ワークステーションとハイスペックPCとの違い

Q.
ワークステーションとハイスペックPCの違いはなんでしょうか。
また、最近注目されているゲーミングPCとの違いはなんでしょうか。
A.

それぞれに適した用途があり、そのために最適なパーツで構成されています。
いずれも安価ではありませんが、ニーズを見極めて適切に活用すれば高い価値を発揮するマシンです。

- 目次 -

1 「プロ用・複数人向け」と「高級な一般向け」

2 「プロ向けの専用パーツ」と「一般向けの高級パーツ」

2 ゲーミングPCとは?ハイスペックPCやワークステーションとの違い

「プロ用・複数人向け」と「高級な一般向け」

ワークステーションは、古くは書籍など印刷物の組み版 (ページレイアウト) や学術計算から、CAD、グラフィックデザイン、事務処理などに用いられる高性能なコンピューターのことを示します。
基本的には複数人で共有して用いることを前提として法人向けに提供されています。
3D CADによる設計、3D CGのモデリング、医療イメージング、高精細な映像の制作やゲームの開発にも用いられています。
近年では、生成AIや機械学習などのAI開発用途でもワークステーションが活用されることが増えています。
大量のデータ処理やモデル学習を安定して実行できるため、AI研究開発や企業内AIプロジェクトの中核として利用されています。

軽度な事務処理用であれば、共用するためサーバーOSを搭載していても、高性能なデスクトップPCとあまり変わらないスペックで低価格のものが選ばれることもあります。
一方で、非常に高い負荷の処理を担うワークステーションは、高度な業務向けのパーツで構成されているため、100万円以上するマシンも珍しくありません。

ハイスペックPCは比較的新しい区分で、主に一般消費者向けの高性能なPCのことを示します。
高速なグラフィックス処理が重視されるゲーム用や、YouTube に代表される比較的簡単な動画編集などに用いられます。

基本的には業務向けとは言えませんが、最近はビジネスでも YouTube を積極的に活用する企業が増えていますし、企業のマーケティング活動において動画制作やウェビナー (オンラインセミナー) の需要が拡大しており、一般的な事務用PCでは力不足なケースもあります。
ハイスペックPCは、動画編集にも適した高性能なグラフィックカードを搭載しているため、高速にデータを処理できます。

そのため最近では、企業が部門の共有デバイスとしてハイスペックPCを導入したり、ベンダーが企業向けにハイスペックPCを提供したりする例が増えています。

「プロ向けの専用パーツ」と「一般向けの高級パーツ」

ワークステーションとハイスペックPCは、搭載されているパーツが大きく異なります。

例えばグラフィックカードの場合、ワークステーションは NVIDIA の「RTX Aシリーズ (旧Quadro) 」や AMD の「Radeon PRO」シリーズのような業務グラフィックス作業向けに設計された製品・チップを搭載しています。
一般向けの製品と比較して、3Dモデリングなどのプロ向けソフトウエアに最適化されているのが特徴です。
一方のハイスペックPCは、「NVIDIA GeForce RTX」や「AMD Radeon RX」といった一般消費者向けの“高級製品”が搭載されています。

CPUについても、ワークステーションは「Intel Xeonプロセッサー」や「AMD Ryzen Threadripper」のような並列処理向けに設計されたサーバー向けCPU製品を搭載しています。
ハイスペックPCは、「Intel Core Ultra 7プロセッサー」や「AMD Ryzen AI 7」のような一般PC向けの高級CPUが採用されています。

一般企業においても、動画やグラフィックスなど、リッチなコンテンツを制作するニーズが増えています。
従業員の利用する一般的なPCでは負荷が高く仕事にならないため、用途や環境に合わせてワークステーションやハイスペックPCを検討してください。

また、AI開発や生成系アプリを利用する企業では、GPUメモリ容量やCPUスレッド数、NPU (AI専用プロセッサ) の有無を重視する傾向が強まっています。

ゲーミングPCとは?ハイスペックPCやワークステーションとの違い

ゲーミングPCとは、主にゲームプレイ向けに高性能CPUやGPU、冷却性能を備えた高性能パソコンのことです。

近年では、動画編集や3Dモデリング、軽量な生成AI処理など、ゲーム以外の高負荷作業にも利用されるケースも増えています。

ハイスペックPCは一般向けの高性能パソコンを指し、CPUやGPUの性能が高く、動画編集や簡単な3Dレンダリングなどに適しています。
ゲーミングPCはその進化形とも言え、特にGPU性能冷却性能が強化されており、ローカルでの生成AI処理や中程度の3Dレンダリングにも十分対応可能です。

ただし、ワークステーションのようにECCメモリや業務ソフトの認証ドライバには対応していないため、長時間稼働や精密な計算精度よりも、スピードや高負荷処理の短時間実行に向いています。
そのため、開発・デザイン・マーケティング部門の一部では、補助的にゲーミングPCを導入して業務効率を向上させるケースも見られます。

ゲーミングPCは単なるゲーム用PCではなく、ハイスペックPCの利便性を受け継ぎつつ、GPU性能や冷却性能を強化した高負荷作業向けPCであり、ワークステーションの安定性や精度よりもスピード重視の用途に適していると言えます。

ワークステーションとハイスペックPC、ゲーミングPCの用途別は下記のとおりです。

・ワークステーション:精度・安定性重視。CAD、3DCG、AI学習などのプロ用途に最適
・ハイスペックPC:汎用性重視。動画編集やクリエイティブ業務に幅広く対応
・ゲーミングPC:描画性能・処理速度重視。短時間の高負荷作業やAI生成にも対応

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