今話題の「コンテナ基盤」、そして「クラウド利用型 BCP 対策」を徹底解説

2022年1月

-Agenda-

データを自在に活用するためのデータプラットフォーム HPE EZMERAL のご紹介

爆発的に増えるデータ、うまく活用するために必要なものとは

機械学習 (ML) やディープラーニング (DL) といったAI技術の活用が進むなか、これらで使うデータが爆発的に増えつつある今、データをうまく活用する方法を試行錯誤されている方が多いと思います。

HPE では、ハードウエアベンダーとして、このようなビックデータを組織全体で活用できるプラットフォームが必要と考え、 「HPE EZMERAL」 として提供しています。
ここでは 「HPE EZMERAL」 の概要と特徴について紹介していきます。

組織をまたぐデータ活用が進むにつれて、ツールやデータが複雑に

企業内でもデータ活用が進みつつあって、さまざまなところから、さまざまなデータが集まってきています。
次の図は、企業におけるデータの使われ方を表しています。

この図の部門AではツールAを使って、クラウドAにあるデータを加工したり、可視化したりして活用しています。
同様に部門Bでは、クラウドBにあるデータを、ツールBを使って活用しています。
部門Cはセキュリティー的な問題もあり、データはオンプレミスAにおいてあり、ツールCを使って活用しています。
また、部門DではIoTなどのエッジから得られたデータを、ツールDを使って何らかの活用をしています。
この図を見るだけでもさまざまなデータの置き場所があり、処理を行うさまざまなツールがあることがわかります。

データ活用の傾向 - 活用が進むにつれてより複雑に
さまざまな部門で、さまざまなツールのデータが存在…

それぞれの部門で、それぞれのデータをそれぞれのツールを使って活用している分にはさほど問題になりません。
しかし、次の図のような場合はどうでしょうか。

データ活用の傾向 - 活用が進むにつれてより複雑に
さまざまな部門で、さまざまなツールのデータが存在…

部門Aの人がツールAを使って、クラウドAのデータとともに、オンプレミスAのデータもあわせて活用したいとか、部門Bの人がオンプレミスAのデータをクラウドBへ持っていきたいとか、部門Dの人がエッジAのデータをクラウドBに保存したいとか、というように、他のデータもあわせて使うことで、もっといろいろなことができるではないかと期待される一方で、データの活用は進めば進むほど、より複雑になってしまうという問題点があります。

なぜ複雑になってしまうかというと、一連のデータ処理の中で多くのデータ移動が発生し、データのコピーが増えてしまうからにほかなりません。
それを示したのが次の図です。

データ活用の傾向 - 活用が進むにつれてより複雑に
一連のデータ処理のなかでも、多くのデータの移動が発生

あるデータを、インジェスチョンという形で取り込みます (①)。
このデータを何らかの形で加工したり、分析用のデータとして変換しておきたいということを行うために、この①のデータをそのまま使ってしまうといろいろと問題が起こってしまうので、ストレージ (ここでは NFS Appliance) に保存をします。
この時点 (②) で、すでにデータが二つに分かれてしまいます。
さらにこのデータをマスキング (③) してみたり、抽出 (④) して解析してみたりと加工すると、また新たなデータが生まれます。

さらに、②のデータを Hadoop のような分散基盤で解析してみたいとなると、HDFSに保存してHIVEという処理を行ってみたり (⑥)、また (Amazon) Spark のようなクラウドのアプリケーションで分析を、となるとデータはクラウドストレージ (⑦) にコピーされ、新たな解析データが作られます (⑧)。
さらにデータが古くなっても、後で活用するためにアーカイブとしてコールドオブジェクトに保存しておく (⑨、⑩) など、これだけ見ても一つのデータが10に増えてしまうということがあるわけです。

これだけ見ても、データを格納しておく場所は7個発生してしまっています (次図参照)。

データ活用の傾向 - 活用が進むにつれてより複雑に
一連のデータ処理のなかでも、多くのデータの移動が発生

このようにたった一つのデータを活用するだけでもたくさんのデータを保存する場所が必要だったり、データの移動が発生してしまうということがわかります。
この結果、データ活用が複雑になってしまうという問題が生じます。

この複雑化の原因はなにか、というと、それぞれのアプリケーションやツールによって NFS や、HDFS、(Amazon) S3 のように使うプロトコルが異なるという点、さらに、データの保存先もオンプレミスにあったり、クラウドにあったりと場所がまちまちであるということです。
プロトコルや場所が異なれば、それぞれ管理が必要となりますので、結果として部門間をまたがるデータ活用は複雑になってしまう、という問題が生じるわけです。

データ活用の傾向 - 活用が進むにつれてより複雑に
データの保存先はさまざまな場所に

複雑化するデータ活用を使いやすく -横断的データ利活用の基盤構築を

データ活用が進んでいくと、個々の部門で持っているデータを活用するだけでなく、部門をまたがってデータを活用することで、企業にとってより意味のあるデータ活用ができることは明白です。
その一方で、組織をまたがるデータ活用には非常に高い障壁のために問題があるということは、これまでお話してきたとおりです。

では、どうやればデータ活用の次のステップに進むことができるのか、HPE では考えてみました。

“次のステップ”での課題

一つはさまざまなデータ、つまりオンプレミス/クラウド、さまざまなプロトコルなどを意識せずに連携ができるデータのコラボレーションを実現することだと考えました。
具体的には、データの移動にかかるコストや時間、コンプライアンスなどの事情でクラウドに移動できないデータへの対処、さまざまな場所への分散といった課題をうまく解決するために、全てのデータを入れる大きな 「バケツ」 を用意することで、データのコラボレーションを解決することを考えました。

この 「データのバケツ」 でデータのコラボレーションが可能になると、今度は組織間のコラボレーションをうまく実現する仕組みが必要になってきます。
さまざまな部署、チーム、役割との協業や、会社の枠を超えて社外関係者が利用するにあたって、これらをきちんと分けるための、アクセス権やテナントなどの仕組みがそれにあたります。
これらを実現するものとして、組織を横断してデータを利活用するための 「基盤作り」 が必要ではないかと私たちは考えました。

では、どのようにこのような基盤を提供していけばよいでしょうか。
私たちが考えたのは、先ほど紹介した、それぞれの部門、それぞれのツール、それぞれのデータの場所ごとにリソースを共有化することで、コラボレーションが促進できるのではないかと考えました。

各種リソースを共有し、コラボレーションを促進

例えばデータの共有では、クラウドやオンプレミス、エッジなどそれぞれの場所にあるデータを 「バケツ」 として統合します。
さらに、ユーザーはデータの場所を意識せずにそれぞれのデータにアクセスできる仕組み、さらにさまざまなアプリケーションやツールから、それぞれのデータへ簡単にアクセスできる仕組みを持つ基盤を提供するというのが、一番下のレイヤーである 「データを統合し、柔軟なアプリからデータへのアクセス」 です。

ツールの部分も同様にリソースをプール化して、共有化を行います。
このレイヤーはいわゆるコンテナの考え方です。
コンピューティングリソースを用意して、ツールAを使いたいときはツールAを、ツールCを使いたいときはツールCをコンテナですぐに起動できる環境を用意することで、アクセスが用意になった 「データのバケツ」 を活用できます。
ここまでの基盤を構築することで、部門間のコラボレーションや組織横断的なデータ活用を促進できるのではないかと考えています。

言い方を変えると、あらゆる人が必要なデータとツールを使ってデータ活用を可能にする共通基盤 「データプラットフォーム」 が必要になるのではないでしょうか。

データプラットフォームが必要に
組織横断でのデータ活用のための共通基盤

これまで紹介してきたような 「データのバケツ」 によって、ハイブリッドにまたがって、必要なツールやデータを柔軟かつ迅速に配備し、このデータに対していろいろな手段でアクセスができる仕組みや、データプラットフォームのデータを活用するためのツールを簡単に展開できる仕組み、さらにはユーザーサイドの機能として、さまざまな役割の人が安心・安全にリソースやデータにアクセスできるための 「マルチテナンシー」 やアクセス・権限管理といった機能、IT管理者の手を煩わせなくてもユーザー自身が簡単にデータプラットフォームを使うための 「セルフサービスポータル」 といった仕組みも必要となってきます。
このような仕組みを統合的に提供するのが 「 データプラットフォーム」 ではないかと HPE では考えています。

HPE のデータプラットフォームサービス 「HPE EZMERAL」

これを具現化したのが、HPE のデータプラットフォームサービス 「HPE EZMERAL」 です。
「EZMERAL」 はスペイン語でエメラルドを意味しており、HPE のコーポレートカラーである緑に通ずるものがあります。

「HPE EZMERAL」 は単体のサービス名ではなく、組織横断でのデータ活用を促進するデータプラットフォームサービスの総称です。
現在、3つのサービスを用意しています。

HPE EZMERAL:組織横断でのデータ活用を促進

先ほどから紹介している 「データのバケツ」 にあたるサービスが 「HPE Ezmeral Data Fabric」 (EDF) です。
エッジ、オンプレミス、クラウドとあらゆる場所にあるデータに、あらゆるアクセス方法で利用可能なデータストアです。

EDF にため込んだデータをうまく活用するためのコンテナプラットフォームが 「HPE Ezmeral Container Platform」 (ECP) です。
いわゆる Kubernetes (K8s) ベースのコンテナ運用管理基盤で、データの分析やAIに特化したアプリケーションを迅速に配備するためのコンテナ基盤となっています。

最上位に来るのが「HPE Ezmeral ML Ops」。
機械学習のライフサイクル運用を効率化して、生産性を向上させるサービスとなっています。

HPE Ezmeral Data Fabric

データレイクサイロを解消し、アプリケーションで使いやすいデータレイク環境を提供する 「データのバケツ」

HPE EZMERAL DATA FABRIC
クラウドにまたがるデータレイクサイロを解消。アプリケーションフレンドリーなデータレイク環境を提供

これまで何度も紹介している大きな 「データのバケツ」 を実現するソフトウエアです。
Data Fabric はオンプレミスやエッジに入れたり、Azure、GCP、AWS にインスタンスとして導入することも可能です。
また、アプリケーションからは個々の Data Fabric へのアクセスだけでなく、Data Fabric を統合して一つの大きなデータレイク (データのバケツ) として使うことも可能です。
例えば Linux から /ezmeral というマウントポイントにアクセスすると、データがオンプレミス、エッジ、クラウドのどこにあっても、ユーザーは場所を意識することなくデータにアクセスすることが可能となっています。
また、NFS、(Amazon) S3、HDFS、SQL など、さまざまなプロトコルでアクセスが可能です。

この Data Fabric はストレージという形になっているので、レプリケーションやデータ移動、階層化、スナップショットなどもそのまま機能として持っているので、既存の NAS などでも使うことができるソフトウエアになっています。

Data Fabric を使うことで、先にも紹介したように、これまでであればデータ処理ごとに必要だったデータのコピーや移動が不要となり、仮想的に統合されたデータレイクとして使えるようになるので、データをシンプルに活用することができるようになります。

DATA FABRIC により、シンプルなパイプラインに
さまざまなアクセス方式と、仮想データ統合を実現

また、Data Fabric 単体でも簡易的にデータを扱うアプリケーションを使うことができます。

すぐにデータ活用も始められる
HPE Ezmeral のエコシステム

制限はありますが、Data Fabric のサーバー/インスタンス上で、分析用のアプリケーションを使うことができますので、Data Fabric を導入してすぐにデータ活用が可能になります。

HPE Ezmeral Container Platform

データ分析/AIアプリの配備に特化したコンテナプラットフォームが、組織横断でのデータ分析を加速

HPE EZMERAL CONTAINER PLATFORM
データ分析/AIアプリの配備に特化し、組織横断でのデータ分析を加速

Data Fabric で用意された 「データのバケツ」 にアクセスして、データ分析を行うアプリケーションコンテナを配備するためのプラットフォームです。
Kubernetes のコンテナプラットフォームなので、マルチテナンシーやハイブリッド対応のコントロールプレーン、さらにはすぐにデプロイ可能なデータ分析やAIのアプリコンテナをラインアップした App Store などの機能を持っています。

Container Platform のコンポーネントを見てみましょう。
メインとなるのは Control Panel、統合管理マネージャーです。
セルフサービスポータルや App Store の提供、ユーザー権限やテナントの管理、そして、コンテナ配備の際に必要な Kubernetes クラスタの Worker 環境。
その構築やリソースの管理も簡単に行うことができます。

EZMERAL CONTAINER PLATFORM コンポーネント概要

また、外部にある Data Fabric や HDFS、NFS といった外部ストレージの接続管理や、クラウド上のインスタンスに対しての Worker デプロイや、各クラウドの 「コンテナ as a Service」 環境の統合管理も可能です。
HPE Ezmeral Container Platform のライセンスには、Data Fabric のライセンス料も含まれているので、Container Platform を購入いただければ、Data Fabric もお使いいただくことができます。

App Store のマーケットプレイスにはAIやデータ分析の主だったアプリがラインアップされていて、今後も増えていく予定です。

エコシステム拡大中
HPE Ezmeral Market Place

HPE Ezmeral ML Ops

機械学習 (Machine Learning) のライフサイクル管理を提供

HPE EZMERAL ML OPS
Machine Learning のライフサイクル管理を提供

機械学習の開発当初は個人のPCやワークステーションでモデリングやビルドを行っていくのが一般的だと思われますが、将来的には組織を横断した使い方や複数の関係部署でライフサイクルを回していくという使い方へ変わっていくと思いますが、このようなライフサイクルの管理を行うプラットフォームが ML Ops です。

マルチクラウドなデータプラットフォームを実現し、一層のデータ活用を

ここまでご紹介してきたように、HPE Ezmeral によって 「データのバケツ」、そしてコンテナプラットフォームをあらかじめ用意しておくことで、組織横断的なデータ活用をスムーズに行うことができると思います。
ぜひご検討ください。

マルチクラウドなデータプラットフォームの実現へ
各種環境へのツールやアプリの配備を自動化

HPE Cloud Volumes を利用したBCP対策

まだ不十分な企業の BCP 対策

みずほ情報総研のレポートによれば、新型コロナウイルスにおいて自社の BCP (事業継続計画) が機能したと回答した企業は17%にとどまり、逆にBCPが機能しなかったと回答した企業は28%に上ったというアンケート結果が出ています。
機能しなかった理由として、 「自社の BCP では想定外だった」 とする意見が多くを占めていて、従来のような地震や風水害のような特定の事象にのみ対応した BCP ではなく、感染症などのリスクにも対応できる 「オールハザード型 BCP」 へ転換していく必要性が従来以上に高まっています。

その一方で、帝国データバンクの調査によれば、BCP を策定している企業は、大企業で32.0%、中小企業では14.7%にとどまっていて、特に中小企業では BCP 策定における人材、時間、費用の確保が引き続き課題になっているということがわかります。

BCP 策定における課題

では、具体的にどのような点が、特にシステム関連に対する BCP 策定において課題になるのでしょうか。
まずは先ほども触れた、リスクの多様化への対応です。
自然災害のみならず、感染症やサイバー攻撃などにも対応していく必要があります。

また、コストの課題もあります。
例えば、バックアップ用のシステムを設置すると考えると、機器の購入費用だけでなく、設備 (ファシリティ) や保守のコスト、また、構築スキルを持つ人材の確保やスケジュールの確保などを行った上で、十分なスケジュールの元、検証を行わなければ、いざ BCP 発動という自体になったときにシステムが稼動しない、といった事態になりかねません。

BCP 策定における課題

このような課題に対し、オンプレミス環境での BCP 対策は解決できない課題が残ると考えられます。
そこで、クラウドサービスを活用した BCP 策定の検討が必要となります。

BCP 策定に有効なクラウドストレージサービス HPE Cloud Volumes

ここで、BCP策定に有効なクラウドサービスを一つご紹介します。
HPE が提供するクラウドストレージサービス、「HPE Cloud Volumes」 サービスです。

HPE Cloud Volumes サービスは、HPE 独自のフラッシュストレージ技術を使用してホストされる、従量課金モデルのクラウドストレージサービスです。
HPE によるマネージドサービスのため、サービス利用のために追加でハードウエアを購入する必要はありません。

HPE Cloud Volumes には 「HPE Cloud Volumes Block」 と、「HPE Cloud Volumes Backup」 という2種類のサービスがあります。

HPE Cloud Volumes とは?

HPE Cloud Volumes Block はオンプレミス環境の HPE Nimble Storage との間で双方向のレプリケーションが可能となっています。
また、Microsoft Azure、Google Cloud、Amazon AWS 上のインスタンスから直接 iSCSI マウントが可能となっているので、各インスタンスの外部ストレージとして使うことができます。

HPE Cloud Volumes Backup はオンプレミス環境のバックアップ用として使うことができるストレージサービスです。
対応するバックアップソフトのバックアップ保存先を、HPE Cloud Volumes Backup に設定することでクラウドバックアップが可能となります。
また HPE Cloud Volumes Backup は、HPE 製品だけでなく、他社のストレージでも使うことができるのが特徴です。

さらに、HPE Cloud Volumes Backup のリストアを HPE Cloud Volumes Block に行うことが可能となっています。
したがって、オンプレミスのストレージ内のデータをパブリッククラウドのインスタンスにマウントすることが可能で、クラウド上でのデータ分析などはもちろんのこと、万が一オンプレミス環境が使えない状況に陥っても、短時間のうちにクラウドを使ってシステムを再開することが可能です。

HPE Cloud Volumes の特徴 ~高可用性、高セキュリティー、マルチクラウド対応

では、HPE Cloud Volumes の特徴を紹介していきましょう。
まず操作性ですが、HPE Cloud Volumes ではシンプルな WebGUI 上で3ステップの設定で使い始めることができます。
また、可用性の面では、99.9999%の SLA を誇る HPE Nimble Storage の技術をベースに作られたクラウドサービスなので、高い可用性と耐久性を持っています。
懸念されるセキュリティー面においても、256-bit AES 暗号化でデータが保護されているので、データの機密性を守ることができます。

HPE Cloud Volumes は特定のクラウドにロックインされず、マルチクラウドで使えることも大きな特徴です。
一般的にパブリッククラウドのストレージサービスは、他のパブリッククラウドに接続することができません。
このため、異なるクラウドサービス間のデータ移行には長い時間とコストが掛かってしまいます。
その点、HPE Cloud Volumes はこれまでもお伝えしてきたとおり、マルチクラウドに接続ができますので、データ移行することなくすぐにクラウド間の移行も可能です。

パブリッククラウド利用時の課題の一つとして、インフラの詳細情報がブラックボックス化しやすいという懸念があります。
HPE Cloud Volumes は、サーバーインフラの高い可視化で定評がある運用管理ツール HPE InfoSight を使うことができます。
もともと HPE Nimble Storage の運用管理ツールとして提供されていた HPE InfoSight ですが、現在では他の HPE ストレージを始めとして、この HPE Cloud Volumes でも HPE InfoSight と連携した運用管理が可能となっています。

HPE InfoSight では、作成されたボリュームの使用状況確認や、データ配置の運用最適化、予兆検知などがシンプルでわかりやすいWebポータルから確認・利用することができます。

HPE Cloud Volumes のユースケース

では、実際に HPE Cloud Volumes を使ったユースケースを見てみましょう。
まずは今回の本題であるBCP 対策として、クラウドへのDR (災害復旧) を実装するケースです。
HPE Cloud Volumes Blocks はクラウド上にあるため、DR用に追加のハード・ソフトは不要です。
また、データセンターに設置した HPE Nimble Storage とクラウド上の HPE Cloud Volumes Blocks 間では常にレプリケーションが行われているため、オンプレミス側に障害が発生しても、パブリッククラウド側ですぐに HPE Cloud Volumes をマウントすることで、業務継続が可能です。

また、BCP からは離れますが、クラウド環境でのテストや開発、分析の環境としても HPE Cloud Volumes を使うことができます。
HPE Cloud Volumes Blocks は HPE Nimble Storage がベースとなっていますので、HPE Nimble Storage が標準で備えるスナップショット機能を追加ライセンスなしで使うことができます。
これによって、スナップショットからのクローンボリューム作成も可能ですから、開発・テスト用のクローンボリュームを作成してパブリッククラウドから使う、といったことも可能となっています。

さらに、コンテナ環境におけるハイブリッドクラウド環境でも HPE Nimble Storage を活用できます。
コンテナ環境では、永続ボリュームを持たないステートレスなコンテナ、その移動は比較的簡単にできますが、永続ボリュームを使うステートフルなコンテナは移動が困難です。
しかし、HPE Cloud Volumes であれば、このようなステートフルなコンテナもオンプレミスとクラウド間で自由に移動することが可能です。

コンテナ環境のハイブリッドクラウド

このように、HPE Cloud Volumes は、

  1. クラウドベースとなるため、オンプレミスにDR用の環境を用意する必要がない
    災害などの設置場所に関するリスクや、ファシリティコストを回避できる
  2. ロックインされないマルチクラウド対応
    一つのクラウドベンダーに依存することを回避して、可用性を向上できる
  3. シンプルな操作性、高い耐久性
    オペレーションコストの削減を実現

によって、マルチクラウド対応の BCP 対策をシンプルに実現できるクラウドストレージ・ソリューションとなっています。

オンプレミスの環境もクラウド感覚で 「ITインフラコンサンプションサービス」

ハイブリッドクラウドに残された課題

HPE Cloud Volumes のように、既存のオンプレミス環境に加えクラウド環境を同時に運用するいわゆる 「ハイブリッドクラウド (ハイブリッドIT環境)」 はメリットも多く、その導入が一つのトレンドになっていますが、その導入や運用においてはさまざまな課題があります。

既存のオンプレミス環境に加え、クラウド環境が加わるわけですから、運用の負荷や、IT資産管理の煩雑化は避けられません。

ハイブリッドクラウドに残された課題

また、インフラ調達においても課題があります。

ハイブリッドクラウドに残された課題

オンプレミスのシステムが一括で支払うのに対して、クラウドサービスは月額・従量制と支払いが統一できません。
特に、昨今叫ばれている 「持たざる経営」 の実現も難しくなってしまいます。

この課題に対して、横河レンタ・リースがご提案するのが 「ITインフラコンサンプションサービス」 です。

横河レンタ・リースの「ITインフラコンサンプションサービス」
~パブリッククラウドとオンプレミスのメリットを踏襲した月額課金サービス~

横河レンタ・リースが提供する 「ITインフラコンサンプションサービス」 (以下、ITICS) はパブリッククラウドとオンプレミス、それぞれの良さを踏襲した月額課金のサービスです。
簡単に言うと、オンプレミス・クラウド問わずITインフラを月額課金で使うことができるサービスとなっています。

ITインフラコンサンプションサービスとは

パブリッククラウドのメリットである、イニシャルコストの安さ、調達期間の短さ、容易な運用管理、月額課金制と、オンプレミスのメリットである、高い自由度を持つカスタマイズ、高いセキュリティー、最適化されたパフォーマンス、そして既存システムとの連携。
これらを組み合わせて、ITインフラ導入の新たな選択肢として活用いただけるのが、ITICS です。

ITインフラコンサンプションサービスが提供するサービスとは

では、ITICS が具体的にどのようなサービスであるかを紹介していきます。
ITICS は大きく分けて 「システム導入・構築」、「運用支援」、「データセンター利用」、「当社ソリューション」 の4つのサービスで構成されています。

システム導入・構築では、システムに必要なサーバー、リソースの提供および構築作業の実施、バックアップ環境や、仮想化環境、クラスタ環境などの構築、DR (ディザスターリカバリー) システムの構築などを行います。

運用支援では、利用されるシステム全体の統合管理システムや自動化支援サービス、利用状況のメータリングツールの提供といった、構成管理サービスを提供しています。

ITICS のご紹介

データセンター利用は、コロケーションやハウジングにも対応しています。

また、横河レンタ・リースが提供するソリューションとして、Flex Work Place Passage や、Unifier Cast、AppSelf や、別契約になりますが、レンタルPCの提供も可能です。

これらのサービスを月額課金型で提供するのが ITICS です。
そして ITICS は、お客さまの環境にあわせて、必要なサービスを選んでご利用いただけるカスタマイズが可能です。

具体的に ITICS が提供するサービスは以下の図のとおりです。

ITICS のサービス内容

契約されたお客さまごとに、サービスに関する総合窓口とユーザーポータルを開設します。
また、サーバーリソースは、お客さまのニーズにあわせて、社内やデータセンターなど、お客さま任意の環境に用意します。
先にご紹介した HPE Cloud Volumes もこの ITICS に組み込むことができます。

課金形態に関しては、固定課金と従量課金を選ぶことができます。
従量課金の場合は、あらかじめ予備のリソースを配備。
通常時、予備リソース分は課金されませんが、急激な利用増により予備リソースを使用した場合のみ、使用した分を課金する形態になっていますので、通常はコストを抑えつつ、柔軟なリソースの配備を行うことができます。

「Yellow Dash」による充実した構成管理サービスと運用支援機能

ITICS の特長として、充実したITインフラ環境の運用・構成管理サービス 「Yellow Dash」 が挙げられます。

ITICS 特長:ITインフラ環境の運用管理サービス Yellow Dash

横河レンタ・リースが提供するITインフラ構成管理システム 「Yellow Dash」 は、サーバーインフラに関する情報を一元管理することで、ライフサイクル全般の情報を共有できる環境を提供します。
Yellow Dash コントロールセンターでは、システム構成情報やハードウエアの保守契約情報、ソフトウエアのライセンス情報、仮想マシンの状況などが集約されており、これらを一元管理することができます。

横河レンタ・リースでは、Yellow Dash の環境構築や機能追加、維持、メンテナンスを行います。
また、お客さまよりご提供いただいた各種構成情報を Yellow Dash のデータベースに登録する、入力代行も行っています。

ITICS のもう一つの特長が保守窓口の一元化です。

ITICS 特長:ITインフラ環境の運用管理サービス

ほとんどのITシステムは、複数のベンダーが提供するハードウエア、ソフトウエアで構成されていますので、障害が発生した場合は、障害の原因となっているハードウエア、ソフトウエアベンダーにそれぞれ連絡する必要があります。
システム管理者はこの問い合わせ対応に相当な負担を強いられている場合もあるかと思われます。

そこで横河レンタ・リースでは、お客さま専任のサポートチームを開設。
お客さまからのコールを受けて、サポートチームが必要なベンダーへの連絡を行います。
障害発生時はお客さまがサポートチームに連絡するだけで、問題解決を行うことが可能となります。

また、システムを安定稼働させるために、アカウントマネージャーを用意して管理を行うことや、VPN接続でお客さま環境に接続してリモートでシステムを監視するリモート監視もサービスに含まれています。

ITICS では仮想マシンの構築・運用・監視の自動化も実現しています。

ITICS 特長:ITインフラ環境の運用管理サービス (自動化支援機能)

お客さま専用のWebポータルから、リソースの確認や、仮想マシンの作成依頼を行うことができます。
依頼内容は、横河レンタ・リースの専任サポートチームが対応。
お客さまからの内容を、各種ツールで情報を確認しつつ、運用SEが自動化管理ツールの操作を行います。
自動化管理ツールは、スクリプトを実行して仮想マシンを自動構築します。

仮想マシンの使用量はメータリングツールによって取得され、メータリングポータルサイトに提供されます。
また、各種構成情報の取得やサーバーの電源OFF、プロセスの定期確認、サーバーの構築、ネットワーク機器の設定変更などは自動化が可能になっています。

選べる課金形態

ITICS の料金プランは次の2種類から選ぶことができます。

ITICS の料金プラン

毎月、ITリソースの使用量が変動するケースでは、従量課金が最適です。
従量課金モデルでは、あらかじめ設定した最低使用量分の請求+超過分使用料の請求となります。

ITリソース使用量の変動が少ない場合は、月額固定課金が最適です。
固定課金モデルはその名の通り、毎月固定された料金の請求となります。

これらの課金モデルは、お客さまの業務形態、環境によって柔軟に選ぶことができます。

まとめ:HPE Cloud Volumes と ITICS で実現するシンプルなハイブリッドクラウド環境

最後に HPE Cloud Volumes と ITICS の組み合わせによって実現できる、ハイブリッドクラウド環境についてまとめてみましょう。

まとめ:HPE Cloud Volumes と ITICS の組み合わせで実現できること

HPE Cloud Volumes によって、マルチクラウド対応のストレージを利用することで、クラウド型 BCP が実現可能となり、さらにクラウドベンダーのロックインを解消できます。
また、ITICS を利用することで、ハイブリッドクラウド環境でも初期導入コストを抑えつつ、パブリッククラウドのような従量課金でも利用も可能となり、問い合わせ工数の削減も実現。
さらに、移行作業も含めたサービスを提供します。

今後のシステム更改において、ITシステムのシンプル化を実現するためにも、HPE Cloud Volumes + ITICS の組み合わせを検討してみてはいかがでしょうか。

お気軽にお問い合わせください

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