新人IT担当者必見!【バックアップ】基礎知識編!その3

作成日:2023/04/28

お役立ちコラム

新人IT担当者必見!【バックアップ】基礎知識編!その3

「新人IT担当者必見!【バックアップ】基礎知識編!」と題してお送りしてきた本シリーズも今回でいよいよ最終回!
その1では、そもそもバックアップとは何かという問いかけから始まり、リストアとリカバリーの違い、RPO や RTO などの専門用語やその基本概念についてまとめました。
その2では、バックアップの「方法」や「種類」「形式」、それぞれのメリット・デメリットについて、ちょっとだけ専門的なお話に踏み込んで取り上げました。
もし、いまこちらのコラムをご覧の方でまだ未読の方がいらっしゃいましたら、ぜひともこの機会にご覧ください。

今回は、バックアップの適切な保存先とは一体どこなのか?
昔ながらのテープやHDD、クラウドストレージなど、さまざまな保存先の特徴をおさえ、最適な保存先について考えていきましょう!

バックアップの保存先、DVDやUSBメモリでは、なぜいけないの?

バックアップの保存先には、DVDやUSBメモリなど手軽に利用できるメディアがありますが、企業や自治体などの重要なデータを扱う場合には信頼性の高いメディアを利用する必要があります。
10TB程度のストレージで100万円以上もするような製品もありますが、信頼性が高く企業に必要なバックアップの場合は、価格だけでなく製品の質や機能も考慮して製品を選定することが求められます。

DVD、USBメモリのイメージ


また、バックアップのよくある問題として、オフィスが火災に襲われた場合や書き込み速度が遅い場合、複数の拠点で管理する場合などが挙げられます。
これらの問題に対しては、バックアップを他の場所に保管する、書き込みの速いメディアを利用する、自動バックアップの仕組みを構築するなどの対策が必要です。

ただし、多少費用がかかっても信頼性の高いバックアップを行うことが重要であるため、手軽なメディアや手動で行う方法ではなく、信頼性が高く、自動化されたバックアップの仕組みを構築することが求められます。
ビジネスにおいて、バックアップは非常に重要な要素であり、その信頼性が失われると企業にとって致命的な結果をもたらす可能性があるため、十分な対策を講じることが必要です。

まずはそれぞれのメリット・デメリットを知ろう!

データを保存する方法には、テープ、ハードディスク、クラウドストレージの三つがあります。
それぞれのメリットとデメリットを正しく把握し、使い分けることが重要と言えます。

テープの主なメリットとしては、USBやDVDと比べて大容量で高速であること。
故障率が低いので、遠隔地での長期保管に向いていることです。
また、オートテープローダーを使用することで、テープカートリッジの交換も自動で行えます。
しかし、データ量が大きくない限りは比較的高額であり、設置場所の問題や定期的なクリーニングの必要性が懸念されます。

ハードディスクの場合は、データの書き込み速度が速く迅速な復旧が可能であること。
高度な重複排除機能が使用でき、データを圧縮して保存できるため、大容量データのやり取りを行う企業に向いています。
しかし、初期導入費用が高額になること、遠隔地での長期保管には向かないなどのデメリットがあります。

クラウドストレージのメリットは、なんといっても初期投資が少なく導入がスムーズで運用の手間が省けるため、IT技術者が少ない企業でも簡単に導入できることでしょう。
また、従量課金で料金が固定されないため、必要なサービスを組み合わせて使うことができ、無駄がありません。
ですが、インターネットにつながらないオフライン環境下では利用できません。
データの書き込み速度も遅く、セキュリティーリスクやデータ損失の恐れもあります。

保存先ごとのメリット・デメリット
  メリット デメリット
テープ
  • USBやDVDと比べて大容量かつ高速。
  • 故障率も低く、災害対策として遠隔地での
    長期保管に向く。
  • テープカートリッジ交換もオートテープローダーという
    機器を導入でカートリッチを自動で交換してくれる。
  • データ量が大容量でない限り、比較的費用がかかる。
  • テープライブラリーやオートローダーの使用時は
    設置場所を確保する必要がある。
  • 磁気ヘッドに付着するゴミを除去するため、
    定期的なクリーニングが必要となる。
ハードディスク
  • データの書き込み速度が高速で、迅速に復旧することが
    可能。
  • 高度な重複排除機能が使用でき、データを圧縮して
    保存できる。
  • 大容量のデータのやり取りを行う企業に向き、
    ストレージの統合的管理を実現できる。
  • 初期導入費用がかかるため、中小企業では導入しにくい。
  • 遠隔地での長期保管には向かない。
クラウドストレージ
  • 初期投資が少なく、導入がスムーズ。
  • 運用の手間が省けるため、技術者の少ない会社でも
    気軽に利用できる。
  • どの端末からでもアクセスできる。
  • 従量課金で料金が固定されない。
    バックアップ対象のマシンの増減に合わせて
    サービスを選択できるため無駄がない。
  • インターネットにつなげられないオフライン環境下では利用できない。
  • データの書き込み速度が遅く、大容量のバックアップには不向き。
  • オンプレミス環境ほどインフラのカスタマイズができない。
  • テープ / ストレージよりもセキュリティーリスク・データ損失の恐れがある。

近年、クラウドストレージは、バックアップ先として必ず候補に挙がる保存先の一つです。
利用しているクラウド環境に合わせたデータフォーマットに変換しながらバックアップすることで、さらに利便性を高めることも可能です。

物理環境、仮想環境、クラウド環境でのバックアップの違い

クラウドストレージの話が出ましたので、物理環境、仮想環境、クラウド環境の違いによるバックアップの取り方についても触れておきたいと思います。
物理環境では、バックアップの対象となるサーバー自体にバックアップエージェントをインストールし、バックアップ対象のデータをサーバーから直接取得する方法が一般的です。

物理環境のバックアップイメージ


仮想環境の場合は、仮想化ソフトウエア上で各仮想マシンがファイルとして扱われるため、大きく分けて2通りの方法があります。
よく用いられるのは、ハイパーバイザー側から仮想マシンをまるごとバックアップする方法です。
物理サーバーで行われるイメージバックアップのように、仮想マシンのイメージファイルを取得することで、仮想マシン全体をそのままバックアップ・レプリケーションしておくことが可能です。

また、データベースなど特にデータ整合性を重視するものは、物理環境と同じくOSにエージェントをインストールし、バックアップを取得する方法も利用されます。

仮想環境のバックアップイメージ


クラウド環境では、物理的にバックアップを取る場所がないため、クラウド上にバックアップデータを保存する必要があります。
クラウドストレージサービスを利用して、クラウド環境のデータをクラウド上で保管することが一般的です。
クラウドストレージサービスは、データの保管先をユーザー自身が選ぶことができるため、リージョンや可用性、ストレージタイプなどの条件に合わせて最適な保管先を選択することができます。
また、バックアップ先のストレージ容量を必要に応じて自由に追加できるため、柔軟なバックアップ環境を構築することができます。

一方で、クラウドストレージサービスを利用する場合には、セキュリティー上の懸念やインターネット回線の速度による影響でデータ量が多い場合にはバックアップの完了までに時間がかかることがあります。
また、クラウドストレージサービスを利用する場合は、通信費用が発生するため、コスト面を考慮する必要もあります。

以上のように、バックアップの取り方には環境によって違いがあり、物理環境、仮想環境、クラウド環境によって異なるバックアップの取り方や保存先の選択肢があります。
環境に合わせて最適なバックアップ手法を選択することで、安全に重要なデータを保管することが可能となります。

まとめ

今回は「バックアップの基礎知識編その3」として、バックアップの保存先にはどんなものがあり、どんなメリット・デメリットがあるのか?
また、物理環境、仮想環境、クラウド環境、そのバックアップの違いについてもまとめてみました。

最適な保存先を考えるには、システムを利用している環境、バックアップ設計において重視するポイント等、それぞれの特性に合わせてメリット・デメリットを正しく把握したうえで、慎重に選択することが肝要です。

さて、全3回にわたってお送りした「バックアップの基礎知識編」ですが、前回の「バックアップの基礎知識編その2」、前々回の「バックアップの基礎知識編その1」の他、以下の記事も皆さまのお役に立てば幸いです。

おまけ

横河レンタ・リースでは、ハイブリッドIT環境においてどこでもサーバー管理ができるデジタルタッチポイントサービス「 Yellow Dash Support 」を展開しています。
このサービスではITインフラに関する情報を一元管理する Yellow Dash 構成管理も提供しています。

筆者

娘とカミさん大好きマン (横河レンタ・リース株式会社 営業統括本部 ITS&システム営業推進本部 システム営業技術支援部)
主な業務は、構成支援、問い合わせ対応、コラム・メルマガ作成など。
まな娘と、ビールと、ラウドミュージックと、もちろん妻も愛してやまない、アラフィフパパです。

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