情シスの主な課題や解決に必要なこと、役立つ施策を解説
PC管理
- 公開:
- 2024/06/25
- 更新:
- 2025/12/23
「人手不足」「問い合わせ過多」「セキュリティー対応」「DX推進」など、年々増え続ける業務を限られた人数で回し続けることを求められています。
しかし現実には、人を増やしたくても採用できない、外注やツール導入はコスト面で承認が下りない、現場からは“すぐ対応してほしい”と求められる
といった状況に置かれ、限られた人数で業務を回し続けなければならないケースも少なくありません。
本記事では、情シスが直面しやすい課題を整理したうえで、人も時間も増えない前提で業務を回すための考え方と施策を解説します。

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情シスの役割
情報システム部門 (情シス) は、社内のIT環境を安定して運用する役割を担う部門です。
従来は、社内PCやサーバーの管理、基幹システムの運用・保守、トラブル対応といった「社内ITの管理」が主な業務でした。
しかし近年では、情シスに求められる役割は大きく変化しています。
クラウドサービスの活用やDX推進が進む中で、情シスは単なるシステム管理部門ではなく、業務効率化や情報活用を支える役割を担うようになりました。
また、サイバー攻撃の高度化や働き方の多様化により、セキュリティー対策やデバイス管理、ITガバナンスの強化といった責任も増しています。
そのため現在の情シスは、「システムを動かす」だけでなく、企業活動全体を下支えする存在として、幅広い業務を同時に担っています。
こうした役割の拡大が、情シスの業務量や負担の増加につながっている点も見逃せません。
情シスを取り巻く環境
情シスを取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。
DXの加速やサイバー攻撃の増加、働き方の多様化などを背景に、情シスに求められる役割や責任は拡大しています。
本章では、こうした変化を実際の調査データをもとに整理していきます。
国や企業全体にDX強化が求められている
情シス部門の業務が拡大している背景には、国や業界全体でDXが強く求められていることがあります。
IPA (独立行政法人 情報処理推進機構) の「DX動向2025」では、多くの企業がDXを経営課題として認識しており、IT部門には単なるシステム運用担当ではなく、業務改革を支える存在としての役割が期待されていることが示されています。
サイバー攻撃の激化
近年はランサムウエアをはじめとするサイバー攻撃が増加しており、警察庁サイバー警察局が公表している「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」からも直近約3年間で被害が増えていることが分かります。
既存の対策を講じていても、次々と新たな手口が生まれ、高度な技術を悪用したサイバー攻撃の脅威は拡大し続けています。
こうした脅威に対応するためには、発生時の対処だけでなく、日常的な監視や運用、社内ルールの整備、従業員への啓発など、継続的なセキュリティー対策が不可欠です。
ハイブリッドワークの定着
これに加えて、2025年3月に発表された「令和6年度 テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」によると、首都圏での雇用型就業者のテレワーカー(雇用型テレワーカー)の割合は36.8%で、コロナ禍前の2019年よりも高い水準を維持しており、テレワークが新たな働き方の一つとして取り入れられています。
同調査における「継続意向のある雇用型テレワーカーの実施希望頻度と現状の実施頻度」においては、多くの企業が週1日以上の出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークを実施しています。
このように、現在はテレワークやハイブリッドワークの形態で業務が行える企業も多く、情シスは出社時とテレワーク時それぞれでの勤務時におけるデバイスの管理や、セキュリティー対策などの対応に追われています。
多様な背景より、情シス部門は「DX推進」という攻めの役割と、「セキュリティー対策」という守りの役割を同時に担うことになり、業務の量・質ともに大きく増加しています。
情シスが抱える主な課題
多くの企業において、情報システム部門 (情シス) は慢性的な人手不足と業務量の増加という課題を抱えています。
DX推進やセキュリティー対策の高度化、働き方の多様化などにより、情シスの役割は年々拡大している一方で、十分な体制を整えられていない企業も少なくありません。
業務範囲の拡大に体制が追いついていない
近年、情シス部門の業務範囲は大きく拡大しています。
従来は、社内PCの管理や基幹システムの運用・保守といった定常業務が中心でしたが、現在ではそれに加えて、DX推進、クラウドサービスの活用、情報セキュリティー対策、ハイブリッドワークの環境の整備など、企業活動全体を支える役割を担うようになっています。
人手不足が慢性化している
業務が高度化・多様化する一方で、それを担う人材の確保は容易ではありません。
IPA の「DX動向2025」によると、2024年度にDXを推進する人材の「量」が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業は合計で85.1%にのぼり、IT人材不足が慢性化していることがわかります。
また、同調査では、DXを推進する人材の「質」が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業は合計で86.1%にのぼり、人数だけでなく、十分な知識やスキルを持った人材が確保できていない点も課題として挙げられます。
PC運用・管理業務が現場負荷を押し上げている
このような状況は、PC運用・管理業務において特に顕著です。
当社が公開している「業務の責任者と担当者1,030名に聞いた PC運用・管理業務の『実態』調査レポート(2025年4月版)」によると、PC運用・管理部門における対応人員について「拡大傾向」と回答した企業は67.8%であり、人員そのものは増えている企業が多いことが分かりました。
2023年調査では「縮小傾向」が64.1%と多数派だったことを踏まえると、体制を見直す動きが進んでいることがわかります。
しかし一方で、現在の業務量については90.8%が「増量傾向」と回答しており、人員を増やしても業務量の増加に追いついていないのが実情です。
続きは、下記から確認いただけます。
※「2024年版 市場調査レポート」一部抜粋
属人化・ブラックボックス化が進んでいる
人手不足や業務過多の状態が続くと、特定の担当者しか対応できない業務が増え、属人化が進みやすくなります。
システム構成や運用ルールが複雑な環境では、担当者の経験や勘に頼った対応が常態化し、業務がブラックボックス化するリスクも高まります。
その結果、担当者不在時の対応遅延や引き継ぎの難航、対応品質のばらつきなど、組織全体のIT運用リスクにつながるケースも少なくありません。
このように、情シスは限られた人員の中で業務範囲と責任が拡大し続けており、従来のやり方だけでは対応が難しくなりつつあります。
情シスの負担を軽減する具体的な方法
情シスの「本来の業務に集中できない」「一人の負担が大きい」などの課題を解決するために必要なことは、次のとおりです。
企業全体でITリテラシーを向上させる
情シス部門の負担を軽減するためには、業務のアウトソースやツール導入だけでなく、社員一人ひとりのITリテラシーを底上げすることも重要です。
操作方法や社内システムのルールを理解していないことが原因で、本来は自分で解決できる問い合わせが情シスに集中してしまうケースは少なくありません。
近年では、社内FAQやマニュアルを整備するだけでなく、それらを参照しながら回答できるAIツールを活用し、社員が自ら調べて解決できる環境を整える企業も増えています。
例えば、
・パスワード再設定や基本操作に関する質問
・社内ルールや申請手順の確認
・よくあるエラーメッセージの意味
といった定型的な内容については、情シスに問い合わせる前に自己解決できる仕組みを用意することで、問い合わせ件数の削減と対応品質の向上を両立できます。
ITリテラシーの向上は、単に問い合わせを減らすためだけでなく、セキュリティー意識の底上げや、業務の属人化防止にもつながります。
企業全体で「ITを正しく使う力」を高めていくことが、結果として情シスの負荷軽減とDX推進を支える基盤となります。
業務内容やフローを見直す
情シスの業務は専門的なものも多いため、どの作業にどれくらいの時間がかかるかを経営層や現場の従業員は把握できていないケースも多いです。
担当している業務を洗い出し、所要時間や作業にあたって生じる課題を確認することで、「この作業がほかの作業のスケジュールを圧迫している」「本来の業務からは離れた業務が多い」など課題における原因究明や解決策の発見に役立ちます。
特に情シス業務は「緊急対応」と「定常業務」が混在しやすく、全体を俯瞰しないままでは、重要度の低い作業に時間を取られてしまう恐れがあります。
見直しができると、実際にこの作業は情シスがやるべきなのか、人がやるべきなのかといった仕訳けもできるでしょう。
特に定常的に発生するキッティング作業などは自動化できる業務の一つです。
『PCキッティングを自動化する方法とメリット・デメリットをあわせて紹介』で自動化する方法を紹介しています。
情シスの業務範囲を再検討する
情シスが本来の業務以外の作業も対応しているなど、業務内容が多岐にわたることで負担が大きくなり、時間やリソースを確保できていないケースも多いです。
このように情シスの業務範囲があいまいになっている場合は、一度すべての業務を見直しながら、本来の業務と他部署で行うべき業務を分類しましょう。
例えば、システム管理や社内インフラの構築、セキュリティー対策などは本来の業務として、そのほかに発生するヘルプデスク業務などを従業員自身や他部署に担当してもらったり、ツールやアウトソーシングしたりするなどの業務の分担が可能です。
情シスがすべてのIT関連業務を抱え込むのではなく、「どこまでを情シスが担い、どこからを仕組みや外部に任せるか」を明確にすることが、持続可能な運用体制づくりにつながります。
情シス業務のアウトソーシングについては、『情シス業務はアウトソーシングすべき?依頼できる内容や注意点を紹介』で紹介しています。
経営層に現状を理解してもらう
先述のとおり、情シスは経営層からコストセンターとして認識され、必要なコストやリソースを充ててもらえないケースも多いです。
人手不足が深刻化している場合は、経営層に業務体制やフローの現状を明確に伝え、理解を得ることが大切です。コストやリソースの確保を後回しにされてしまわないよう、情シス業務の重要性や、コストをかける必要性、人員補充を行うことで期待できるメリットなどをわかりやすく説明し、経営層からの協力を得られるよう動きましょう。
このように、情シスの課題を解決するためには業務内容の見直しや経営層への理解を得ることなどが必要となります。ほかにも、情シスの負担を軽減するためには、一つひとつの業務を素早くこなす必要があります。
具体的な方法については、『情シス業務を効率化する方法7選!実施時の注意点など詳しく紹介』 でご紹介しているため、あわせてご確認ください。
近年はDX推進やセキュリティー対策など、経営判断と直結するテーマに情シスが関わる場面も増えており、情シスを単なる運用部門として捉えること自体がリスクになりつつあります。
まとめ
この記事では、情シスの主な課題や課題が生じる背景、解決に必要なこと、役立つ施策などをご紹介しました。
情シスの業務は直接企業の売り上げや利益につながらないことから、必要なコストやリソースの確保を後回しにされてしまいがちですが、社内の基幹システムの管理やセキュリティー対策など重要な役割を担っているため、一人当たりの負担が増えすぎてしまわないよう企業全体で業務を調整するなどの取り組みも必要です。
なお、新入社員の入社時は、新しいPCの初期設定やアカウント作成、ネットワーク設定などのキッティング作業が発生します。
特に複数人が入社するときなどはこのようなキッティング作業の工数が増え、情シスの負担も大きくなります。
このような課題を抱えている場合は、横河レンタ・リースが提供する「Cotoka™ for PC」の利用がおすすめです。
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なお、PCトラブルに関する問い合わせ対応も当社で行っているため、PC運用中の工数削減にも貢献します。





