Yellow Dash V3.1リリース、担当者インタビュー【属人化脱却、運用自動化への一手とは】

作成日:2024/03/01

お役立ちコラム

2024年1月31日 (水) にバージョン3.1がリリースとなった「 Yellow Dash (以降 YD)」と「 Yellow Dash Support (以降 YDS)」について、サービス責任者である、事業統括本部 システム事業本部 運用サービス部 部長 原 徹 (ハラ トオル) 氏にインタビューを敢行!
サービス責任者が赤裸々に語る、バージョンアップのポイントと、ITインフラサポートサービスのキモとは。
単なる構成管理ツールにとどまらない YD の進化と、ツールをフル活用することで可能になる、省力化、自動化の提案と属人化脱却への一手について。
また、単純な代行や委託ではない、YDS ならではの提案と効率化への取り組みについて、サービス紹介資料だけでは分からない、サービスへの思いについても聞いてみました。

「 Yellow Dash Support 」が提供するITインフラサポートサービスとは

筆者:本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます。
今日は、YDS とは何なのか、概要のところから実際に提供しているサービスや、先日リリースされた YD 3.1についてのお話をお伺いできればと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

原 徹:よろしくお願いいたします。
今更ですが、商品企画の方にお願いすればよかったと後悔している部分もないわけではない (笑) のですが、可能な限り分かりやすくお答えしたいと思います。

筆者:ありがとうございます (笑)
まずは、YDS の概要について、簡単にご説明いただけますか。

原 徹:はい。
YDS とは、YD というツールを使いサポートを提供する、新しい形のサポートサービスです。
YDS いうサービス名で、「サポート」という名前がついていますが、実際には「お客さまの運用を巻き取る」といったことを提供しており、日々の運用における中間管理プロセスを簡素化することをコンセプトとしています。
サービスとしては、従来のように何か障害が起こった時の対応をピンポイントで提供するというよりは、運用全体の管理プロセス、中間プロセスの負担軽減にフォーカス、サービスの特徴としています。

「 Yellow Dash Support 」サービス責任者:原 徹 運用サービス部長

例えば、サーバーを廃止する、廃棄するような場合には、いろいろな手続きや、保守やIPアドレス、メンテナンス記録の情報など、さまざまな管理資料のメンテナンスが必要になるかと思います。
そのような管理のための管理に対する負担、中間プロセスの煩雑なところに対して、YD を使ってシンプルにまとめていただくことで負担を減らしていこう、というのが狙いです。
そして、YD 自体もツールですから、YD を使うところに新たな工数がかかっては意味がないと思いますので、YD のメンテナンスや運用のところをわれわれのサービスにアウトソースしていただき、運用全体をスムーズにするサービスという位置づけで、YDS というメニューにしてご提供しています。

筆者:なるほど。
ある意味、一番面倒な管理プロセスや中間プロセスのところを、YD でまとめることで簡素化、さらに YDS のサービスメニューでツールの運用から一元的にお任せいただくことで、運用全体のスムーズ化を図れるサービスとしているのですね。
YD と YDS について、YD はツールの名称、YDS はサービスの名称ということですが、以前からである SIS というサービス (お問い合わせ対応サポート) も提供していますよね?
この SIS とのそれぞれの定義の違いなど、その辺りについてはいかがでしょうか。

原 徹:YDS は、以前から提供している「お問い合わせ対応サポート」の SIS に、別でご提供していた「構成管理サービス」の YD を組み合わせ、YD をお客さまと当社をつなぐ、「デジタルタッチポイント」としてサポートを提供し、運用も支援するサービスです。
Webポータルを経由した構成情報の一元管理とアカウント管理体制によって、ITインフラの「かかりつけ医」のようなサポートと運用の自動化を含めたハイブリッドIT環境の運用を支援いたします。

従来型から進化したサポートモデル Yellow Dash Support

従来の SIS は、基本的にトラブルの発生、障害の発生を起点として、どうアクションするかを考えていました。
しかし、実際の運用現場においては障害に対するアクションが100%といった部署はほとんどなく、多くの場合はインフラの管理や、日々の変更や受け入れなど、日常業務に関わる運用に多くの工数を使っています。
そのため、お客さまにとって本当に必要な部分に対応範囲を広げたい、ということから、まず管理部分に着目し、継続的な管理を提供するためのサポートサービスとなりました。
それが YDS であり、従来の SIS との大きな違いとなっています。

Yellow Dash Support が提供する機能

まず、YD というツールによって、管理に必要な情報を一元化していただいて、そこに YDS のサービスを組み合わせることで、全体的な運用を支援していくものとなっています。

筆者:なるほど。
私は、いわゆる情シス要員みたいなことをやっていた経験がありまして。
もう、かなり昔の話でお恥ずかしいのですが、当時は朝当番でチェック表を元に各サーバーのログや夜間ジョブのチェックをして、週次、月次のチェック作業を実施して、みたいな日常の運用があったのですが、そういった定時チェックみたいなものも YDS では対応しているのでしょうか。

原 徹:そうですね、監視、という話で言えば対応しています。
ですが、定時チェックというのは、運用としてはちょっとナンセンスなのかな、と思います。
問題というのは常にオンデマンドであるべきで、そのオンデマンドな問題を監視するのであれば、監視方法を工夫していくのがあるべき姿だと思います。
例えば、Zabbix で拾えないような障害、一見、問題なく動いているように見えるけれど、処理が進んでいないといったような障害に対しては、API を叩いてみるとか、Perl で HTTPS を拾うとか、Python で画面を認識させるとか、そのような方向に進めるのが正しい在り方ではないかと思います。

また、どうしても定時チェックが必要な業務であるならば、そもそも定時チェックではなく1時間に1回、自動的にチェックがかかるような仕組みづくりを検討するとか、YDS ではそのような改善提案も行わせていただいています。

筆者:YDS では改善提案も行われているのですね。
私の認識が至らずすみません、YDS ではお客さまの方で定義された作業があって、その作業をそのまま代行するものだと思っていましたが、そうではないのですね。

原 徹:はい、以前は確かに、そのまま代行していたこともありました。
ですが、例えば、社員の方が60時間残業している、残業が多い状態で、いわゆる働き方改革に対して、60時間の残業分をアウトソースしましょうと言うことで、単純に残業代が委託代に変わっただけでは誰も得をしません。

われわれの考え方としては、まずその60時間の残業を減らしましょうと。
減らす、というところをターゲットにしたうえで、依頼する側もされる側も、どちらもが得をする仕組みを作っていかなければいけないと思っています。

そこで着目しているのが、自動化であるとか、運用のスリム化、管理のスリム化のところです。
そこをしっかりとやる事で、そもそもやるべきことを減らすことができます。
減らしたうえでアウトソースすることで、業務を整理したり、属人化を排除したり、コストを下げる事も可能にしていきます。

60時間あった作業を効率化することで、30時間なり、10時間なりに短縮したうえでアウトソースすれば、単純に残業代を委託代にシフトするだけではなくて、残業代も、委託代も、どちらも減らすことができる。
YDS はそういったことをトータル的に提供することを考えています。

筆者:なるほど。
私の例えがハマるかわかりませんが、回ってきたタライをそのまま渡すのではなく、紙コップくらいのサイズにスリム化したうえで受け取ろう、そういう提案も込みでサービスの提供を行われているということですね。

原 徹:そうですね? (笑)

筆者:変なたとえですみません (笑)。
続いて、具体的にどのようなサービスを提供しているのか伺いたいのですが、案内資料のマトリックスを見ながらお話させていただければと思います。

Yellow Dash Support サービス内容

このマトリックスの中で、この部分は YDS の中でも特に重要、YDS を特徴づけている項目と言ってよい、そんな項目はありますか?

原 徹:そうですね、基本になっているシステム問い合わせのところは、トラブルがあった時や、わからない事を聞きたい時にご質問いただけるということで、標準的なものだと思います。

特徴になってくるのは、その下のアカウント管理のところですね。
YDS の肝要なところはアカウント管理によってお客さまの状態を知ったうえで改善の提案を行っていくので、ここの部分が最も肝心、要なところになっていると思います。
この改善提案を行うにあたって、先ほどの YD、構成管理のツールを使って、いかにプロセスをシンプルに、効率的にしていくか、YD の情報を活かした提案をどんどん行っていきます。
そして、年4回の報告会をメインにお客さまと一緒に改善を進めていく、最も大切なファクターと言ってよいと思います。

あとは、下から二つめ、運用監視のところですね。
運用監視をどれだけ確実に、かつ軽量化するかという事がキーになってきます。
運用監視は、確実な監視によって検知した事象に対してのファーストアクション、まず何をするのか定義する事が肝心であると言えます。

よくある例であれば、どこかに、誰かに連絡をすることになるかと思いますが、問題の質はそこではなく、ある程度共通化したプロセスがあるかと思いますが、いかにそのプロセスを速く回すかが最も大切です。
単純なところで言うと、ベンダーへの問い合わせであったり、ログの取得であったり、一時復旧のためにクラスタを切り替えたり、いっその事再起動させてしまうであるとか。
そういったアクションをどれだけ早く行えるか、そういったものが運用監視の中に含まれているのですが、そこをしっかりとハンドリングするのもアカウント管理の役割になっています。

アカウント管理

運用監視からのアクションを迅速に、確実に行いながら安定的な運用を目指していく、そういった部分で、いわゆる世間一般の「手順書があればやりますよ」的なサービスとはちょっと違った一線を画しているサービスであると自負しています。

筆者:なるほど、資料の字面だけ見ていると、単純に手順書があれば代行する、委託をお受けしますよ、的な感じでとらえられがちですが、実際はいろいろな改善提案も行いながら、お客さまと一緒になってシステムの安定稼働に取り組んでいく、そういったサービスになっているということですね。
この点、特にアカウント管理の重要性について、私もしっかりとお客さまにアピールしなければいけないなと思いました。

原 徹:運用については、ある程度最適化されたプロセスがあると思いますが、やはりお客さまによって感覚の違うところや重要視されるポイントに違いがあったりしますので、そこはお客さまに合わせて最適なプランを提示しています。
YD はあくまでもツールなので、そのツールを有効活用して、お客さまの工数がかかっている部分や人手がかかっているところをいかに確実に、迅速に実行できるようにするかが命題になっています。

筆者:続いて、「イベント実行」サービスについて伺わせてください。
先日、「 Cotoka for Systems 」の説明で伺ったお客さまが、YDS の「イベント実行」サービスについて興味があるとおっしゃっていました。
資料の中 (下図参照) で、「新入社員対応」としてADアカウントの作成やグループへの追加、メールボックスの作成、停電を伴うような「電気点検時のシャットダウン・起動」で、ストレージやサーバーの停止、起動、動作確認が含まれていますが、事前に実施内容が定義されていれば、いろいろな作業のアウトソースが受けられる、ということ理解であっていますか?

原 徹:はい、そうですね。
基本的には、定例的に訪れるイベント事を当社の方でナレッジ化して手順書などを整備、安定的にしっかりと漏れなく確実に実施していくサービスとなっています。
日常的に実施しないイベント事の場合、対応が属人化してしまい、そもそも手順書がなかったり、手順書があっても変更点が反映されておらず、手順が陳腐化していたり、と言ったことがあると思います。

そのような業務について、業務整理を行うという意味を含めてアウトソース化していただけると、当社の方で本来やるべき項目をしっかりと整理して、手順書を整備、Ansible や Python、PowerShell での自動化も含めて改善のご提案もさせていただきます。

その他、事前定義のない突発的なイベントへの対応についても、例えば仮想マシンの作成やホスト名の変更、従来のサポートではなかなか対応しづらい部分についても、もちろん事前定義済みの作業も含めて対応しております。またクレジットサービスでの提供も対応しています。

  • Cotoka for Systems は、導入、構築から運用管理、セキュリティー対応などアウトソーシングが可能なITインフラのサブスクリプションサービスです。
    参照:https://www.yrl.com/cotoka-for-systems/ 外部リンク

イベント実行

筆者:イベント実行サービスは、標準ですと「年4回まで」となっていますが、あと1つ、2つお願いしたい、そんな場合の対応もクレジットサービスで柔軟に対応が可能でしょうか。

原 徹:はい、標準的には年4回、4時間までの想定で、年間で16時間の作業を含んでいますが、そこは柔軟にカスタマイズが可能となっています。
例えば、10時間の作業を1回と、細かい2時間の作業を2回、1時間の作業を2回、などの組み合わせをすることも対応可能です。
この辺りは資料には書きづらい部分もあるので、とにかくご相談いただきたいところですね。

筆者:なるほど、目安と言うか、いったん基準になるところは設定しておかないと、オプションの提示も難しいところがありますよね。
続いて、可能な範囲で YDS のサービス提供体制について教えていただけますでしょうか。
オプションで24時間対応も設定されていますが、どのような範囲まで可能なのでしょうか。

原 徹:ごめんなさい、詳しくはちょっと答えづらいですが (笑) 対応センターとして、1次対応を24時間提供可能な体制を整えています。
運用監視の部分は、そもそも24時間で対応していますから、何かインシデントがあった際の対応について、24×7の保守が提供されている製品であればすぐに連携しますし、そうでない製品については日中帯に充実した2次対応が取れるように厚めの体制を取っています。

筆者:なるほど、回答しづらいとわかっていて聞いてしまいましたが (笑) 体制は整えられているということで、安心してお任せいただきたいですね。
ところで、1月31日に「 Yellow Dash v3.1」がリリースとなりましたが、主な変更点について教えていただけますか。

原 徹:はい、今回の3.1のアップデートでは、TOPページのところから、今の状況、インシデントがあればその情報など、ダッシュボードに配置したウィジェットから一目で状況がわかるような画面構成になりました。

また、レポート機能の充実として「フレックスレポート」を採用し、サーバーの一覧であれば、保守や設定情報、過去のインシデント情報など、関連性を持たせたレポートが出せるようになりました。
従来のCSVだけでなくxlsx形式での出力に対応した点も、意外とインパクトが大きいのではないかと思っています。
改行が入れられるようになったので、データを2次利用して報告書やレポートなどを作成する際の幅が広がったかと思います。

その他にも、マルチデータセンター、インベントリ対応機種追加、ログ収集の機能追加など、一見地味ですが、利用者の利便性を向上するものとなっています。

ユーザーの利便性向上がカギと語る原部長

今回の改修での大きな変更点は、やはりUIの部分が大きいですね。
お客さまが一目ですぐに状況を把握できる、見たいものをすぐに確認できるよう、配慮しました。

筆者:実は、私もまだプレビュー版を見ただけで実際の環境に触れられていないので、実際どのようになっているのか、かなり楽しみにしています。
今日はお忙しいところ詳しいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

原 徹:こちらこそありがとうございました。

まとめ

今回は、1月31日 (水) に最新バージョンの3.1がリリースされた構成管理ツール「 Yellow Dash 」と、幅広いITインフラサポートサービスを提供している「 Yellow Dash Support 」について、インタビュー形式にて解説いただきました。
より詳しいご説明、サービス提供のイメージや活用事例については、当社のwebサイトや公式YouTubeにて資料や動画を公開していますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。

また、以下のURLより、Yellow Dash 無償デモのお申し込みも受け付けております。
無償デモでは、Yellow Dash の操作感や自動構築による仮想マシン作成の一連の流れを、実際の画面でご体感いただけるほか、Yellow Dash へのログイン方法やどのような情報が構成管理できるのかなど、サービス詳細についてもご説明いたします。
オンラインで、1時間程度のお時間をいただければ実施可能ですし、Webに接続可能なPCがあれば、どなたでもお申し込みいただけますので、ご興味ある方はお気軽に申し込みください。

筆者

娘とカミさん大好きマン (横河レンタ・リース株式会社 営業統括本部 ITS&システム営業推進本部 システム営業技術支援部)

主な業務は、構成支援、問い合わせ対応、コラム・メルマガ作成やセミナー講師、最近ではプリセールス活動も始めました。
まな娘と、ビールと、ラウドミュージックと、もちろんカミさんも愛してやまない、アラフィフパパです。

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