ライセンス管理セミナー発表資料 『ツールは導入したが、まだライセンス管理を実施していないPC管理者の方へ』

第4回 ライセンス管理体制構築プロセス(2)

1. ハードウエア台帳の管理

 前回で4つの台帳の管理のポイントについてご説明いたしました。ここでは、具体的に各台帳でどのような項目が必要になるのか、ハードウエア台帳のサンプルを見ながらかご説明いたします。

ハードウエア管理台帳 項目例
利用区分 購入、レンタル、リース
ハードウエアの管理番号 手入力の管理番号
メーカー名 HP、NEC等
OS Windows、Mac等
機種情報 Thinkpad 等
シリアル番号
コンピュータ名 N3129
CPU数 サーバーの場合
設置場所 サーバーの場合
管理者名 横河 太郎
管理部署 マーケティング
管理者氏名
廃棄年月日
最終更新日 2015年11月2日
最終更新者氏名

ハードウエア管理台帳(サンプル)

 日々の運用管理では各組織によって、もう少し詳細なハードウエアの管理項目が追加になると思います。 ここではソフトウエアライセンス管理の観点から、ハードウエア台帳を見て行きたいと思います。

 台帳のサンプルを見ると、ハードウエアの管理番号を、手入力で記載する項目を設けております。オフラインPCのを管理範囲とするとハードウエアのユニークな管理番号が必要になってきます。 PC資産管理ツールで自動的に収集できるコンピュータ名やシリアル番号だけでは、オフラインPCまでの管理は難しくなります。オフラインPCは、コンピュータ名の命名規則がない場合もあり、 意識的に個体を識別する管理が必要になります。オフラインPCの現地棚卸しを実施してみると、この項目の重要性を認識していただけると思います。

 ハードウエア管理のトピックスとしては、廃棄管理の徹底が重要課題になっています。サンプル台帳にも廃棄日の項目がありますが、棚卸しをすると現物が廃棄されずに、 保存されているPCを見つけることがあります。台帳上で廃棄されたPCであっても、現物が存在すると監査時はライセンス管理対象ハードウエアになります。 そしてこのPCにインストールされているソフトウエアが、正規のライセンスであることを証明する義務が発生します。 最悪の場合には、もう一度ライセンスを購入してからハードウエアを廃棄するようなことになりかねません。

 これは、障害対応用に在庫しているPCに対しても同じです。使用していなくてもインストールされて在庫されているソフトウエアのライセンス費用は発生します。 障害対応用のPCには、ソフトウエアをインストールせずに在庫しておく必要があります。

 今回はサーバーの管理にはあまり触れませんが、台帳にはサーバーの管理項目も載せています。 サーバーの場合には、CPU数によるライセンス管理が必要になるソフトウエアもあります。 販売店が年度末などに納期の関係で上位グレードのサーバーを代替して納品するケースがあります。 このように管理者が知らないうちに、予定より多くのCPUが搭載されたサーバーが納品されてしまい、図らずもライセンス不足を起こしてしまっていた例もあります。 このような観点からサーバーについては特に、納入時の現地確認は重要な作業になります。

2. 購入ライセンス台帳の管理

 購入ライセンス管理台帳は、購入したライセンスの数量やライセンスの履歴管理を行っています。

購入ライセンス台帳 項目例
ソフトウエア名 ソフトウエア名
保有ライセンス数 利用可能な数量
現使用数 申請ベースかインベントリーで判断
ライセンス契約種別 プレインストール、ボリューム、パッケージ
ライセンス証書番号
アップグレード区分 アップグレード利用か否か
元ライセンス アップグレード利用時に記載
ダウンロード条件
ライセンス単位 デバイス、ユーザー CPU
契約期間 サブスクリプションの場合
管理部署
管理者氏名
廃棄日
最終更新日
最終更新者氏名

購入ライセンス管理台帳(サンプル)

 全社標準のソフトウエアについては情報システム部が一括購入する場合が多いので、購入からアップデートまで情報システム部の責任で、ライフサイクルを精度よく管理できます。

 一方部署単位で利用する、個別利用ソフトウエアについては利用者、利用部署による申請・購入から、アップデート、廃棄までのライフサイクルの管理を個別に行います。 その為に、購入ライセンスの台帳更新に関するソフトウエアのルールの策定と周知徹底が必要になってきます。

 サンプルの台帳項目で運用イメージをご説明させていただきます。保有しているライセンス数から利用申請に応じて、保有ライセンスを減じてゆき、 現使用数を増加していきます。資産管理ツールを使用されている管理者の方は、ツールの利用総数の項目を見ていただければ、確認可能です。 しかしオフラインPCまで含めて管理されている場合には、ユーザーの利用申請数で管理する事になります。何度もお話しておりますが、この管理の精度を高めるために、 現場へルールの徹底が必要になります。不徹底のまま運用すると、ライセンス数の誤差の是正に管理者の工数が多く取られてしまいます。

3. ライセンス管理が出来ている状態

購入したライセンスをどのハードウエアで使用しているか突き合わせができれば、ライセンス管理ができている状態になります。

インストールソフトウエア 項目例
ソフトウエアID ソフトウエアマスタと結びつけるID
ハードウエア管理番号 インストールしているハードウエア
ライセンス付属品管理番号 1324
インストール名称 Microsoft Office Professional Plus 2013
備考 ダウングレードの有無等
最終更新日
最終更新者氏名

インストールソフトウエア台帳(サンプル)

 インストールソフトウエア台帳でソフトウエアとハードウエアを結びつけて表記しています。 どのハードウエアにソフトウエアがインストールされているのか突き合わせを行います。インベントリー情報は参考にはなりますが、 最終的には契約情報を取り込んだ台帳が必要になります。この例では、インストールソフトウエア台帳に、購入ライセンス台帳の契約情報を取り込んで突き合わせを行っています。 これは、PC管理ツールのインベントリー情報と違いが発生してしまう場合(ダウングレード権の行使)について、管理ができるようにする必要があるためです。 台帳の項目としては、ダウングレードによる利用か否かを管理する項目を入れております。

 ソフトウエアライセンスの管理の基本は、利用しているライセンスと購入ライセンスを結び付けられるようにしておく事になります。 ダウングレードの行使によってインベントリーと契約情報の突き合わせが難しくなっております。 一例ですが、当社で出荷するレンタルPCに対して、マスターPCを作成する場合は、お客様からライセンスコードを頂いて作業を行っております。 お客様がどのライセンスコード(契約)でどのPCにインストールをしたのかが作業記録として保存されています。さらには障害対応でPCを入れ替えてもこの作業は記録されます。 この作業記録によってライセンスとハードウエアの突き合わせ、変更管理を行うことが可能になっております。

次回以降のテーマについて

ソフトウエアライセンス管理の効率化のポイントについて、複数回に分けてセミナーの内容をご報告します。 現在行っている管理のご参考にしていただければ幸いです。以下に次回以降のテーマをご案内します。

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