法人でパソコンを廃棄する方法は?
具体的なルールや注意点を紹介
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- 公開:
- 2025/07/01
「社内で使っていたパソコンの処分方法がわからない」「情報漏えいが心配で、廃棄に踏み切れない」と悩むIT担当者の方も多いのではないでしょうか。
企業で不要になったパソコンを廃棄する際には、廃棄物処理法・リサイクル法などの法令に従い、適切な手続きを取る必要があります。
また、社内データの漏えいを防ぐためには、データ消去や資産台帳の更新などの作業も欠かせません。
この記事では、法人としてパソコンを適切に廃棄するために押さえておくべきルールや具体的な廃棄方法、廃棄時の注意点などをご紹介します。
廃棄の手間をなくし、効率的にパソコンを運用できるレンタルサービスについてもご紹介するため、パソコンの処分方法に悩んでいる方や、将来の買い替え (リプレース) に備えてより効率的な運用方法を検討したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
当社では、パソコンの計画から調達、導入、運用、リプレース (廃棄) の一連の管理業務をアウトソーシングできるPC-LCMサービスを提供しています。
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法人でのパソコン廃棄におけるルール
法人で使用するパソコン (事業系パソコン) は産業廃棄物とされ、家庭用のパソコンとは異なる手順で廃棄しなければなりません。
このとき、産業廃棄物管理表に基づく手続きなど、定められたルールに従って廃棄を進める必要があります。
万が一、廃棄方法を誤ると、情報漏えいやコンプライアンス違反といったトラブルが発生する可能性もあるため、注意が必要です。
ここでは、法人としてパソコンを廃棄する際に押さえておくべき基本的なルールをご紹介します。
産業廃棄物管理票 (マニフェスト) に従って手続きを行う
法人が不要になったパソコンを業者に引き渡して処分する際には、産業廃棄物管理票 (マニフェスト) に基づく手続きが必要です。
マニフェストとは、廃棄物を外部の収集業者や処分業者を通じて処分する際に排出事業者 (法人) が発行する伝票で、処理の流れを記録・追跡するための仕組みです。
参照:廃棄物の処理及びおよび清掃に関する法律|e-Gov 法令検索
現在、産業廃棄物の処理状況を管理する方法には、「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」の2種類があります。
紙マニフェストでは、排出事業者が管理票を交付し、その控えを5年間保管する義務があります。
一方、電子マニフェストは、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターが運営する「JWNET」を通じて、処理状況を電子的に記録・報告する仕組みです。
利用にあたっては、排出事業者や収集運搬業者、処分業者など、関係するすべての事業者がJWNETに加入していることが前提となります。
参照:電子マニフェストの仕組み|JWNET
法改正により、電子マニフェストの制度は段階的に見直されているため、今後の動向を注視しつつ、適切な管理を行うことが求められます。
参照:産業廃棄物管理票制度の運用について (通知) |環境省
参照:電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップに基づくマニフェスト制度の運用状況の総点検に関する報告|環境省
再資源化 (リサイクル) が必要
パソコンは、循環型社会を形成するために必要な取り組みである (3Rリデュース、リユース、リサイクル) を促進するため、「指定再資源化製品」として、再資源化 (リサイクル) が義務づけられています。
なお、業務で使用する法人用のパソコンは、家庭用のパソコンと異なり「小型家電リサイクル法」が適用されないため、自治体や家電量販店で廃棄できません。
参照:パソコンのリサイクル (資源有効利用促進法) |経済産業省
参照:小型家電リサイクル法 ~法律の概要・関係法令~|環境省
そのため、PCメーカーの法人向け回収サービスや産業廃棄物処理業者など専門業者に依頼する必要があり、マニフェストを作成し、適正に管理することが求められます。
参照:資源有効利用促進法|経済産業省
また、パソコンを廃棄する際には、ストレージ内に残ったデータが第三者に復元され、情報漏えいにつながるリスクがあるため、完全にデータを消去することが必要です。
しかし、パソコンのデータ消去は専門的な知識が求められるだけでなく、専用の機器を用いて行うこともあるので、自社で実施するのが難しい場合があります。
このようなときは、専門の業者に依頼することで安全にすべてのデータを消去できるでしょう。
データ消去に関して詳しくは、以下の記事をご確認ください。
パソコンのデータ消去は業者を信用して任せられる?検討時のポイントを紹介
法人でのパソコンの廃棄方法

ここまで、法人でパソコンを廃棄する際のルールをご紹介しましたが、具体的にどのような方法で廃棄すればよいのでしょうか。
ここでは、法人でのパソコンの廃棄方法をご紹介します。
パソコンの製造メーカーに回収・リサイクルしてもらう
廃棄するパソコンが同じ製造メーカーのもので、台数が少ない場合はメーカーに回収やリサイクルしてもらうと安心です。
メーカーでは、資源有効利用促進法と呼ばれる法律に基づきパソコンの回収やリサイクルを行うことが義務づけられているため、適切な方法で処分してもらえます。
パソコンの扱いを熟知しているメーカーに処分してもらうことによって、一定の安心感があるといえるでしょう。
ただし、自社で使用しているパソコンのメーカーが複数社にわたる場合は、各メーカーで見積もりや回収手続きを行う必要があるため、担当者の負担が増える恐れがあります。
メーカーによっては自社製品以外のパソコンもまとめて回収できるケースもあるため、複数社の回収情報を見比べて、自社で利用しやすいものを選ぶことをおすすめします。
なお、一般社団法人 パソコン3R推進協会 (PC3R) では、メーカーに代わって不要な事業系パソコンを回収しています。
PC3Rは環境省の産業廃棄物広域認定を受けているため、リサイクル時のマニフェスト交付が不要で、複数メーカーの同時申し込みも可能です。
対象メーカーなどの条件は、事前に確認しましょう。
参照:事業系PCリサイクル|一般社団法人 パソコン3R推進協会
リサイクル業者に引き取ってもらう
事業系パソコンを対象に回収・リサイクルを行っている専門業者へ引き取ってもらう方法もあります。
リサイクル業者に依頼することで、現在は販売されていない古いパソコンや故障したパソコン、一部のパーツが欠けているパソコンなども回収してもらえる可能性があります。
リサイクル業者を探す際は、以下の東京都のように自治体ごとに推奨する業者を紹介しているケースもあるため、事業所のある自治体の公式サイトを確認するのがおすすめです。
参照:パソコンリサイクル|東京都環境局
産業廃棄物処理業者に引き取ってもらう
事業系パソコンをはじめとした産業廃棄物の処分を専門とした産業廃棄物処理業者に依頼するのもよいでしょう。
産業廃棄物処理業者では、パソコン以外にもサーバーやプリンター、モニターといった機器も引き取ってもらうことができます。
専門業者への依頼は、メーカーよりも処分費用を抑えられることがあるため、メーカーと複数の産業廃棄物処理業者で見積もりを行うことをおすすめします。
なお、業者を選ぶ際は、「データ消去や証明書・資産滅却報告書の発行などを行ってもらえる業者であるか」「どのような環境・流れで処分を行うか」「自治体から許可を得た業者であるか」などを確認し、信頼できる業者へ依頼しましょう。
例えば、東京都では「東京都産業廃棄物処理業者検索システム」を設けており、東京都で許可を受けた産業廃棄物処理業者や、許可内容を検索できます。
参照:産業廃棄物処理業者の情報を調べるには|東京都環境局
まだ使えるパソコンであれば買い取りという選択肢も
廃棄するパソコンがまだ使用できる状態である場合は、メーカーや専門業者に買い取ってもらえる可能性があります。
買い取りサービスを利用することで、廃棄コストを抑えられ、新たなパソコンの導入費用にも充てやすくなるでしょう。
例えば、横河レンタ・リースのパソコン買い取りサービスでは、国際的なデータ消去規格に準拠したツールでデータ上書き (1回) を行い、資産管理用として本体に貼り付けていた管理シールなどを完全に剥離したうえで買い取りします。
また、作業後は作業報告書を提出するため、安心してご依頼いただけます。
詳しいサービス内容や買い取りの条件については、以下のページをご確認ください。
法人でパソコンを廃棄する際の注意点
ここまで、法人でのパソコンの廃棄方法をご紹介しました。
パソコンを廃棄する際は、データを消去する以外にも、管理台帳を更新したり、本体に貼り付けた管理シールなどを剥がしたりしなければならない点に注意が必要です。
ここからは、法人でパソコンを廃棄する際の注意点を具体的にご紹介します。
完全にデータ消去を行う
事業系パソコンには、企業の機密情報や顧客・従業員の個人情報、各種アカウントのログイン情報、クレジットカード情報などさまざまなデータが保存されているため、情報漏えいや第三者による悪用を防ぐために、これらのデータを完全に削除しなければなりません。
しかし、パソコン内のデータを消去する際は、ファイルをごみ箱に移動させたり、初期化したりするだけでは完全に消去されないため、記憶装置の物理的な破壊や磁気破壊などで消去する必要があります。
このようなデータ消去は、専門的な知識や技術を必要とするため、より安全に処理したい場合は、パソコンの回収とあわせてデータ消去も対応できる専門業者に依頼するのがおすすめです。
資産管理台帳を更新する
資産管理台帳にパソコンの情報を登録している場合は、廃棄とあわせて登録情報を削除しましょう。
廃棄したパソコンの情報が管理台帳に残ったままだと、所在不明のIT資産が発生してしまい、棚卸しを行う際に混乱する恐れがあります。
適切に社内の資産を管理するためにも、パソコンの廃棄時には速やかに資産台帳の更新も行いましょう。
管理シールなどを外す
パソコンの導入時に、自社の企業名やロゴ、部署名、管理番号などが記載されたシールを貼り付ける企業も多いでしょう。
パソコンの廃棄時にこのようなシールが貼られたままだと、悪意のある第三者によって企業や部署が特定され、情報漏えいにつながる恐れがあります。
パソコンに自社に関するシールなどを貼っていた場合は、すべて外した状態であることを確認の上、廃棄を進めましょう。
委託する業者の信頼性を確かめる
リサイクル業者や産業廃棄物処理業者へパソコンの廃棄を依頼する際は、委託先の業者が信頼できるかどうかを見極めた上で依頼することが重要です。
「金額が安い」「すぐに廃棄してもらえる」などの理由で安易に決めるのではなく、これまでに多くの実績があるか、どのような作業環境で廃棄を行うのか、データ消去時は作業報告書を発行してもらえるかなどを事前に確認したうえで業者を検討しましょう。
また、データ消去の安全性を確保するための指針として、米国国立標準技術研究所 (NIST) が策定した「SP 800-88 Rev.1」などのガイドラインが広く参照されています。
業者を選ぶ際は、こうした基準に準拠したデータ消去方法を採用している業者かどうかも確認するとよいでしょう。
法人でパソコンを管理する際は適切なタイミングで廃棄することが重要

ここまで、法人でパソコンを廃棄する際のルールや廃棄方法、注意点などをご紹介しましたが、法人では適切な方法で廃棄するだけでなく、パソコンを廃棄するタイミングも重要で、数年おきに買い替える (リプレースする) 必要があります。
法人でパソコンを管理する際は適切なタイミングで廃棄することが重要な理由としては、以下の三つが挙げられます。
セキュリティーリスクが高まるから
古くなったパソコンを廃棄せずに使い続けることで、第三者によるサイバー攻撃に狙われるリスクも高まります。
Microsoft などOSの提供元ではセキュリティーに関するサポートを行っていますが、サポート期間があらかじめ定められており、期間終了後はセキュリティー対策を自己責任で行う必要があります。
OSの脆弱 (ぜいじゃく) 性を狙った攻撃による不正アクセスや情報漏えいといった被害に遭わないよう、サポート期間内に買い替えることが大切です。
企業イメージに関わるから
万が一自社のパソコンが情報漏えいなどのセキュリティー被害に遭った場合、顧客や従業員の個人情報が流出してしまい、損害賠償につながる恐れがあります。
また、情報漏えいなどの事態を引き起こした場合、顧客から「個人情報を厳重に管理してもらえない企業」「取引をするのが不安な企業」「重要なデータの取り扱いがずさんな企業」といったマイナスイメージがついてしまい、売り上げや利益の低下にもつながりかねません。
パソコンの脆弱 (ぜいじゃく) 性を狙ったセキュリティー被害を避け、常に安全な環境でパソコンを運用できるよう、サポート期間をこまめに確認しながら定期的に廃棄や買い替えを行いましょう。
業務効率が低下するから
法人でパソコンを利用する際は、同じパソコンを何年にもわたって使い続けるのではなく、耐用年数や性能の低下を見据えて、定期的に買い替えることが大切です。
パソコンの一般的な使用可能期間は4~5年程度といわれており、長期間使用することでパーツが劣化して性能が低下する傾向があることから、処理に時間がかかったり、不具合が生じたりする恐れがあります。
さらに、モバイルパソコンはバッテリーの消耗もあるため、より短い期間でのリプレースが必要になる場合もあります。
このようなトラブルによって作業が滞ると、業務の進行にも影響を及ぼしかねないため、生産性を維持するためにも、定期的にパソコンを廃棄し、新たな機種を導入しましょう。
ここまで、法人でパソコンを廃棄する際の廃棄方法や、適切なタイミングで廃棄することが重要である理由などをご紹介しましたが、社内のすべてのパソコンを正確に管理し、廃棄や買い替えを行うのはIT担当者にとって負担となることも多いでしょう。
そのような場合は、社内で利用するパソコンをレンタルで調達するのがおすすめです。
法人のパソコンはレンタルで廃棄の負担やコストを減らせる
法人のパソコンでは、購入以外にレンタルという選択肢もあります。
レンタルでは、あらかじめ設定したレンタル終了日にレンタル会社が回収するため、処分業者の検討や手続き、マニフェストの交付といった廃棄処理が必要ありません。
また、レンタル会社による廃棄費用もレンタル費用の中に含まれているため、廃棄コストも抑えられます。
なお、横河レンタ・リースのパソコンレンタルサービスでは、パソコンの計画から調達、導入、運用、リプレース (廃棄) の一連の管理業務をアウトソーシングできるPC-LCMサービスも提供しています。
契約終了時にはパソコンを返却するのみで、廃棄処理も不要なため、IT担当者の負担を軽減できます。
サービスについて詳しくは、以下のページをご確認ください。
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この記事では、法人としてパソコンを適切に廃棄するために押さえておくべきルールや具体的な廃棄方法、廃棄時の注意点などをご紹介しました。
法人でパソコンを廃棄する際は、製造メーカーや専門業者に依頼するといった適切な方法で廃棄する必要があります。
パソコンを廃棄する際には、見積もりの取得や各種手続きが発生し、台数が多い場合にはIT担当者にとって大きな負担となることがあります。
こうした負担を軽減する方法のひとつが、パソコンをレンタルで導入することです。
レンタルであれば、契約期間の満了時に返却するだけで済むため、廃棄にかかるコストや手間を大幅に削減でき、IT担当者の業務負担も軽減できます。
なお、データ消去やデータ移行といった作業は、保存容量やネットワーク環境によっては多くの時間と手間を要する場合があります。
こうした課題に対しては、当社が提供する「データレスPC 」の導入もおすすめです。
データレスPC ではリダイレクト方式を採用し、パソコン本体にデータを保存せず、常にサーバーやクラウドストレージに保管する運用を実現します。
そのため、端末にデータが残らずセキュリティーリスクを低減できるうえ、PCのリプレース時に面倒なデータ移行作業が不要になります。
これにより、業務の効率化だけでなく、IT担当者の負担軽減にも大きく貢献します。
PCのセキュリティーを確保しながら、データ移行の工数を抑えたい方は、データレスPC もご検討ください。