壊れたパソコンにデータ消去は必要?
安全な廃棄方法や注意点を紹介
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- 公開:
- 2025/08/05
「壊れたパソコンはもう使えないから、そのまま捨てても問題ないだろう」と思ってはいませんか?
実は、動かないパソコンの中にも個人情報や業務データが残っている可能性があるため、適切な方法でデータ消去を行わないまま廃棄すると、情報漏えいのリスクがあります。
特に企業の場合は、個人情報だけでなく、顧客情報や社内資料などの重要な情報資産がパソコンに保存されています。
万が一、これらのデータが外部に流出すれば、企業としての信用を損なうだけでなく、損害賠償などのトラブルに発展する恐れもあるでしょう。
この記事では、壊れたパソコンでもなぜデータ消去が必要なのかを明らかにし、安全なデータ消去の方法や適切な廃棄手順、注意点まで、具体的にご紹介します。
「壊れたパソコンを安全に処分したい」「パソコン管理の手間を減らしたい」と考える方に向けて、法人向けのパソコンレンタルサービスについてもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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壊れたパソコンでもデータ消去は必要?
パソコンが壊れて正常に動作しない場合、「パソコンが動かないからそのまま廃棄しても問題ないだろう」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、パソコンが一見壊れているように見えてもOS自体は正常に動作していたり、ストレージが使用できたりするケースがあります。
例えば、ストレージが故障していなかった場合、第三者が廃棄されたパソコンからストレージだけを取り出し、別のパソコンでデータにアクセスできてしまう可能性があります。
このような経路から情報漏えいにつながる恐れがあります。
そのため、たとえパソコンが壊れており起動できない・画面が映らないといった状態であったとしても、必ずデータ消去を行いましょう。
パソコンには重要なデータがたくさん入っている
業務で使用するパソコンには、個人情報やWebサイトへの登録情報 (IDやパスワード) 、写真、動画、クレジットカード情報、業務で使用するファイル、企業の内部データなどの機密情報といった重要なデータが多く含まれています。
このようにストレージ内に残ったデータは、データのリカバリー (復旧作業) を行うことで、元に戻せてしまいます。
このようなデータが第三者に盗み見られ情報漏えいを引き起こすことによって、多額の損害賠償が発生したり、企業イメージが低下したりする恐れもあるため、厳重に管理する必要があります。
パソコン内に含まれる個人情報や企業の情報資産について具体的には、次のようなものが挙げられます。
パソコンに含まれる個人情報
パソコンに含まれる個人情報は、以下のとおりです。
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自身の個人情報
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氏名、生年月日、性別、年齢、住民票コード、マイナンバー、電話番号、メールアドレス、指紋、顔写真、職業、勤務先、所属部署、役職、家族構成、身長、体重
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Web上で扱われる個人情報
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サービスのID・パスワード、アクセスしたページの履歴、Webサービスの利用履歴、送受信したメール、パソコンの利用時間帯、Web上での商品の購入履歴、ブックマーク
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金融情報
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クレジットカード情報、銀行口座情報、収入 (月収・年収)
パソコンに含まれる企業の情報資産
パソコンに含まれる企業の情報資産は、以下のとおりです。
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顧客情報
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氏名、氏名フリガナ、生年月日、性別、年齢、住所、電話番号、メールアドレス、職業、会社名、会社名フリガナ、所属部署、役職、購買志向、購買理由、購買履歴、購入日、購入商品・サービス、契約日、購入金額、支払い情報
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人事情報
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従業員や求人応募者の個人情報 (氏名・住所・連絡先など) 、応募者の履歴書・職務経歴書・ポートフォリオ、給与・賞与・確定申告に関するデータ、従業員の勤務時間・残業時間に関する情報、昇給・昇格の評価データ、人事異動や退職などの発表前の情報
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財務情報
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貸借対照表、損益計算書、利益処分案または株主資本等変動計算書
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技術情報
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開発情報、技術的なノウハウ、研究結果、論文、社外に公開されていないデザインや記事、音楽、動画などのコンテンツ
壊れたパソコンのデータ消去方法

上記のとおり、パソコンが壊れて使用できない状態であったとしても、処分する前にデータ消去は欠かさず行う必要があります。
壊れたパソコンの主なデータ消去方法は、以下のとおりです。
自分でパソコンのストレージを物理破壊する
パソコンを自分で分解し、ストレージ (HDDやSSD) を物理的に破壊することで、データの読み取りや復元ができなくなります。
しかし、ノートパソコンなど、一部の機種によってはストレージの取り出しに外装の分解が必要な場合があり、作業が複雑になります。
また、ストレージによって適切な破壊方法は異なります。
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HDD
(ハードディスクドライブ) -
内部の磁気ディスク (プラッター) を粉砕したり、穴を開けたりする方法が一般的です。
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SSD
(ソリッドステートドライブ) -
データが複数のチップに分散して格納されているため、確実に破壊するには細かく裁断し、専用の機器を用いた高度な処理が必要となることがあります。
確実にデータを消去したい場合には物理的な破壊が適してはいるものの、専用の機器や専門的な知識・技術が必要なことや、作業に多くの労力を費やす可能性があることに注意が必要です。
データ消去の専用ソフトを利用する
パソコンが起動できる場合は、データ消去の専用ソフトを使用できます。
ソフトを用いる場合、パソコンを分解したり、ストレージを物理的に破壊するための専用機器を用意したりする必要がなくなるため、比較的労力をかけず、初心者でもデータを消去しやすい点が強みといえます。
しかし、初めに触れたとおり、データ消去ソフトを用いる場合はパソコンが起動できる状態である必要があるため、故障によって起動できない状態である場合は、別の方法で行う必要があります。
別のパソコンを使って消去する
使用していたパソコンが起動しない場合でも、ストレージ自体が故障していなければ、取り外して別のパソコンに接続し、データ消去ソフトで消去できる可能性があります。
パソコンが操作できないケースでもデータ消去ソフトを利用できる点が便利なものの、パソコンがもう1台必要になる点や、ストレージ自体が故障していると実行できない点などに注意が必要です。
ストレージを磁気で破壊する
ストレージがHDDの場合は、磁気ディスク (磁性体) に強い磁気を与えて破壊することで、データを消去することが可能です。
ストレージが破損して起動できない場合でも消去できる点は、大きな利点といえます。
磁気による消去には、デガウサー (業務用磁気消去装置) などの専用機器が必要です。
導入コストが高く、取り扱いにも注意が必要なため、社内での対応は難しく、専門業者へ依頼するのが一般的です。
一方、SSDは磁気ディスクを使用しない構造のため、磁気による消去はできません。
このため、物理的に破壊するか、データ消去ソフトを使って対応する必要があります。
データ消去業者に依頼する
ここまでご紹介したとおり、パソコンが起動できず、ストレージ自体の破損が疑われる場合に、データ消去を確実に行うには物理的にストレージを破壊する方法が適しています。
ただし、この方法には専用の機器や専門的な知識・技術が求められるため、自社で行うのは負担が大きく、対応が難しいケースがあります。
このとき、データ消去の専門業者に依頼し、データ消去を代行してもらう方法も挙げられます。
データ消去業者に依頼することで、セキュリティー対策が徹底された環境で、専用機器を用いてデータを消去できるため、自社でのデータ消去が不安な方におすすめです。
しかし、「社内の重要なデータを外部業者に預けるのは不安」「本当に業者を信用してよいのか?」と懸念する方も多いでしょう。
以下の記事では、パソコンのデータ消去を業者に依頼するか迷っている方に向けて、業者選びの際に確認すべきポイントなどをまとめているので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
パソコンのデータ消去は業者を信用して任せられる?検討時のポイントを紹介
パソコンのデータ消去をする前に確認すべき点
ここまで、壊れたパソコンのデータ消去方法をご紹介しました。
パソコンが正常に動作しなくなった際は、出力機器を変えたり、外部機器を取り外してみたりすることで、再び動作する可能性があります。
「壊れてしまった」と判断してデータ消去を行う前に、まずは以下の点もご確認ください。
出力機器を変えてみる
パソコンから音は聞こえるのに画面が映らない場合は、ディスプレーや、ディスプレーとパソコンをつなぐケーブルが故障している可能性があります。デスクトップパソコンの場合は、別のディスプレーにつないだり、ケーブルを交換してみたりして、画面が映るかを確認しましょう。
ノートパソコンの場合は、外部ディスプレーに出力した際に画面が映るかを確認します。
このとき、外部ディスプレーに正常に画面が表示された場合はノートパソコンの液晶に異常が、外部ディスプレーにも画面が表示されなかった場合はノートパソコンの内部に異常があると判断できるでしょう。
電源の接続状況を確認してみる
パソコンが起動しない場合は、電源まわりに異常が生じている可能性があります。
電源がパソコンにつながっていたとしても、ACアダプターや電源ケーブルが故障していたり、正しく接続できていなかったりした場合、給電ができずパソコンを起動できない可能性があります。
十分に給電されておらずパソコンが起動しない可能性も考えられるため、別のACアダプターや電源ケーブルに接続した上で、パソコンが起動するか試してみるとよいでしょう。
外部機器を取り外してみる
外付けのストレージやマウス、キーボードといった外部機器に不具合が生じており、パソコンの動作に影響を与えている可能性もあります。
ディスプレーや電源に異常が見られない場合は、パソコンの電源が切れていることを確認した上でこれらの外部機器を一度取り外し、再度電源を入れることで正常に起動・動作するかをご確認ください。
正常にパソコンが動作した場合は、一つずつ外部機器を接続し直し、どの機器が原因であるかを特定しましょう。
壊れたパソコンの廃棄方法
上記では、「パソコンが壊れた」と思ったとき、データ消去を行う前に確認しておくべき点をご紹介しました。
これらを確認してもパソコンが正常に動作しない場合は、故障している可能性が高いため、修理またはデータ消去を行った上での廃棄が必要です。
壊れたパソコンを廃棄する際は、主に以下のような方法が挙げられます。
- パソコンを購入したメーカーに引き取ってもらう
- 産業廃棄物処理業者に依頼する
- リサイクル業者に依頼する
パソコンを購入したメーカーに引き取ってもらう場合は、そのパソコンについて熟知している業者によって処分してもらえるため、安心して依頼しやすいでしょう。
ただし、メーカーに引き取ってもらう場合でも、データ消去は回収前に自身で済ませておく必要があります。
リサイクル業者や産業廃棄物処理業者は、自治体によっては推奨する業者を紹介しているケースもあるため、自治体の公式サイトなどを見ながら信頼できる業者を探すのがおすすめです。
法人利用のパソコンの廃棄方法について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
法人でパソコンを廃棄する方法は?具体的なルールや注意点を紹介
壊れたパソコンを廃棄するときの注意点

ここまで、壊れたパソコンの廃棄方法をご紹介しました。
壊れたパソコンを廃棄する際は、パソコン内のデータを完全に消去するだけではなく、IT資産管理台帳を更新するなどほかにも対応するべきことがあるため注意が必要です。
壊れたパソコンを廃棄するときの注意点について具体的には、以下のとおりです。
データ消去業者や廃棄業者の信頼性を確かめる
データ消去業者や廃棄業者を選ぶ際は、信頼性の高い業者を選びましょう。
「処分費用が安い」「すぐに対応してもらえる」など安易に決めてしまうと、業者によっては適切な方法で処分してもらえず、消去しきれなかったデータが外部に流出してしまう可能性もあります。
そのため、業者を選ぶ際はすぐに決定するのではなく、パソコンの処分後に作業報告書や作業証明書といったレポートを提出してくれる業者であるか、データ消去に関するガイドライン (NIST SP800-88) に沿ったデータ消去を行ってくれる業者であるか、データ消去を行う環境のセキュリティー対策が徹底しているか、といった点を業者の公式サイトなどで確認し、信頼できる業者に依頼しましょう。
また、ほかの業者と比べてあまりにも価格が安い業者などは、適切な方法でデータ消去やパソコンの処分を行っていない可能性もあるため、複数業者の費用も確認した上で、相場とかけ離れていない業者を選ぶことをおすすめします。
参照:媒体のデータ抹消処理 (サニタイズ) に関するガイドライン|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
Windows Autopilot を利用している場合はデバイスIDを削除する
Windows Autopilot を利用している場合は、パソコンを廃棄する際に該当のデバイスIDを削除し、Microsoft Intune への登録内容を削除する必要があります。
デバイスIDを削除しないまま廃棄し、万が一第三者の手に渡った場合、自社のセットアップ画面が表示され情報漏えいにつながる恐れがあるため、必ず Microsoft Intune の管理センターからデバイスIDの削除を行いましょう。
Windows Autopilot や、デバイスIDの削除については以下の記事をご確認ください。
Microsoft 365 Windows Autopilot とは?デバイスリセットや回復、拡張サポートの魅力
なお、当社が提供するパソコン運用を支援するソリューション「Cotoka™ for PC 」では、Windows Autopilot によるパソコンの自動セットアップが機能の一つとして含まれています。
パソコン廃棄時の Windows Autopilot におけるデバイスIDの削除は当社で代行いたしますので、ご安心ください。
さらに、Cotoka for PC ではヘルプデスクも含まれており、日々の運用管理業務を幅広くサポートします。
これにより、IT担当者の業務負担を大幅に軽減できます。
Cotoka for PC については、以下のページをご確認ください。
IT資産管理台帳を更新する
パソコンを処分した際は、IT資産管理台帳の更新を欠かさず行いましょう。
更新を怠った場合、本来は管理していないパソコンが管理台帳に記載されていることで、パソコンの台数を誤って認識してパソコンの不足が生じるなど混乱を招く可能性があります。
そのため、IT資産管理台帳に記載されている内容はパソコンを処分してすぐに更新し、常に正確な内容を維持するよう心がけましょう。
なお、IT資産管理台帳は、Excel などの表計算ソフトを使ってシートを作成する以外にも、ツール上で管理することも可能です。
当社の「Simplit Manager™」は、「利用者管理・物件管理・所在管理・契約管理」をひとつの台帳で一元管理できる、クラウド型のIT資産管理サービスです。
専用の棚卸しツールをパソコンにインストールすることで、パソコンのインベントリ情報を自動的に取得することも可能です。
これにより、台帳の精度をさらに高めながら、日々のIT運用業務を効率化できます。
本サービスは、ユーザー企業に無料で提供しています。
詳しくはぜひお問い合わせください。
※ご利用に際して、当社での審査がございます。
パソコンのデータ消去・管理の負担を軽減するならレンタルがおすすめ
ここまで、壊れたパソコンのデータ消去方法や廃棄時の注意点などをご紹介してきました。
パソコンが壊れて起動しない場合でも、ストレージの物理破壊などによるデータ消去が求められます。
しかし、専用機器や専門的な知識が求められるため、社内で対応するのが難しいケースがあります。
さらに、Microsoft Intune からデバイスIDを削除したり、廃棄後に管理台帳からパソコンの情報を削除したりするなど、作業が煩雑化しIT担当者の負担が大きくなりやすいです。
そういったIT担当者の負担を減らしつつ、パソコンの調達から運用、リプレース (廃棄) まで安全に実施したい場合は、パソコンのレンタルサービスを利用するのも一つの手です。
当社のパソコンレンタルサービスでは、返却時にお客さまの責任でデータ消去作業をお願いしていますが、安心してご利用いただくためデータ上書きなどデバイスごとに適切な作業を実施しています。
なお、パソコン上の複数回のデータ上書き (消去) サービスや作業報告書の発行も有償オプションで提供しています。
また、使い終わったパソコンは当社に返却いただくため、廃棄時の面倒な手続きは不要です。
IT担当者のパソコン運用にかかる負担を減らしながら、安全なパソコン運用を実現したい方は、ぜひパソコンレンタルサービスの利用もご検討ください。
パソコン内にデータを残さないデータレスPC™ もおすすめ
この記事では、壊れたパソコンでもなぜデータ消去が必要なのかを明らかにし、安全な消去方法や廃棄方法、廃棄時の注意点まで、具体的にご紹介しました。
パソコンが起動せず、一見壊れたように思えるパソコンであったとしても、パソコン内部のストレージは正常に動作しており、データへのアクセスや取り出しができる状態である可能性もあるため、第三者によるデータの窃取や情報漏えいを防ぐためにも、必ずデータ消去を行った上で廃棄しましょう。
「パソコン内のデータが消去できているか不安」「日頃から重要なデータをパソコン本体に残しておくのが不安」といった方は、パソコンのデータをローカルディスク上に残さない「データレスPC 」の導入もおすすめです。
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利用時には必要なデータのみがダウンロードされるため、通常のPCと変わらない操作感で使用できます。
これにより、パソコン本体に企業の重要なデータを保持せずに運用できるため、廃棄時のデータ消去の負担軽減だけでなく、日常的に潜むパソコンの盗難や紛失によるセキュリティーリスクも避けられるでしょう。
データレスPC については、以下のページをご確認ください。