。
また、この周波数帯域と周波数特性のカーブは、あくまでもサイン波での話です。
矩形波など高い周波数成分を持つ信号の繰り返し周波数にはそのまま当てはまらないことになりますので、注意が必要です。
(2) オシロスコープの周波数帯域はマイナス3dB
「周波数帯域は、振幅がマイナス3dBのところです。」のところもオシロスコープだけの話ではありません。
マイナス3dB (電圧で約70.7%) のところの周波数のところを「カットオフ周波数」といいます。
周波数特性として、ここから大きく減衰する周波数として定義されているものです。
このカットオフ周波数までをオシロスコープの動作周波数帯域を定義する指標としています。
オシロスコープの仕様として、実際の電圧計測値としては70.7%になってしまう周波数帯域 (カットオフ周波数) で表現されている理由になんとなくなぜ?と思ったことがあるかもしれません。
これは、私見も入りますが、アナログオシロスコープの時代は、垂直軸の増幅器の周波数帯域が、オシロスコープの周波数帯域に関わる部分となっていたこと。
また、オシロスコープで測定される対象は、直流から高周波までさまざまな周波数成分を持つ波形であることから、性能を示す基準としてアンプやフィルターと同じ考えで周波数帯域をオシロスコープの仕様としていると思われます。
デジタルオシロスコープは、A/D変換によりデジタル処理された後、演算を経て表示され、その構造はアナログオシロスコープとは大きく異なるものの、増幅器やADコンバータなど、内部にオシロスコープの周波数帯域を決める要素があるのは変わりません。
アナログオシロスコープ ブロック図
デジタルオシロスコープ ブロック図
(3) 計測器の仕様としての「周波数帯域」と「周波数」
最後に、計測器で交流電圧を測ることができるものにデジタルマルチメータがあります。
こちらは測定対象が、交流電圧 (サイン波) が前提となるため、仕様に周波数帯域という表現はありません。
確度仕様の中に「周波数範囲と確度」として規定されています。
計測器によって、実際に使える周波数ではない、「周波数帯域」が製品仕様となっているものもあれば、実用できる上限の「周波数」が仕様となっているものがあります。
計測器を選定する際には、仕様として書いてある周波数が、「周波数帯域」なのか、測定できる「周波数」なのかの注意が必要です。
筆者の所有する横河計測 デジタルマルチメータ TY720
100kHzまでの確度仕様がある
おわりに
今回は、デジタルオシロスコープの周波数特性についての話題でした。
オシロスコープを使った測定の中で、少しでもお役に立ちましたら幸いです。
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