情シスの主な課題や解決に必要なこと、役立つ施策を解説

PC管理

公開:
2024/06/25
更新:
2024/08/19

情シスは、社内の基幹システムの管理やセキュリティー対策などITに関する幅広い業務を行います。
しかし、少人数で業務を行わざるをえない企業もあり、一人の担当者にかかる業務負荷の重さや業務の属人化などが課題となる企業も少なくありません。
この記事では、主な課題や課題が生じる背景、解決に必要なこと、役立つ施策などをご紹介します。

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情シスとは

情シスとは情報システム部門の略称で、社内の基幹システムや業務に関するシステムの管理、セキュリティー対策などを担っており、企業に欠かせない存在です。
情シスは、このようなコア業務以外にも、従業員からのデバイスやシステム利用に関する問い合わせ対応など幅広い業務に携わります。

情シスでは専門性や重要性の高い業務を行うものの、企業の売り上げや利益には直接貢献しないため、人員の確保が満足に行われず、1~3人ほどの少人数の担当者がすべての情シス業務をこなすケースも多いです。

情シスの役割

情シスは、社内で扱うIT機器やセキュリティーの管理を行う「運用管理業務」と、自社のDX化を進め、より効果的なIT戦略を考える「IT企画」の大きく分けて二つの役割を持ちます。

運用管理業務

運用管理業務は情シスのメイン業務であり、社内の基幹システムや業務で使用するさまざまなシステムなどの社内インフラの整備やセキュリティー管理、従業員が使用するIT機器の調達や初期セットアップ、アカウント管理、トラブル対応などの一連の業務が含まれます。

万が一トラブルが発生した際のメーカーへの問い合わせや各種システムとデバイスのアップデートや定期的なメンテナンスなども情シスの役割です。
新しいデバイスの導入やライセンス登録、デバイスの修理など、コストがかかる際はコストを最小限に抑えられるよう調整する必要があります。

IT企画

情シスでは、上記の運用管理業務以外にも、より収益力を高めたりするための新しいシステムやビジネスモデルの構築など、ITを活用した企画の立案・実行をします。

適切なシステムの導入やIT環境を実現することで、自社の売り上げや利益を効率よく上げられることにもつながるでしょう。
このように、ITを活用して自社のビジネスモデルを変革し、新たな価値を創出することを「攻めのIT」と呼びます。
攻めのITを実施する際には、古いシステムやブラックボックス化したシステムを積極的に刷新することがポイントです。

なお、大中企業の場合は、経営企画部門やDX推進部門といった専用の部署が設けられ、情シスの業務範囲に含まれないことがあります。

情シスが抱える主な課題

ここでは、人手不足による負担の増加や、コア業務に取り掛かる時間の不足など、情シスが抱える主な課題をご紹介します。

簡単な問い合わせが多い

情シスは従業員が使用するデバイスの使い方やトラブル、そのほかのITに関する問い合わせ対応を行います。
社内で各種マニュアルやFAQが整っていない場合、デバイスの説明書などを読めば解決するような簡単な問い合わせも頻繁に情シスへ届き、業務時間を圧迫することがあります。

特に、社内で情シスが「何でも屋」のような立ち位置になっている場合、あらゆる問い合わせが情シスに集中し、業務負荷が増えてしまいかねません。

量・質ともに人材が不足している

多くの企業では、情シスの人材不足が深刻化しています。
IPA (独立行政法人 情報処理推進機構) の「DX白書2023 エグゼクティブサマリー」によると、2022年度にDXを推進する人材の「量」が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業は合計で83.5%にのぼり、IT人材が不足していることがわかります。

なお、同調査では、DXを推進する人材の「質」が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業は合計で86.1%にのぼり、人数だけでなく、十分な知識やスキルを持った人材が確保できていない点も課題として挙げられます。

情シス業務を少人数で行わなければならない

ある程度従業員数の多い企業でも情シス業務を少人数で担う企業も少なくなく、かつ先述のとおり採用も難航している点が課題として挙げられます。
全国に拠点を持つ企業の場合、本社に属する情シス担当者がトラブルが起こった拠点に出張して対応するケースも見られ、情シスの負担増加にも影響します。

属人化が進んでいる

少数精鋭で情シス業務を行っている場合、特定の業務をこなせる担当者が一人しかいないなど、業務の属人化が進みます。
万が一担当者が不在のときに緊急の問い合わせ対応が発生した場合、素早い解決につながらず、業務に支障が出る恐れがあります。

また、属人化が進むと、担当者が休職や退職をする際、引き継ぎに時間がかかったり、後継の担当者が慣れないまま業務を行いスムーズに対応できなかったりすることもあります。

業務の相談相手がいない

少人数で情シス業務を行っている場合、情シス業務を個人の能力の範囲で行う必要があるため、業務によっては自身のスキルでは解決できない問題にも対応しなければならないことがあります。
このとき、ノウハウやナレッジを持つほかの担当者がいないことから、スムーズに解決へつなげることができず、業務の進行に影響を及ぼす可能性があります。
情シス担当者が一人で対応できない業務が増えてしまうと、情シスの負担が重くなるだけでなく、企業の生産性が低下することにもつながります。

業務量が多く本来の業務をこなせない

情シスが総務部などの下に属する場合、本来のシステム管理といった業務以外にも、総務部の業務など他部署で引き受ける業務も担当しなければならないことがあります。

情シス部門は業務の成果が売り上げや利益に直結しないため、成果や業務量を経営層が把握しづらいことが多いです。
さまざまな業務を情シスが引き受けることで、本来情シスが行うべき社内システムの管理やセキュリティー対策などの業務をこなす時間がなくなり、長時間労働や負担の増加につながります。

このように情シスへの負担が増えることで、早期離職につながるケースも少なくありません。
新しい担当者を採用しても、同様の業務負担がかかることで人が定着しづらい環境になるため、情シスの担当者が増えず結果的に少人数で多くの業務をこなし続ければならない悪循環が生じます。

また、先述のとおり多くの企業で情シスの「量」と「質」がともに不足していることが課題とされているため、企業の望む人材の採用が難しいことも少人数での業務に拍車をかけています。

問い合わせの対応スピードが求められる

情シスの人数が少ない場合、突然のトラブルが複数同時に発生したときに素早い対応が難しくなります。
特に情シスが対応するトラブルは業務で使用するデバイスやシステムの不具合や、従業員・顧客の個人情報の漏えいなど重要度の高いものが多いため、顧客からの信用に関わる場合もあります。

また、対応をスムーズに進められなかったときには情シスが責任を問われることもあり、情シスへのプレッシャーや責任の重さも課題として挙げられます。

セキュリティー対策や管理が追いつかない

さまざまなツールを導入したり、システムを入れ替えたりする頻度が高まると、情シスの管理業務やセキュリティー対策にかかる負担も増加します。
特に、このように頻繁に新しいシステムの導入を行っている企業の場合、情シスの管理が行き届いておらず、セキュリティー対策が不十分になっているケースも多いです。

情シスが緊急の問い合わせ対応などでリソースを割かれている場合、システムのアップデートや管理などの本来の業務が十分に行えず、ウイルス感染や不正アクセスなどのセキュリティーリスクが高まります。

複雑化するシステムに対応しなければならない

企業で扱うシステムは日々進化しており、それに伴い構成も複雑化しています。
システム構成が複雑化したシステムにトラブルが生じた場合、原因究明や復旧作業、再発防止の対策などに多くの時間や労力をかける必要があります。

最近ではクラウド型のシステムも普及し、オンプレミス型のシステムよりも管理がしやすくなりつつあるものの、社内でオンプレミス型とクラウド型のシステムが混在するなど、かえって管理業務が複雑化するケースも見られます。

ハイブリッドワークへの対応

2024年3月に発表された「令和5年度 テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」によると、首都圏での雇用型就業者のテレワーカー(雇用型テレワーカー)の割合は38.1%で、コロナ禍前の2019年よりも高い水準を維持しており、テレワークが新たな働き方の一つとして取り入れられています。

また、同調査における「継続意向のある雇用型テレワーカーの実施希望頻度と現状の実施頻度」においては、多くの企業が週1日以上の出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークを実施しています。

このように、現在はテレワークやハイブリッドワークの形態で業務が行える企業も多く、情シスは出社時とテレワーク時それぞれでの勤務時におけるデバイスの管理や、セキュリティー対策などの対応に追われています。

コストセンターと捉えられる

情シスは、業務に必要なコストのみがかかり、売り上げや利益を上げないコストセンターとして見なされることが多いです。

そのため、人手不足の解消のために業務をサポートするソフトや機器を導入したり、新規担当者を採用したりするためのコストを経営層からかけてもらえないことがあります。
このようなコストセンターとしての印象によって業務負荷などを聞き入れてもらえず、情シス一人に対する負担の増加や人手不足などの課題が深刻化します。

課題を抱えることになった背景

ここまで、情シスが抱える主な課題についてご紹介しました。課題を抱える原因として、次のような背景が考えられます。

コロナ禍で対応した業務の継続

2020年から2021年にかけて感染が拡大した新型コロナウイルスの影響により、テレワークを取り入れる企業が急増しました。
これにより、テレワーク環境でも業務が行えるよう対応に追われ、情シスの業務量が増加しました。

現在では、先述のとおりハイブリッドワークを採用する企業が多く、出社時・テレワーク時ともにスムーズに業務を進められるようどちらの環境も維持する必要があります。

そのため、コロナ禍におけるテレワーク導入時に対応した業務の一部は、情勢が落ち着いた現在でも継続して行わなければならないことから、情シスの負担を減らすことが難しくなっています。

主要なOSなどのサポート終了に伴う対応作業

社内のPCで使用している主要なOSやWebブラウザーのサポート期間が終了する際、新しいOSへのアップデート対応や、既存システムの改修、デバイスの入れ替えなどの作業が増えるだけでなく、新しく導入したデバイスやシステムのセットアップ対応に追われるようになります。

2010年以降、各ブラウザーはユーザー獲得のために頻繁なアップデートを行うようになりました。
これにより情シス担当者は、既存システムが新しいブラウザへ対応できるかの検証など作業が増加しました。

このように、主要なOSやブラウザーのサポート終了に伴い、急務に追われリソースが圧迫される情シスも多いです

働き方改革の推進

厚生労働省による「働き方改革」により、働く人々のそれぞれの事情に合わせて柔軟な働き方を選択できる環境づくりが推進され、法改正も行われています。
「働き方改革関連法」は2019年4月1日から順次施行されており、2024年4月には、建設事業や自動車運転を行う企業における従業員の時間外労働・休日労働に制限が適用されています。

ほかにも、時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制など従業員の事情に合わせた労働環境を提供しながらも、ワークライフバランスや企業の生産性を維持するためには、アナログで行っていた作業のデジタル化や自動化、適切なシステムの検討・導入などが求められます。

このように、働き方改革を推進するためには、従業員の勤務形態だけではなく、業務の進め方においても変化を促す必要があるため、経営層や従業員への説明や理解を得ることにもリソースを割く必要があります。そのため、働き方改革を進めることに伴い、情シスの負担はかえって増加してしまうケースも見られます。

「2025年の崖」レガシーシステムへの対応

「2025年の崖」は、経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」で挙げられた言葉です。
多くの企業でDX化が進む中、老朽化やブラックボックス化、複雑化した既存システムへの対応が求められるものの、業務そのものの見直し・改革などが発生することから現場の賛同が得られないケースがあります。
2025年の崖では、このような背景からDX化が進められなかった場合、年間で最大12兆円の経済損失が発生する可能性を示唆しています。

2025年の崖に陥らないよう、情シスでは現場の理解を得つつ、老朽化・ブラックボックス化・複雑化したシステムの入れ替えなどの対応作業を迅速に行う必要があり、大きな負担となっています。

課題解決によって得られる効果

情シスの課題を解決することで、社内システムをはじめとしたIT環境が安定化したり、本来の情シスの担当業務を集中して行えるようになったりするなどの効果が得られます。

本来の業務に集中できる

先述のとおり、情シスが社内において「何でも屋」のような立ち位置になっている場合、本来行うべき社内のシステム管理やIT環境の構築、セキュリティー対策などの業務が滞ってしまうことが多いです。
しかし、情シスの業務内容が見直され、一人にかかる負担が軽減されることにより、情シスが本来の業務に集中できるようになります。

社内のIT環境が安定化する

情シスの業務負担が減り、社内のシステム管理など本来の業務に集中して取り組めることで、アップデート対応が遅れているシステムが減り、トラブルにも素早く対処できるようになります。
そのため、社内のIT環境が安定し、トラブルが起こる確率も下げられるでしょう。
このように情シスの業務負担が減ることで、一つひとつの作業における対応の品質向上にもつながります。

DXを推進できる

情シスの中には、トラブル対応や問い合わせ対応でリソースが圧迫され、既存システムのアップデートや改修作業、新規システムの導入などに取り組む時間が確保できないケースもあります。
このような課題を解消し、情シス一人にかかる負担が軽減されることで、企業のDXを推進しやすくなり、DX化に伴う現場との交渉や新しいIT環境の構築にも時間をかけて取り組めるようになります。

情シスの課題解決に必要なこと

情シスの「本来の業務に集中できない」「一人の負担が大きい」などの課題を解決するために必要なことは、次のとおりです。

企業全体でITリテラシーを向上させる

従業員のITリテラシーが低く、あらゆる問い合わせが情シスに集中している場合は、企業全体でITリテラシーを向上させ、ある程度の疑問点は従業員が個人で解決できる環境を整えることが大切です。

例えば、社内のシステムの利用方法に関するマニュアル、FAQなどを用意することで、疑問が生じたときに確認し、自ら解決できるようになります。
また、ITに関する研修を行うことで従業員のリテラシー向上にもつながります。

このように企業全体でITリテラシーを高め、情シスへの問い合わせ数を減らすことで、業務負担の軽減が期待できます。

業務内容やフローを見直す

情シスの業務は専門的なものも多いため、どの作業にどれくらいの時間がかかるかを経営層や現場の従業員は把握できていないケースも多いです。
担当している業務を洗い出し、所要時間や作業にあたって生じる課題を確認することで、「この作業がほかの作業のスケジュールを圧迫している」「本来の業務からは離れた業務が多い」など課題における原因究明や解決策の発見に役立ちます。

情シスの業務範囲を再検討する

情シスが本来の業務以外の作業も対応しているなど、業務内容が多岐にわたることで負担が大きくなり、時間やリソースを確保できていないケースも多いです。
このように情シスの業務範囲があいまいになっている場合は、一度すべての業務を見直しながら、本来の業務と他部署で行うべき業務を分類しましょう。

例えば、システム管理や社内インフラの構築、セキュリティー対策などは本来の業務として、そのほかに発生するヘルプデスク業務などを従業員自身や他部署に担当してもらったり、ツールや外部企業に委託したりするなどの業務の分担が可能です。

経営層に現状を理解してもらう

先述のとおり、情シスは経営層からコストセンターとして認識され、必要なコストやリソースを充ててもらえないケースも多いです。

人手不足が深刻化している場合は、経営層に業務体制やフローの現状を明確に伝え、理解を得ることが大切です。コストやリソースの確保を後回しにされてしまわないよう、情シス業務の重要性や、コストをかける必要性、人員補充を行うことで期待できるメリットなどをわかりやすく説明し、経営層からの協力を得られるよう動きましょう。

このように、情シスの課題を解決するためには業務内容の見直しや経営層への理解を得ることなどが必要となります。ほかにも、情シスの負担を軽減するためには、一つひとつの業務を素早くこなす必要があります。

具体的な方法については、こちらの記事 でご紹介しているため、あわせてご確認ください。

まとめ

この記事では、情シスの主な課題や課題が生じる背景、解決に必要なこと、役立つ施策などをご紹介しました。
情シスの業務は直接企業の売り上げや利益につながらないことから、必要なコストやリソースの確保を後回しにされてしまいがちですが、社内の基幹システムの管理やセキュリティー対策など重要な役割を担っているため、一人当たりの負担が増えすぎてしまわないよう企業全体で業務を調整するなどの取り組みも必要です。

なお、新入社員の入社時は、新しいPCの初期設定やアカウント作成、ネットワーク設定などのキッティング作業が発生します。
特に複数人が入社するときなどはこのようなキッティング作業の工数が増え、情シスの負担も大きくなります。

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監修

横河レンタ・リース株式会社 マーケティング本部 CDセンター

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