Windows 10 時代のPC大量展開
作成日:2019/12/20
更新日:2021/01/22
Windows 10 時代のPC大量展開
企業でPCを運用していくにあたり、管理者が避けて通れないのはPCのキッティング作業です。
従来、PCの大量展開において最も多く使われてきた手法が「クローニング」ですが、Windows 10 ではクローニングのためのマスターイメージ作成が管理者の負担となっている現状があり、それらの課題を解決する「プロビジョニング」という技術が誕生しました。
本コラムでは Windows 10 で実現可能なPCの大量展開方法を紹介します。
クローニングとは?
クローニングは、元となるPCのディスクイメージ(マスターイメージ)を取得し、同一機種の端末へコピー(クローン)することで、設定やアプリケーションがインストールされたのPCを大量展開する仕組みです。
単純にコピーしてしまうと、同一の端末が複数ある状態になるため、Windows のシステム上で問題を起こしてしまう可能性があります。
そのため、クローニングする前にPC固有の情報を削除する必要があるのですが、Microsoft から提供されているツール「Sysprep」を利用することでリセットが可能です。
クローニングの問題点
Windows 10 はこれまでのOSと大きく異なる点があります。
それは、Windows 10 で発生する半年ごとの大型アップデートです。
従来大型アップデートというと Windows 7 から Windows 10 のように長いスパンで区切られていました。
そのため、PCの機種ごとにマスターイメージを作ることで、同じ機種であれば同じマスターイメージを長期的に再利用可能でした。
Windows 10 では、前述の通り頻繁に大型アップデートが行われ、古いバージョンはサポート切れとなってしまいます。
そのため、マスターイメージ自体もサポート切れとなってしまうため、都度再作成が必要となってしまい管理者にとっては大きな負担になります。
Windows 10 の新技術「プロビジョニング」
Windows 10 では、PCの大量展開の新技術として「プロビジョニング」が誕生しました。
Windows 構成デザイナー(WCD)というツールを利用して、設定やアプリケーションのインストール情報を「パッケージ化」します。
完成したパッケージをPCの初回起動時に読み込ませることで、設定やアプリケーションのインストールが実行され、それぞれの企業特有のPCとしてセットアップされます。
プロビジョニングパッケージは Windows 10 がインストール済みであるPCに適用することが前提ですので、ハードウエア固有の情報が含まれません。
どの機種でも同じパッケージを適用することが可能なため、メンテナンス性に優れています。
プロビジョニングの注意点
プロビジョニングはメリットがたくさんありますが、万能ではありませんので、以下の注意点があります。
- アプリケーションはサイレントインストールに対応していること
アプリケーションを自動インストールする仕組みですので、サイレントインストールを実行できるアプリケーションのみ対応可能です。
フルスクラッチで作成された業務アプリケーションなどは対応できない場合があります。
- すべての設定ができるわけではありません
WCDで用意されている設定は限られた項目になります。
例えば、音量をミュートするなど、ハードウエアに依存するような設定は行えません。
- クローニングに比べて展開に時間がかかる
クローニングではディスクをコピーするだけなのでPC自体の処理能力は必要としませんが、プロビジョニングは1台1台アプリケーションのインストールや設定が行われるため、完了までにかかる時間はPCの処理能力に依存します。
- Windows 10 バージョンごとにパッケージ作成が必要
大型アップデートが発生しますと、追加される機能や廃止される機能がありますので、設定できる項目も変わる場合があります。
そのため、プロビジョニングパッケージは Windows 10 のバージョンごとに作成する必要があります。
しかし前述の通り、機種ごとに作ることは無いため、作成の手間は最小限に抑えられます。
今後のPC大量展開は?
本コラムでは2つPCの大量展開方法をご紹介しました。
クローニングも短期間で大量にPCを配備するといった状況ではまだまだ有用な方法ですので、利用シーンに合わせてベストな方法を選択されると良いかと思います。
今回ご紹介したものに加え、最新技術としてユーザーのセルフサービスでPCキッティングを可能にする「Autopilot」という方法もあります。
Autopilot については、またの機会にご紹介できればと考えておりますので、お楽しみに。
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