新人IT担当者必見!【バックアップ】基礎知識編!その1

作成日:2023/03/02

お役立ちコラム

新人IT担当者必見!【バックアップ】基礎知識編!その1

新人IT人材向けに【バックアップの基礎知識】についてお送りしたいと思います。
第1回の今回は、そもそもバックアップとは何なのか、なぜ必要なのかといったところから、専門用語やその概念、目的に合わせた方法や手段について取り上げます。

そもそも、バックアップとは何でしょうか

みなさん、しっかりバックアップしていますか?

筆者の場合、業務はもちろんプライベートでもパソコンやスマートフォン、タブレットなどを利用しており、メールやメッセージ、家族の写真など、日々大切なデータが増えています。
データによっては、アプリケーションやシステムのおかげで勝手にクラウド上にバックアップが生成されたりしますが、自分で DVD-R や Blu-ray などの光学メディアにバックアップを取ることも多々あります。

業務でも、大切なデータは個人フォルダの他にチームフォルダにコピーするなどしていますが、何でもかんでもコピーしているとドライブやサーバーの空き容量がひっ迫してしまい、どうにもならなくなってしまいます。
また、個人レベルでできることは「データ損失」に対する対策であって、「データ紛失」や「データ破損」に対する根本的な対応策にはなっていません。

企業において本当に必要なのは、「計画的」かつ「確実に」「バックアップを取る」ということですから、担当者レベルで工夫しているようなことは、企業に必要なバックアップとは呼べません。
では、「企業にとって必要なバックアップ」とはどのようなものでしょうか。
まずは、企業でどのようなデータが扱われているのかについて考えてみましょう。

企業が扱うデータの特徴

企業システムで扱われるデータの特徴としては、まずデータの数そのものが多い事です。
少し古いデータになってしまいますが、2014年に総務省が公開した【平成26年版 情報通信白書】によれば、2005年から2013年の8年間で、企業のデータ流通量は約8.7倍 (同期間の年平均伸び率は27.1%) に拡大しているそうで、劇的な右肩上がりになっていることがわかります。

出典元:総務省「企業のデータ流通量の推移結果」より抜粋

企業で働く人の数が増えれば、それだけ生成されるデータの数が増えることになります。
Webサイト一つとっても、さまざまなコンテンツやアプリケーション、ログファイルなどは個人の比ではないでしょう。

また、データベース (以下、「DB」という) などを利用したシステムが運用されていれば、さまざまなデータが格納されることになり、容量的にもかなり大きなものになると思います。

さらに、DBは日々更新され続けていくため、利用されていないタイミング (静止点) でなければバックアップを取ることができません。

ある程度のシステム規模になると、専用のソフトウエアを使用してバックアップ運用している場合がほとんどです。

では、どのようにして「計画的」かつ「確実に」「バックアップを取る」のでしょうか。
そのためには、まずバックアップからデータを戻す「リストア」と「リカバリー」について考えなければなりません。

「リストア」と「リカバリー」

データ損失に備えてデータをコピーしておくことを「バックアップ」と説明しましたが、データ損失が起きた際にコピーしておいたデータから戻すことを「リストア」と言います。

個人のデータをフォルダからフォルダへコピーするのは容易ですが、「リストア」の場合は「常に稼働しているシステム」のデータという扱いの難しさがあり、単純に戻すだけでは終わらないケースも多くあります。
また、「リストア」が必要とされるシーンは何かしらのトラブルに起因していることが多く、対応にスピードを求められることがさらに難しいところです。

リストアとともに「リカバリー」という単語もよく聞かれるのではないでしょうか。
「リストア」は、バックアップしたデータをバックアップした状態でそのまま戻すことを指しますが、「リカバリー」は戻したバックアップデータに「何らかの処理」を加えデータを正常化・最新化することを指します。

【リストア・バックアップ 説明イメージ】


言ってみれば、「リストア」はデータ復旧の作業、「リカバリー」はシステム復旧の作業といった感じです。

「RPO」と「RTO」

さて、バックアップについて考えるには「リストア」と「リカバリー」についても考えなければならないという説明をしましたが、もうひとつ「RPO」と「RTO」についても説明します。
「リストア」や「リカバリー」でデータやシステムを復旧するとして、「どの時点」のデータやシステムを、「いつまでに」戻すのかも重要なポイントです。

「RPO」は「Recovery Point Objective」の略で、障害が発生した時、過去の「どの時点まで」のデータを復旧させるかの目標値になります。
例えば、毎週の特定曜日に更新されるファイルであれば、最後に更新されたタイミングまで戻すことができれば良いので「RPO=1日」が最短となります。

逆に24時間365日、連続的にサービスを提供するような場合では、復旧時に停止直前までのデータが求められるため「RPO=0秒」となることも多々あります。

「RTO」は「Recovery Time Objective」の略で、障害発生時から「どれくらいの時間で」データを復旧させるかの目標値です。
「RPO=1日」のデータがあったとして、その復旧に3日も4日もかかっていたのでは、大変な損失を生んでしまいます。
ましてや「RPO=0秒」のデータやシステムに至っては、即時復旧できるように対策をしなければなりません。

【RTO・RPO 説明イメージ】


「RPO」も「RTO」も【バックアップ】について考える上では非常に大切な概念ですので、ぜひとも覚えておいてください。

そもそも障害を起こさないようにする【冗長化】

バックアップ以外にも耐障害性を向上する対策はいくつかあります。
例えば、業務処理システムで障害が起きたとして、1時間に10万円の受発注を行うシステムがあったとします。
障害の影響で1営業日ストップしたとして8時間が営業時間であれば80万円の損失になります。
復旧までの時間が延びれば延びただけ、当然損失は積みあがってしまいます。

そのような事態を避けるため、業務処理システムを稼働させるAサーバーとBサーバーを用意しておき、Aサーバーで障害が起きたときに、すぐにBサーバーに切り替えることでシステムの停止時間をできる限り短くしようというのが【冗長化】という対策です。

【冗長化 説明イメージ】


この考え方はサーバー自体の内部構造にもあり、データを保存する HDD や SSD などのストレージについては、ディスクを複数搭載して RAID (Redundant Array of Inexpensive Disks:リダンダント・アレイ・オブ・インエクスペンシブ・ディスクズ) を構成することや、ネットワークにつながる NIC (Network Interface Card:ネットワーク・インターフェース・カード) や電力を賄う PSU (Power Supply Unit:パワー・サプライ・ユニット) などを複数搭載したりして、機械的な不具合が起こっても困らないよう、各パーツ類が【冗長化】されていることがほとんどです。

また、前述のように、RTO は「いつまでに復旧するのか」の目標値を考えて設定するわけですが、当然のようにRTOが短い (目標設定が高い) ほど、そのコストは高くなります。
HDD や SSD、NIC や PSU も、サーバー向けの精密な製品は1個で数万円から数十万円以上になることもあり、予算や費用対効果を考える必要があります。

「RPO」や「RTO」も、利益損失を最小限にとどめるためには、SLA (Service Level Agreement) などの契約で定められたペナルティーや、提供しているサービスの状況、その費用対効果を考えて定めておくことが必要不可欠といえます。

まとめ

今回は「バックアップの基礎知識編その1」という事で、そもそも「バックアップ」とは何なのか、企業体においての「バックアップ」の考え方、用語や概念について取り上げさせていただきました。

次回のコラムでは「バックアップの基礎知識編その2」として、バックアップの方法や形式、種類や記憶媒体など、もうちょっとだけ専門的な話に進んでいきたいと思います。

また、これまでに「バックアップ」について取り上げてきたコラムについては、以下のようなものがありますので、ご興味のある方はぜひともご覧ください。

おまけ

当社では、ハイブリッドIT環境においてどこでもサーバー管理ができるデジタルタッチポイントサービス「 Yellow Dash Support 」を展開しています。
このサービスではITインフラに関する情報を一元管理する Yellow Dash 構成管理も提供しています。

筆者

娘とカミさん大好きマン (横河レンタ・リース株式会社 営業統括本部 ITS&システム営業推進本部 システム営業技術支援部)
主な業務は、構成支援、問い合わせ対応、コラム・メルマガ作成など。
まな娘と、ビールと、ラウドミュージックと、もちろん妻も愛してやまない、アラフィフパパです。

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