ライセンス管理セミナー発表資料 『ツールは導入したが、まだライセンス管理を実施していないPC管理者の方へ』

第3回 ライセンス管理体制構築プロセス(1)

1. ライセンス管理体制構築プロセス

ライセンス管理プロセス構築の概略についてご説明いたします。

 企業の状況によってライセンス管理体制の構築の進め方は異なると思いますが、当社では上記の様にお客様の現状把握から行っております。

 基本的には、現状把握の範囲は全てのPCが対象です。 自社のPCではなくても、例えば派遣会社が持ち込んだPCであっても自社のソフトウエアライセンスを利用する場合は現状把握の対象となります。 一方、ソフトウエアライセンス管理を始めるにあたり、リスクを分析するために代表的な組織や拠点の現状把握を行い、 全社におけるライセンス管理の課題やリスクの分析・評価を行う場合もあります。 最終的には全社のPCを対象にして、現状把握を行います。

 具体的には、収集したソフトウエアインベントリー情報を集計して、ソフトウエアの仕分けを行います。 ライセンス管理の現状把握における仕分けは、ソフトウエアが有償なのかフリーソフトウエアなのか、ユーテリティ・ドライバーソフトなのかを仕分けします。 今回のセミナーで紹介する方法では、日立システムズ社から提供される名寄せ辞書を利用して仕分けを行います。 この分析例については、後述いたします。

 PCに資産管理ツールが入っている場合は、ツールを利用してソフトウエアインベントリーの分析を行いますが、 組織内にはオフラインのPCも存在しています。もちろんオフラインPCもソフトウエアライセンス管理対象になります。 オフラインまで含めたハードウエア台帳を作成し、 全てのハードウエアで利用されているソフトウエアのインストール台帳を作成します。

 インストールソフトウエア台帳を作成し、ソフトウエアの過不足の確認を行います。 購入したソフトウエアライセンスと実際の利用数との突き合わせを行い、ライセンスの過不足の確認をします。 購入ライセンス台帳にある、アップグレード、ダウングレード利用条件を考慮して、購入ライセンス台帳と利用ソフトウエアの突き合わせを行います。 不足があればこの時点で是正措置を取ります。

 管理方針決定のフェーズでは、ソフトウエアの利用者数の分析から、標準ソフトウエアと個別ソフトウエアの選定を行い、それ以外を禁止ソフトウエアとして管理します。 最終的に運用ルールを策定するために、承認されたソフトウエアと利用禁止のソフトウエアを決め管理することになります。 ソフトウエアのライフサイクルにおいて、社内の様々な部署が関係するため、ライセンス管理の運用は社内の多くの部署の協力によって実現されます。 これからご紹介する4つの台帳を、高い精度で管理するために社内のルールを整備していくことになります。

2. ソフトウエアを管理する4つの台帳

 ソフトウエアの資産管理を行うために重要な4つの資産管理台帳についてご説明いたします。 先にも述べた様に、台帳を高い精度で維持管理するために、これらの台帳の管理プロセス構築が必要になります。

・ハードウエア台帳
社内にある全てのハードウエアが管理対象になります。オフラインPCが抜けている例も散見されます。

・インストールソフトウエア台帳
ハードウエア台帳に記載されているハードにインストールされているソフトウエアの台帳になります。
資産管理ツールだけでは十分ではありません。

・購入ライセンス台帳
ソフトウエアの購入・廃棄履歴台帳

・ライセンス備品台帳
パッケージ版のライセンスを正規のライセンスを購入していることを証明するために必要な備品の管理を行います。

 多くの場合、ハードウエア台帳はPC資産管理ツールからの情報で自動的に作成されていると思います。 先にも述べましたがハードウエア台帳では全社のPCが管理対象になります。 オフラインPCや倉庫に在庫されているPCも含まれます。 製造業の現場の事例は、また後述いたしますが、製造業などでは現場主導で導入されたシステムが管理対象外になっている例が見られます。 ハードウエア台帳は保有PCの網羅性を高めるように、漏れなく管理できるようにしなければなりません。 ここでの網羅性が、ソフトウエアの管理の精度を決めてしまいます。

 インストールソフトウエア台帳についても、PC資産管理ツールで自動的に収集するのが効率的です。 ハードウエア台帳で対象とした、全てのPCにインストールされているソフトウエア情報を調査します。 ツールや手作業で収集したソフトウエアインベントリーを元に、ソフトウエア名寄せ辞書を利用してソフトウエアの仕分けを行います。 仕分けの分類項目として、有償ソフトウエア、フリーソフトウエア、ドライバー・ユーティリティ、アドウエアなどに分類をいたします。 この仕分けから、それぞれのソフトウエアのセキュリティーリスクや不正リスクを判断します。

 この二つの台帳に必要な項目が、資産管理ツールを導入すると自動的に収集されていることから、資産管理ツールを導入されると、 ライセンス管理が出来ていると誤解される管理者の方が多くおられます。 しかしながらツールを入れただけでは、オフラインの管理やツールの未導入のPCの管理が残っており管理ができている状況とは言えません。

 購入ライセンス管理台帳は、購買部門でソフトウエアの購入から始まり、アップデートライセンスの追加購入、廃棄までの一連のライフサイクルを管理します。 全社で利用する標準ソフトウエアは情報システム部門等で一括購入されるので状況の把握が容易だと思います。 部門や特定業務で利用する、個別ソフトウエアの購入については、各部門の予算で購入される場合など、 その購入時期、本数・購入形態(ユーザーライセンス、デバイスライセンス、サブスクリプション)等の管理が不徹底になっていまう恐れがあります。 ライセンス管理台帳の項目例を後から紹介いたしますが、ライセンス形態に応じた、ソフトウエアライフサイクルを管理できるように管理項目を設定しています。 購入ライセンス台帳で必要になるデータは、手作業で入力していただくデータがあります。購入から廃棄までの各フェーズで関係する部署による、 情報の記録・更新ルール作りが管理データの精度向上には欠かせません。 このデータの精度を高く管理することでソフトウエアメーカーの監査に耐えられる台帳ができあがります。

 ライセンス備品台帳は、購入したライセンスの正当性を証明するための備品を管理する台帳です。 例えばマイクロソフト社の製品をパッケージ版で購入した場合に、ライセンス証書、許諾書、メディア、パッケージの箱などが購入した パッケージ版のライセンスの正当性を証明するために必要になります。 ライセンスの購入時に購入ライセンス台帳へのライセンスの記載と同時に、付属品がある場合にはライセンス備品台帳への記載も必要になります。

次回以降のテーマについて

ソフトウエアライセンス管理の効率化のポイントについて、複数回に分けてセミナーの内容をご報告します。 現在行っている管理のご参考にしていただければ幸いです。以下に次回以降のテーマをご案内します。

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